診療参加型臨床実習について
診療参加型臨床実習へのご協力のお願い
帝京大学医学部長
帝京大学医学部附属病院長
帝京大学医学部附属溝口病院長
帝京大学ちば総合医療センター病院長
医療者を養成するにあたっては、患者さんやご家族の協力が欠かせません。令和5年4月1日施行の改正医師法では、医師としての知識・技能・態度を評価する共用試験に合格した医学生は、臨床実習において医師の指導監督の下、医療行為を行うことが法的に保証されました。医学生は診療参加型臨床実習を通じて、医師として必要な資質・能力を身に付けていきます。そして臨床実習での経験が、将来的に医学・医療の進歩、より良い医療の提供という結果で皆様に還元できるものと考えております。医学生の成長にお力添えを賜りますよう、ご協力をお願いいたします。
診療参加型臨床実習とは
共用試験に合格した医学生(以下、スチューデントドクター)が、医療チームの一員として患者さんの診療に当たります。患者さんへの医療面接と基本的な身体診察を行い、原因となる病気を考え、診断確定に必要な検査を選び、最終的に治療方針を決定する、という医療の実際を、指導医の監督の下に経験します。スチューデントドクターは臨床実習を通して、医師として必要な知識、技能、態度を学びます。診療参加型臨床実習は我が国における「良き臨床医」を養成するために、必要不可欠となっています。
スチューデントドクターとしての能力と資格
医学生が診療参加型臨床実習を行うに足る能力(知識、技能、態度)を有しているかは、臨床実習開始前に実施される全国統一の共用試験において、総合的に判定されます。これらの試験に合格した医学生のみが、診療参加型臨床実習を行うことができます。
問題が発生した場合の対応
万が一、診療参加型臨床実習に関連して患者さんの健康ないしプライバシーを損なうような事象が発生した場合は、医学部長および病院長の責任で適切に対応いたします。
診療参加型臨床実習へのご意見・ご相談がある場合は、担当医にお知らせください。
スチューデントドクターが実施する医行為について
分類 |
必須項目(実施されるべき医行為) |
推奨項目(実施が望ましい医行為) |
診察 |
診療記録記載(診療録作成)
患者・家族への病状の説明
医療面接
バイタルサインチェック
診察法(全身・各臓器)
耳鏡・鼻鏡
眼底鏡
基本的な婦人科診察
乳房診察
直腸診察
前立腺触診
高齢者の診察(ADL評価、高齢者総合機能評価)
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患者・家族への病状の説明
分娩介助
直腸鏡・肛門鏡
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一般手技 |
皮膚消毒
外用薬の貼付・塗布
気道内吸引
ネブライザー
静脈採血
末梢静脈確保
胃管挿入
尿道カテーテル挿入・抜去
注射(皮下・皮内・筋肉・静脈内)
予防接種
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ギプス巻き
小児からの採血
カニューレ交換
浣腸
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外科手技 |
清潔操作
手指消毒(手術前の手洗い)
ガウンテクニック
皮膚縫合
消毒・ガーゼ交換
抜糸
止血処置
手術助手
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膿瘍切開、排膿
嚢胞・膿瘍穿刺(体表)
創傷処置
熱傷処置
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検査手技 |
尿検査
血液塗抹標本の作成と観察
微生物学的検査(Gram 染色含む)
妊娠反応検査
超音波検査(心血管)
超音波検査(腹部)
心電図検査
経皮的酸素飽和度モニタリング
病原体抗原の迅速検査
簡易血糖測定
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血液型判定
交差適合試験
アレルギー検査(貼付)
発達テスト、知能テスト、心理テスト
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救急 |
一次救命処置
気道確保
胸骨圧迫
バックバルブマスクによる換気
AED
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電気ショック
気管挿管
固定など整形外科的保存療法
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治療 |
処方薬(内服薬、注射、点滴等)のオーダー
食事指示
安静度指示
定型的な術前・術後管理の指示
酸素投与量の調整
診療計画の作成
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健康教育
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参照:医学教育モデル・コア・カリキュラム 令和4年度改訂版 P168-169