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1. 熱傷の予後を左右する因子を4つ以上説明できる

【東京都救急熱傷治療システムの統計】

  1981年新宿バス火災事件による集団熱傷の発生に端を発し東京の熱傷救急医療システムの整備が行われ、東京都医師会、東京都が中心となり1982年に「熱傷救急専門医療施設(熱傷ユニット)」として発足した。

  1. 杏林大学救命救急センター
  2. 慶應大学救急部
  3. 江東病院熱傷ユニット
  4. 帝京大学救命救急センター
  5. 東京医科大学熱傷ユニット
  6. 東京女子医科大学熱傷ユニット
  7. 東京大学熱傷ユニット
  8. 都立広尾病院熱傷ユニット
  9. 都立府中病院熱傷ユニット
  10. 都立墨東病院熱傷ユニット

  現在当施設も含め上記11施設がこの東京都救急熱傷治療システムに加わり、土曜日曜祭日に当番制により重症熱傷患者を収容し、集計している(東京女子医科大学形成外科学教室)。この集計によると、

  1. 年間収容例数 300〜350(平均337)例
      1983〜1991年の8年間で2703例
      ほとんど年度別変化ない。しかし、当施設で扱う重症熱傷の頻度は減少傾向にあると思われる。

  2. 男女比=3:2
      男女=3:2(64%:36%)、70才以上では1:1。一般にどのような外傷でも男性が多い。これは、一般に活動年齢では男性の方が外出する機会が多く災害に会う頻度が多いことによると思われる。高齢では男性と女性の頻度が近づいているのは、活動性に差がなくなってくるからとされているが、高齢者で男女の人口比率の変化を考えると男性の受傷率はやはり高そうである。

  3. 年齢分布
      年齢分布は図の如くで、10才未満が(19%)で最も多く>40代>30代>20代>50代と続く。20〜50代で53%と半数を越え、就業年齢層の頻度が高いことは重要である。
      

  4. 受傷原因
      火炎が50%、過熱液体が33%、その他(爆発、化学、その他)で17%。過熱液体は10才未満の小児が多く、過熱された風呂への転落が重症であり問題であったが、近年少なくなる傾向である。

  5. 予 後:死亡率16%
      軽快が71%、死亡は16%(火炎では23%、過熱液体では7%)
      死亡総数427例で427/2703=16%

  6. 受傷年齢・原因と予後
      10才未満では過熱液体によるものが76%(風呂39%、熱湯37%)であるが死亡率11%と低い。一方、70才以上は火炎によるものが65%(過熱液体28%)で死亡率49%と高い。

      年齢と死亡率の図
      


[ REFERENCES ]
 最新の熱傷臨床ーその理論と実際ー. 平山峻,島崎 修次編. 克誠堂出版株式会社,東京,p.9-17,1994.

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帝京大学救命救急センター
Trauma and Critical Care Center,
Teikyo University, School of Medicine
鈴木 宏昌 (dangan@ppp.bekkoame.or.jp)
Hiromasa Suzuki, MD
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