ショートコラム
World Cup 2006 特集
熱闘

のび太は夏風邪を引いてしまいました.
体調が悪くて試合を見られません.というか,
声が出ないのでみなさんにも迷惑かけてしまってます.
のび太は実は冷房が苦手です.
暑くてもだらだら汗をかいて,何度も着替えて何度もシャワーを浴びるのが好きです.
日本は亜熱帯モンスーン気候になって,
電車や屋内の冷房がきつく,屋外との寒暖の差が激しく,
のび太には過ごしにくくなりました.
■■■ 1) 芸術 ■■■
ブラジルーガーナ戦,1点目です.
カカがドリブルで持ち込む.
アドリアーノが右からディフェンダーの裏を狙う.
ディフェンダーはラインを保ちアドリアーノはオフサイドポジション.
その間隙をぬってロナウドが裏に飛び出して,カカが絶妙のパス.
この連動したプレーがほんの数秒に展開されます.
「むーっ!」と唸るしかありません.
ちなみにアルゼンチン,対象牙海岸戦2点目も同じでした.
クレスポが左から裏へ,でも彼はオフサイドポジション.
ディフェンダーはクレスポがオフサイドであることに気をとられます.
その間にサビオラが裏をとってリケルメが絶妙のスルー.
これが南米のフットボールです.
でももう見られません.
■■■ 2)執念 ■■■
イタリアはなんとかオーストラリアを下しました.
のび太は2002年大会もイタリアを応援していましたが,
ヒディンク率いる韓国に破れました.
今年は,日本がヒディンク率いるオーストラリアに破れました.
ヒディンクは確かに名将ですが,のび太の仇敵でした.
それにしても,イタリアはずる賢いフットボールをします.
がつがつ当たる欧州サッカーと,華麗な南米フットボールの中間かもしれません.
イタリア,リッピ監督は疲労のトッティをはずして,デルピエロを加えた3トップ.
このへんの采配も狙いは見事でしたがデルピエロはまったく不調でした.
マセラッティが1発レッドとは思えない反則で退場.
イタリアはその後10人で堅守に終始します.
ヒディンクは延長を見据えて交替要員を2人残していました.
イタリアは後半トッティを入れてから少しリズムが出ましたが,
それまでは全く攻撃できていませんでした.
そしてロスタイム.イタリアにとっては: |
|
(1) |
このまま延長にいけば,フィジカルに強いオーストラリア優位.
10人でプレーするイタリアには勝機はない. |
|
(2) |
ひとり少ないので自分たちはオーストラリアから反則をとりやすい. |
|
(3) |
まして,普通ならイエローカードで済んでもおかしくない反則に1発レッドを出した審判は,精神的にバランスをとろうとしてイタリアに甘くなる. |
この状況を理解しているグロッソが左をドリプル突破でペナルティエリア内へ,
運悪く滑って倒れたオーストラリアディフェンダーがグロッソをひっかけてPKとなりました.
普通はPKになるほどの反則ではないかもしれません.
でも,審判の心まで読んで勝ちにいくイタリアの老獪さ.
これもフットボールです.
日本はもうちょっとずるくてもいいかもしれませんね.
■■■ 3) 采配 ■■■
ドイツはアルゼンチンを破りました.
いままでPK戦負け知らずのドイツにとっては,
120分終わって1―1で勝負あり,
と思っていたでしょう.
けがで満足に動けないバラック,それでも120分プレーさせたドイツ.
運動量が少なく,守備には適していないとは言え,
絶対的司令塔のリケルメを交替させたアルゼンチン.
この采配が明暗を分けました.
残念です.
■■■ 4) 審判 ■■■
今回の審判はかなり厳し目です.
すぐにイエローカードが出ます.
それも,体格の強いチームががつがつ当たってファウルで止めるプレーに
終始しているからかもしれません.
また,がつがつ当たられるほうはそれを利用して,
倒れてプレーを止めるのも目につきます.
まあ,駆け引きですからこれもフットボールですが,
時々目に余りますね.
ワールドカップが国の威信をかけた戦争であるからこそ,
のプレーかもしれませんが.
■■■ 5) 日本その1 ■■■
ベスト8に日本人が出場しました.
イタリアーウクライナ戦で上川審判,広嶋審判は控え審判でした.
実際にフィールドではプレーしていませんでしたが,
立派ですね.
■■■ 6) 日本その2 ■■■
トルシエ前監督は朝日新聞スポーツ欄に毎日コラムを書いています.
興味深いですよ.
彼の予想では決勝はドイツ対フランスだそうです.
さて,彼はコラムでも書いていました.
日本はとてもよくやったと思います.
トルシエ氏のもとでの4年間,
ジーコ監督との4年間,
個々の能力もチームとしてもフットボールは上達したと思います.
ただ,この8年間で世界のフットボールも進歩しました.
ユーロ杯,コンフェデ杯,チャンピオンズリーグ,各国のリーグと,
かつてより盛んになり,各国のフットボール自体がレベルアップしたのではないでしょうか.
その結果が今回の予選敗退というだけのことです.
8年前フランス大会では勝ち点0,今回ドイツ大会では勝ち点1.
4年後のアジア予選突破,ワールドカップ決勝トーナメント出場を目標にサポートしていきましょう.
■■■ 7) 南米 ■■■
ブラジル,アルゼンチンとも敗退しました.
ともにパスを華麗に回します.
がつがつ潰し合うサッカーではない,
上品なフットボールをする南米チームがいなくなったのは残念です.
結局,
バロンドールの法則は生きてましたね.
■■■ 8) 伊達 ■■■
のび太が希望する決勝戦はイタリアーポルトガルです.
多くの人はドイツーフランス戦と予想していると思います.
民族的対立の激しいドイツーフランス戦も
まあ,興味深いですが(お互い大嫌いですよね).
ただその前に.
ドイツはいままでイタリアに勝ったことがありません.
さて,イタリアについての法則をひとつ.
イタリアは12年毎にワールドカップ決勝に進出し,
いままで,準優勝,優勝,準優勝ときています.
つまり;
|
優 勝 |
準優勝 |
1970年メキシコ大会 |
ブラジル |
イタリア |
1982年スペイン大会 |
イタリア |
西ドイツ |
1994年アメリカ大会 |
ブラジル |
イタリア |
2006年ドイツ大会 |
?? |
?? |
さあー,今年は順番からすると,イタリアの優勝です!!
2006.06H