HIRO's Home Page [[ TAWAGOTO ]]

Index Previous

根性と予後

  現代の科学は数学的実証論の上に成り立っている。現代医学もまた再現性と確率論で実証された事象の積み重ねである。積み重ねられた積み木を高くすることは比較的簡単である。2段目の積み木の上に3段目を積むのは容易であり早く積み上げることができる。しかし、1列に積み上げられた積み木は高いかもしれないが丈夫だとは限らない。また、同じ山の積み木からは新しい山は生まれないのである。元々、科学は観察と分類から始まり普遍性を追求してきた。できるだけ細分化し積み上げやすい積み木を作ってきた。一つ一つの積み木は急速な勢いで積み上げられてきた。しかし、果たして丈夫な城壁はできつつあるのだろうか。

  多くの外科医は、
「この患者は"根性"なさそうだから術後てこずりそうだな」

と感じることがある。そしてその予感は大概当たる。科学的根拠はない。外科医が感じるこの「根性」のなさを「科学的」に表現できれば、かなりの確立で術後の「予後」が予測できるかも知れない。しかし、1段目の積み木は平面上に分布しているとは限らない。3次元に分布しているのかも知れない。あるいは、四角いブロックではないのかも知れない。


Home Page
帝京大学救命救急センター
Trauma and Critical Care Center,
Teikyo University, School of Medicine

鈴木 宏昌 (dangan@ppp.bekkoame.or.jp)
Hiromasa Suzuki, MD

Copyright Notice