ヒトの脂質

血液の脂質
血漿脂質
血漿総脂質
血漿トリグリセライド
血漿コレステロール
血漿総リン脂質
血漿糖脂質
血漿遊離脂肪酸
血漿総脂肪酸
血漿リポタンパク質

はじめに
☆ヒトを構成している脂質。
どのような物があるのか、の記載である。
最初から完璧な物を期すると出来ようないので、目に付いたデータを収載し、機を見て整理していく方法をとる。
お手持ちの分析データ、情報をご提供いただければ幸いである。署名入りで掲載させていただく。

参考文献
1) 臨床化学 坂口ら
2) 臨床検査法提要 31版 金井ら
3) 図説 医化学 香川ら
4) 臨床化学 菅野ら
5) 日本臨床 増刊 5版
1 血液の脂質go to this page top
本稿では血液に関する用語を以下のようにする。



1‐A 血漿脂質go to this page top

*脂質に関しては、血漿であっても血清であっても同じである。
☆脂質は水に溶けないので血液という水の系に存在するためにはたんぱく質の助けを借りなければならない。
一つは血漿リポタンパク質、もう一つは輸送タンパク質結合脂質である。
しかし、伝統的にそれらリポタンパク質等の区分にこだわらずに、血漿脂質とゆう概念で横断的に脂質を記載、定量することが行われていたのでここでも、そのような記載から始める。
☆血漿の分析値は、古くから行われ多数の報告がある。時代により、方法により、分析値は異なり、また材料を提供された方々の人種、年齢、性、材料採取条件、材料保存処理など分析以前の段階でも極めて多様で、同列に比較すべきでないデータが多い。
しかし、ここでは「ヒトの血漿脂質とは」という概念が得られるデータを提示する意味で必ずしも一次資料にこだわらず、むしろ二次資料からのデータ収載を行った。
将来的には勿論必要な一次資料を収載していく。



1-A-a 血漿総脂質go to this page top

400〜880mg/dl 1)
55〜710mg/dl 平均510mg/dl 2)


1-A-b 血漿トリグリセライド(トリアシルグリセロールあるいは中性脂肪、TG)
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30〜150 mg/dl (成人空腹時) 2)
50〜110 mg/dl 3)


1-A-c 血漿総コレステロールgo to this page top

150〜230mg/dl 4)
130〜250mg/dl 3)
120〜220mg/dl 2)
130〜220mg/dl 5)


遊離コレステロールgo to this page top

35〜75mg/dl 4)
30〜70mg/dl 5)



エステルコレステロール
エステル比
65〜80%4)
60〜70%3)
60〜80%2)


1-A-d 血漿総リン脂質go to this page top
110〜250mg/dl3)
150〜230mg/dl(レシチン換算値)2)
145〜257mg/dl(平均193mg/dl) 5)


リン脂質の分画 山本ら 竹内ら 岡部ら 5)
ホスファチジルコリン(レシチン) 65.4% 65〜66 66.0±3.5
ホスファチジルエタノールアミン 3.7 3〜5 4.0±0.8
(セファリン)
ホスファチジルエタノールセリン
+ホスファチジルイノシトール
2.5 2〜3
リゾホスファチジルコリン 7.1 6〜8 9.0±2.5
スフィンゴミエリン 19.3 20〜21 21.0±3.5


1-A-e 血漿糖脂質go to this page top


1-A-f 血漿遊離脂肪酸go to this page top
0.1〜0.8mEq/l3)
0.2〜0.6mmol/l4)
170〜700μEq/l5)


GLC-1 HPLC-1
12:0 - 0.3
14:0 1.7 2.7
16:0 23.2 28.7
16:12.4 5.0
18:0 12.9 4.5
18:128.928.3
18:214.5 21.7
18:3- 2.1
20:3- 0.2
20:44.7 3.0
20:5 - 0.8


1-A-g 血漿総脂肪酸go to this page top

血漿リポタンパク質go to this page top

血漿リポタンパク質は食事摂取により大きく変動し、また血管内で代謝されるためにと考えられるが、早朝空腹時血漿を用いても、測定者によって報告値に大きな巾がある。


 
電気泳動分画による値
% %%
キロミクロン1.1±1.5
プレ-β18.11±6.9 6〜2232
β-44.1±5.843〜58 40
α- 36.1±6.226〜45 26〜45
参考 日本臨床、板倉 臨床検査法提要、金井 臨床化学、坂育
* 非常に多彩である。


超遠心法による値
VLDL150〜230mg/dl
LDL280〜440mg/dl
HDL 250〜400mg/dl
(図説 医化学 香川)


脂質を各リポタンパクに割り振ってみると
リポタンパク量は表 の中央値を採用した。脂質量比は表 の値を採用した。

VLDL
mg/dl
LDL
mg/dl
HDL
mg/dl
リポタンパク量
脂質量
190360325他の方法で測定さ
れた血清脂質濃度
173mg (91%)284mg (79%)140mg (43%)597mg
総コレステロール
エステル型
遊離型
42
29
13
166
137
29
55
46
10
263
212
52
150〜230
リン脂質
トリグリセリド
34
95
83
36
68
16
185
147
160〜230
130〜200
↓595

アポリポタンパク量を各脂質に割り振って実際の分布量を計算してみると

VLDL
mg/dl
LDL
mg/dl
HDL
mg/dl
リポタンパク量
アポタンパク量
190
17mg (9%)
360
76mg (21%)
325
185mg (57%)

→278mg
他の方法で測定されたア
ポタンパク濃度(mg/dl)
A1
A2
B
C1
C2
C3
D
E
+
+
6.3
0.5
1.2
6.8
+
2.2
0.2
0.03
4.3

9.4


2.6
-
-
74.5
+
+
+
-
+
0.6
0.3
72.2

1.5


2.4
124
40.7
+
3.7
3.7
7.4
+
+
109
18.5
5.6

24.1

3.7
5.6
124
40.7
80.8
4.2
4.9
14.2
+
2.2
110
18.8
82.1

35

3.7
10.6
95〜182
20〜40
45〜125


4〜14

2.7〜4.5
133±25
35±5
83±15

3.0±1.1
7.9±2.3

↓271260.2