モノオールリピド(Monool lipid)

1価アルコールと脂肪酸のエステルである。1価アルコールとしてメチルアルコール(CH3OH)エチルアルコール(CH3CH2OH)プロピルアルコール(CH3CH2CH2OH)など短鎖アルコールとのエステルは通常、脂肪酸の誘導体として記載される場合が多い。
ここでは長鎖アルコールと長鎖脂肪酸のエステルを記載する。長鎖アルコールと長鎖脂肪酸のエステルはワックス(Wax)あるいはロウと呼ばれる。
(註1)
尚、この群に加えておかなければならないのはステロール類のエステルである。動物ステロールの代表であるコレステロールはモノオールでありその脂肪酸エステル(コレステロールエステル)は当然モノオールリピドである。(これがワックスと呼ばれたことはないように思う)しかし、ステロールは必ずしもモノオールとは限らず、コール酸はトリオールであり、またステロイドホルモンでもモノオール(テストステロン、エストロン、etc.)ジオール(エストラジオール、コルチゾンetc.)トリオール(コルチゾール、エストリオールetc.)などがあるが、それらの水酸基と脂肪酸がエステル結合したものがあるかどうか不明である。
(註1)ワックス(Wax)という用語は、今日ではカーワックス、床磨き用ワックスなど、艶出し効果のあるものに広く用いられている。それらは化学的に炭化水素であったり、水溶性の性質を賦与された合成品であったりして長鎖アルコールと長鎖脂肪酸のエステルと全く関係のないものが多い。そのような点からワックスという言葉は今日、日用語になって、定義された学問的用語としては使えない言葉となっている。尚、蜜蝋(beeswax)や鯨ロウ(spermaceti)などは主成分は長鎖アルコールと長鎖脂肪酸のエステルであるが、いろいろな分子種の混合物である。大豆油や菜種油がいろいろな分子種のトリアシルグリセロールの混合物であるのと同じ意味で別項に記載する。