はじめまして。坂本英俊といいます。市原で研修して早くも4年も経ってしまった。
市原に来た当初は自分も優秀なスタッフと同様に本当に国際的に通用する医者になれるのか、正直不安はあった。しかし、その疑問はアイルランド留学から帰ってきた今になって考えてみると、つまらない悩みであったと思う。優秀なスタッフに触れながら研修しているうちに、知らず知らずのうちに身についたのだなというのが実感。当医局はアメリカのMassachusetts
General Hospital (MGH)関連病院で研修したスタッフを多く抱えてきたせいか、医局もアメリカナイズはされているもののアメリカだけに目が向いているわけではない。ヨーロッパ、オーストラリアと世界へと視界は広がり始めている。
さて、私はアイルランドのCork大学病院麻酔科と当医局の交換留学プログラムに乗って1年留学し、昨年10月に帰国したばかりである。当医局からヨーロッパに留学したものは、ペインの助教授の高橋秀則先生を始め、私で4人目である。Cork大学病院麻酔科はTeaching Hospitalであり、日本との教育システムの違い、臨床システムの違いなどどれをとっても自分にとっては目新しく充実したものであった。また、Cork大学病院麻酔科は病院内でも有名なInternationalな医局で、私がいたときには、インド人、パキスタン人、ハンガリー人、日本人、中国人、マレーシア人、フランス人、スペイン人、ドイツ人と人種も多彩なおかつあわせると40%も占めてしまうというのは驚きであった。そういう中で、いろいろな国籍の人と英語でコミュニケーションをとるということは非常に刺激的であり、常に驚きと発見の連続であった。そういう場に常に遭遇すると、皆のコミュニケーション能力の高さと同時に社会の成熟度にも驚かされた。自分は日本人として差別感を感じるどころか、日本人であるがために優遇されていると感じたことが何度もあり、ほかの人の妬みを買うのではないかとひやひやしたりもした。
アメリカとヨーロッパの違いとしていくつか上げられる。Creativeなideaが出るのはアメリカよりもヨーロッパのほうが多いように思う。それは、多民族国家だが1文化であるアメリカよりも1国1言語1文化の集合体のヨーロッパのほうが、異文化の接触を通して多くのものが生まれてくるように思う。また、言葉に対して敏感になるのもヨーロッパのほうである。町中、病院内でいろんな言葉が飛び交っていて、知らず知らずのうちに、彼が何語をしゃべっているのかが、自然とわかるようになった。自分でしゃべれるようになるのにはやはり努力は必要だが。その気になれば、3,4ヶ国語をしゃべることは日本に比べればたやすいことである。個人的感想では、Internationalな社会という観点では、ヨーロッパのほうが進んでいるように思う。誰もが受け入れられるシステムを作るというのはアメリカのほうがうまいと思うが、それを運営する現場において細かな障害が出やすいというのもアメリカの特徴であるように思う。
現在は留学で得たことを下の世代に、そして、医局に残すことが自分の使命だと思っていますが、更なる飛躍のためにもう一度留学しようと考えています。
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