A Frog in the Well Never Knows the Ocean.

前回留学便り特別編「のび太のワールドカップ観戦記」に沢山の励ましのお便りをくださり、
まことにありがとうございました(もらってないって!)。
一通一通お返事を書くの大変なのでここでお礼を申し上げておきます
(だから、一通ももらってないって!!)。
 さて、今回留学便りはボクのこの半年の近況です。

2002年になってからからのアトランタ生活で変わったのは、
交流範囲が増えたことです。
2年経ってやっとアメリカ生活に余裕がでてきたのかもしれません。
以下はその例です。


1)異業種交流

のび太の卒業した学校には「三田会」という名前の同窓会があります。
同窓会といってもクラス単位の小さなものではなく、
小学校から大学までの一貫教育の同窓の人間同士がこの会を通じて人間関係を広げていきましょう、
という趣旨の大きな会合のようです。
のび太は日本では、
忙しいという口実で三田会に参加したことはありませんでした。
しかし、外科医の親友の薦め、
さらにある時NY三田会の人の輪からいろんな交流が増えて大変楽しい思いをしたので、
アトランタでも三田会に参加してみることにしました。

それはジョージア三田会という名でした。
今年5月現在で名簿には30名の会員がいます。
最近は稲門会という早稲田大学同窓会と一緒に活動をしています。
これも「失われた10年」後の日本の不況にともない会員が減少したためと聞きました。
ボクは1月の新年会に出席、
4月のソフトボール大会は学会のため欠席、
7月には幹事さんの送別会(三田会のみ)、
そして先日はレイクレニアのクルージングパーテイに参加してきました。

8月4日のクルージングパーテイには御家族合わせて40人強が参加されました。
アトランタ郊外にあるレイクレニアという巨大な人工湖が舞台です。
湖畔のハーバーから45人乗りのクルーザーで30分のんびりゆられて無人島へ向かいます。
そこでバーベキューとスイカ割り、じゃんけん大会、宝探しなど。
無人島での企画はみんな子供さんのためです。
大人は夏の陽光を楽しみながらビールです。
ボクは海老・烏賊のくし焼き、焼きトウモロコシ、カルビのバーベキューを手伝いました。
このこと自体学園祭みたいで愉快でした。
参加者の中で医療業界の人間はボクひとりです。
したがっていろんな人とお話ができてとても楽しいです。
とくに経済の話などをするわけではありません。
話の中心は各種スポーツ、またお互いのアトランタでの暮らしです。
ほかのメンバーはやっぱり医療業界のことに興味があるようでいくつか質問を受けます。
いろんな方と話す中でボクが素直に感じたのは
「日本のメーカー、ビジネスマンはがんばってるな」ということでした。
あと、みなさんが一様に心配されていたのはお子さんの教育でした。
定番は現地の学校に通わせて土曜日に国語と算数の補習を日本語学校で追加、のようです。
というのも全般的にアメリカの人々は計算能力が日本人より低からだと思います。
欧米人はいかなる単純な計算でも計算機を使います。
逆に言えば暗算できないんです。
ラボで欧米人が計算機を探している間にボクは暗算で計算してしまいます。
エモリーにいる日本人のお友達は
「外国には九九がないからですかねー」と言ってましたが確かにその通りですね。
さてこれからの小学校の算数には電卓が導入されると聞きます。
どうしてでしょう?
誰が学習指導要項を決めているのか知りませんが
「ゆとりの教育」というのは生徒に対するゆとりではありませんね?
ま、何にしてもこれからは子供の教育一つとっても他人に頼ってはいけないということです。


2)エモリー日本人会

今年に入ってからはエモリー大学のなかでも日本人交流の輪が大きく広がりました。
交流の輪の中には日本で5−10年ほど研究されていて
日本語がぺらぺらの中国出身の方々がいらっしゃるので
正確には「日本語交流の輪」なのですがそこは勘弁していただいくとしましょ。
それにしてもボクがエモリーに来て最初の2年間は、
ほんとーに日本人研究者に会うことが少なかったのですがここに来て巡り合う機会も増えました。
最近では、あるアパートメントの庭でバーベキューパーテイ、
続いて8月にお帰りになる御夫妻の自宅でのパーテイ(写真その1)、
さらのその御夫妻の送別会がアトランタのおすし屋さんで催されました(写真その2)


その1


その2

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参加するたびに新しい人たちと知りあうことが出来ます。
こうしてみるとエモリーには沢山の人が日本から来ていることが解りました。
今回のメンバーだけでも、
腎臓内科医、消化器内科医、神経内科医、化学者、麻酔科医、小児科医、
外科医、公衆衛生(疫学)、生理学者、公衆衛生修士課程の人(日本では看護婦さんです)などなどなど・・・
さらに北は北海道から南は熊本大分までいろんな出身の方がいます。
みなさんそれぞれ、アトランタという異国の生活を楽しみまた苦労しながら、
勉学、仕事に励んでいるのです。
そしてこういった機会にアトランタの生活情報を交換したり仕事の話をしたり日本のことを話したり・・。
そういった交流の輪にはもちろん学閥はありません。
派閥もできません。
年齢による上下関係もなし。
つまりはPREJUDICE
(ここでは敢えて「偏見」ではなく「先入観」と訳しておきましょう)なしに、
各人の歴史と言いましょうか生き方を尊重して交流するから人間関係のストレスもありません。
前の三田会での交流もそうですが、
こういったバイアスのないピュアな状況で築いた交流関係は日本に帰ってからも大切にしたいと思っています。


3)エモリー交流その2

ある土曜日、実験が終わった後で、
ラボのドイツ人と一緒に彼の友人のバーベキューパーテイに参加しました。
こうしてみるとバーベキューパーテイって多いんじゃない?と思いますよね。
そうです。
こちらのアパートメントの一角には必ずバーベキューセットが備えられているのです。
食材が安いので大勢集まって食べるには持って来いだからかもしれません。
大抵のパーテイはみなで食材や飲み物をひとつずつ持ち寄ります。
日本でみなで集まるならば「どこかの飲み屋か料理店で」となりますよね。
それはそれで簡便でいいのですが、
みんなで持ち寄るパーテイも経済的でかつアットホームでいい雰囲気です。

さてそのパーテイはドイツ人二人、台湾系タイ人、ペルー人、日本人でした。
食事を終えてプールサイドで夜12時まで話し込みました。
フジモリ大統領の話、パレスチナの話、
アメリカ社会のひずみ、お互いの国での教育の話、言葉の話などなど・・

また昨日はラボの友人のガールフレンドのロビンちゃんの卒業記念ホームパーテイに招かれました。
ここでもまた12時過ぎまで意見交換です。
メンバーはアメリカ人二人、ドイツ人ふたり、イラン人、パキスタン出身のアメリカ人、そして日本人。
話題はアメリカと欧州・アジアの都市計画の違い、関連してエネルギー政策
(なぜこういう話になったかというと、
ロビンちゃんはUniversity of GeorgiaのArchitectureを卒業したからなんです)、
さらに政治の話、世界を改革するためにはどうすればよいか、などなど・・・・。
 みなさん御興味があるでしょうからひとつひとつ話してあげたいのですが、
これほど文章にすることが困難な話題もなかったのでここは一つご勘弁ください。

ここまで書いてくると、
ボクにとって最もエキサイテイングで新鮮なひとときは「異種との交流」のようです。
異業種、サイエンスのなかで違った目標を持っている人たち、そして異文化との交流です。
この「異種との交流」は、
そのなかで
「原点からの自己表現を必要とするため自己を再確認できる」
「自己をオープンにするため客観的に自己を判断できる」
「なにより視点、視野が広がる」
というかけがえのない体験をもたらしてくれます。


4)おまけ、のび太の映画日記

今年に入ってこちらで映画を見る機会もすこーし増えました。
アメリカでの映画が日本と違うのは、
夜遅くまでやってるし更に安いので(立見なしの入場制限で9ドル)手軽な娯楽として成立していることです。
最近観た映画は「スターウオーズ・エピソード2」と「The Reign of Fire」です。

後者はラボの友達に誘われたので観ましたが駄 作です。
日本でいうならば民放地上波テレビで午前2時半から放送しているようなB級映画でしょう。
映画館で見る必要はありません。
ドラゴンが好きならば話は別ですが。
エピ2はまあまあでした。
ボクはエピソード1を観ていませんが話は十分わかりました。
10点満点で7.5点でしょうか。
ナタリーポートマンがキレイでした。
あとはやっぱりヨーダですね。
アナキン・スカイウオーカー(のちのダースベーダー)役の若い俳優さんの演技は平板で、
一昔前のアイドル映画のようでした。
彼の演技ではアナキンがダークサイドに落ちていく生き様を表現するのは荷が重すぎたようですね。

映画全体の印象として、
筋は面白かったですが最初の三部作の時のドキドキ感はありませんでした。
すでに「ヨーダ、オビワン、ダースベーダーの師弟関係」
「ダースベーダーがルークのお父さんだった」
「レイア姫とルークが実は姉弟だった」
などなど事実すべてが知れ渡ってるわけです。
どうしてもそれらを紡いでいく伏線の連続になるのでまあ、
やむを得ないかもしれません。
宇宙冒険活劇もありますし、
ナタリーちゃんとヨーダを観るだけでも価値はあると思います。

2002.9