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救命救急センターの「名言」

  1.  「輸液を絞る」:

     関西から研修に来たばかりの某外科医が、初めてhotlineを手伝うことになって救急外来に出た。慌ただしく処置が行なわれているなか看護婦の一人が、
     「先生! 輸液を絞ってください」
     と、その新人外科医に告げた。するとこの外科医、何を勘違いしたかおもむろに輸液のボトルを両手で「絞り」だしたのである。
     「輸液を絞る」とは輸液の速度を落とすことで、輸液ラインのクレンメを絞り込むことからこう呼ばれているのである。我々が「常識」と思っている言葉は必ずしもどこの施設でも通じる「常識」とは限らない。例えば、我々は通常、血球数測定のことを「血算」と称しているが、「血算」は普遍的な一般用語ではなく、「末血」と呼んでいる施設もあり、何処に行っても通じるとは限らないのである。

  2.  「ニューロシェイカー」:

     ベテランとなったあるナースのフレッシュマンの頃の逸話である。脳動脈瘤の術後、脳室内やクモ膜下腔の血腫が凝固し溶解が遅延するのを防ぐために、常時頭部を揺り動かす装置で「ニューロシェイカー」と言う機械がある。新人ナースは数ある医療機器の名前や取り扱いを覚えるのは至難の業である。クモ膜下出血(SAH)の患者を受け持った某ナースは申し送りで、
     「○○さんは術後2日目で、"ニューロクラッシャー"を使っています・・・」
     「??」

     無論、シェイク(shake)は「ゆする、ゆさぶる、ふるわせる、振る、握手する、振動、ふること」と言った意味で、頭部を「ゆする」ことから「ニューロシェイカー」と言う商品名がついているのであるが、クラッシュ(crash)は「ガチャン、バリバリ」と言った擬音語からでた言葉で「ぶちこわす、つぶれること、倒壊、崩壊、墜落する」と言った意味の言葉である。神経(neuro-)を破壊(crash)してもらっては困るのであるが、いかほど効果のあるものか.............


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帝京大学救命救急センター
Trauma and Critical Care Center,
Teikyo University, School of Medicine

鈴木 宏昌 (dangan@ppp.bekkoame.or.jp)
Hiromasa Suzuki, MD

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