さて,今回はサヘル通信をお送りします.
サヘル通信を読むと
「ほかの国に行って保健,衛生,教育などいろいろなインフラを共同して整えていくのって大変だなあ」って感じます.
まさにstep by stepでしょうか.
また,サヘル通信の最後,
セネガルの気候,文化について読むのがのび太は大好きです.
日本とはまったく異なる国の様子を知ることができるのはとっても楽しいことです.
さて,サヘル通信のサヘルってどういった意味かご存じでしょうか.
毎号きちんと読んでいる方ならお分かりですね.
サヘルとはアラビア語で「縁」で,サハラ砂漠南縁部をさすそうです.
セネガルはサヘル諸国の一員ということになりますね.
詳しいことはサヘル通信NO. 55にあります.
今回お送りするNO. 58&59と合わせて御覧下さい.
のび太
     
     
   

   
    発行日2005年10月31日
セネガル保健人材開発促進プロジェクト
   
         
     サヘル通信9、10月合併号をお届けいたします。
 セネガルではラマダン(断食)が10月5日から開始されました。8日にはワールドカップへの出場をかけたセネガル・マリ戦が行われました。3-0とマリには勝ったものの、同日行われたトーゴ・コンゴ戦でトーゴが勝利したため、セネガルのワールドカップ出場の夢は消えてしまいました。
 9月29日DEME人材局長の異動に伴い、Yankhoba SOW氏が新たに人材局長そしてPADRHSのプロジェクト・マネージャーに就任いたしました。SOW氏は医師ではありませんが、これまで州立病院長を歴任した行政官です。
 日本人専門家の動向としては、今年5,6月には短期専門家として赴任した澤田和美専門家が、9月20日に長期専門家として着任いたしました。
 今月号は、澤田専門家の「ENDSSの新学期」、カウンターパートの1人であるFALL人材部長の「日本での研修を終えて」、そして「ダカールのラマダン寸描」をお届けいたします。
   
         
    I. ENDSSの新学期     澤田和美専門家

9月22日、3ヶ月ぶりに来たENDSSはバカンスの最中で、前回短期専門家として赴任した5〜6月とは違いガードマンと清掃員以外、学生も教員の姿もなく閑散としていました。さらに羊が紐につながれて前庭で草を食んでいます。10月3日には難関の入学試験を突破した新1年生が登録のために、緊張した面持ちで朝から管理棟が開くのを待っていました。この日が新年度の始まりと考えて、カウンターパートとの再会も楽しみにしていたのですが、看護学科の先生は現われず、助産学科の先生と挨拶したのみでした。他学科の先生も「ボンジュール」「サバ?」と言う挨拶を交わした後、帰宅していきました。翌日も私は上半期の報告書にセネガルにいなかった7月の学年末の様子を記述したいと看護学科の先生を訪ねても研究室は鍵がかけられたまま、さらに来年度計画の立案もあり困っていると、ポツリポツリと先生たちが出勤してきました。しかし10月5日から始まったラマダンのせいで空腹の極みになる夕方は早めに帰宅、午後はお腹がすいてどことなくいらいらしている感じなのです。さらに、「10月試験の準備で忙しいの」とせわしない様子で、なかなか先生たちとじっくり話す時間がとれません。
 10月試験として、7日からは7月の学年末試験を落とした生徒の再試験、12日からは看護師・助産師の第1回(7月)国家試験不合格者の再試験が始まりました。助産学科の病院での臨床実地試験を見学する機会を得ました。試験はその日に来院する学生の試験に適切な事例を選択して承諾を得た後に、二人の試験官がついて受験生が診察します。実事例で学生が診察をするので、危険な場合は試験官が中止させるそうです。診察後に学生は事例に関して記述をした後に、10分間で発表して、この内容を審査官3〜4名が採点します。ウォルフ語しかできない妊婦さんにコモロイスラム共和国の留学生でフランス語しかできない学生が当たり、試験官が通訳をしながら診察は進められました。学生が計測をした後に試験官である教員が計測をして実測値が正確であるか確認しますが、その時に教員は丁寧な言葉がけをして妊婦が安心できるように配慮をしています。妊婦へのケアと同時に学生の様子をしっかり観察する教員の姿は、どこの国でも同じなのではないかと感じました。日本で看護教員として15年間、私が大切にしてきた、学生が成長するには、さらに患者さんにとっても最善のケアにつなげるにはどうしたらよいかについて、セネガルの先生達も同じよう取り組んでいるように思います。
 このように、セネガルでは10月で新年度が始まるものの、まずは前年度の後始末、落第生たちを進級させるテストから始まり、それから授業料の納入と登録、そして進級が決まり、新しい学年編成ができるようです。桜の花が咲き、入学式、進級、新しい先生との出逢いといった日本の新年度とは違い、暑い時期から雨が降り涼しなったり、再び暑くなったりといった気候の厳しい時期に、手続きから始まり、11月になると講義が始まるといった流れがセネガルの新年度のようです。

臨床実地試験のための事例選択を行う
助産学科の教員たち
臨床実地試験で患者さんの血圧測定をする
助産師学生
   
         
   

II. 日本での研修を終えて     Ndiouga FALL人材部長
 日本には8月中旬より約2週間滞在し、東が丘看護助産学校、厚生労働省、国立国際医療センターなどでの研修に参加しました。私が参加した研修は講義や視察を通じて知識を獲得することと、振り返りなどの内省的な時間が組み合わされたものでした。日本の看護助産教育は自己学習のシステムがとてもよく整えられていると感じました。また、日本の看護助産教育は専門学校から大学へ徐々に移行しつつあり、その日本の事例はセネガルがまさに行おうとしているところで非常に参考になると感じました。日本の柔軟な保健人材管理方法は特に民間部門にとって重要であり、また、とても重要な役割を地方自治体レベルで果たしています。また、そのシステムが地方分権化されており、常に質を高めるための努力をしていると思いました。また、国立国際医療センターで行われた人間関係トレーニングの「私の窓」がとても印象に残っています。研修初日に「私の窓」で互いに自己紹介をしながら、第一の窓に「今の気持ち」、第二の窓に「今の人とのかかわり方と子どもの頃の人とのかかわり方」、第三の窓に「研修のねらい」を書きました。しかし、この時は「私の窓」を行う意味がよく分かりませんでした。研修最終日に4つ目の最後の窓に今の気持ちを記入しました。その時、「日本を去る寂しさ」「もう少し残り研修に参加したかったという思い」がある一方で、「自分の持ち場に早く戻りチャレンジしたい思い」が複雑に入り混じっているということに気がつきました。そしてこれが私の研修に対する全ての思いであり、この時、日本での研修が自分に与えたインパクトと重要さを初めて理解することができました。そして同時に自分の研修におけるミッションは完了したと気づくことが出来ました。
 私は常々日本は模範にすべき国であると思っており、日本に到着した際、その思いを強くしました。「日本の奇跡」と呼ばれるものは、人間そして規律・信条を重んじてきた人々の決意に過ぎず、この2つの側面が現在の日本の発展に多大なる影響を与えてきたと考えます。
 日本滞在中に出会った全ての皆さんを友だちと思っています。そして、この場を借りて皆さんに私の感謝の気持ちを伝えたいと思います。私は非常にあなた方の国、人々が大好きです。そして、あなた方の国の実例が私の国セネガルをどんどん刺激してくれるようにと願っております。

写真左:東が丘看護助産学校で妊婦体験ジャケットを
    試すFALLさん
写真下:国立国際医療センター国際医療協力局で
   
         
   

III. ダカールのラマダン(断食)寸描
 セネガルでは5日からラマダンに入りました。しかしながら、ラマダンの開始日はその前日まで確定されなかったのです。前の週に誰に聞いても、「月を観測した結果決まるから、多分4日か5日だと思う。」と、なんとものんびりした答えが返ってきました。また、ムーリッド派(イスラム教の一派)はラマダンを翌日の6日から開始するという、同じ国で同じ月を観測しているのに結果が違う(?)という、これもまた不思議なことが起こっていました。
 ラマダン中(1ヶ月間)は、朝6時までに食事を終え、夕方の7時までは飲食をしないという厳しい生活が行われます。ラマダンは最初の1週間が大変つらく、その後徐々に身体が慣れて日中飲食しなくても平気になるそうです。セネガルの断食開始年齢は、「子供自らが『出来る』と自信を持った時に断食を始めるので、開始年齢に関する決まりは特にない。」ということでした。それでも、大体10−12歳くらいから始めることが多いそうです。
 ラマダンに入り大きく変わったことは、夕方のスーパーが込み合い、レジ待ちの長蛇の列が出現するようになったことでしょうか。ラマダンの期間は日没後(7時以降)にパンなど普段は朝食に食べるものを食べるので、それらを買い求める人が夕方スーパーに殺到しているのです。英語でBreakfastとは、fast(断食:夜間睡眠中は断食状態)をbreak(中断)するものですから、ラマダン中その日の断食を中断するもの(Breakfast)として、いつもの朝食を食べるのも道理と妙に納得がいきました。そして、夜の10〜11時頃には、再び通常の食事を摂るのだそうです。一日の断食明けに食べるもの、その回数はその家族のエスニック、住む場所(都市か村か)によって異なるそうですが。
 「ラマダン中は仕事にならないのでは?」とよく聞かれますが、セネガル人に関しては「否」と言えるでしょう。昼休みをとらない分、夕方は早めに帰宅できるようにしている企業もあるそうですが、ラマダン中でも出張も会議も通常と同じようにこなします。一緒に出張したり、会議を行ったりした場合、昼食抜きで続行される会議などで日本人の方が先にへばってしまうことも多々ありま。

9,10月の主な活動
ゴサス地区お産介助者(マトロン)第4期研修開始
ICPによるASC活動モニタリング

 

 
   
     
  プロジェクト代表事務所 Bureau au Ministe´re de la Sante´ et de la Pre´vention Me´dicale
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B.P. 3323, Dakar, Senegal
 
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2006.02A