その4

ふうりがん日記

>>>「シメオネの涙」<<<

強豪と目された国が姿を消していくなか、
今日は「アルゼンチン・スエーデン戦」レポートです。

(0)

----- 6月13日午前1時30分、帰宅 -----

仙台から最終の新幹線でやっとこさ帰宅。
家では家内が勉強していました。
流れていた音楽はブラームス「ドツ・レク(ドイツ・レクイエム)」。
鎮魂には持って来いですね。
そう、今日の試合後は脱力感に襲われました。

(1)

6月12日午前10時半、東京駅。

今日はアルゼンチン・スエーデン戦の観戦です。
義妹・ミカさんと新幹線で仙台へ乗り込みます。
東京駅は水色(アルゼンチン派)と黄色(スエーデン派)が半々。
けっこう日本人のなかにもスエーデンのジャージを着ている人が多いですね。
ボクは気合いを入れて鼻ッからアルゼンチンジャージ着用です。

(2)

同、新幹線車内。

ボクら二人はおっきな外人さんと3人掛けの座席に相席でした。
程なく質問攻めから会話が始まりました。
「君たち日本人だろ、どうしてアルゼンチンのジャージを着てるの?」
「そうだね、アルゼンチンの選手の方がスエーデンの選手より馴染みがあるからね。
ボクの好きな選手もいるし。
ほかにはスエーデンのジャージを着てる日本人もいるよ。
ところで、どこから来たの?」
「スエーデンだよ。」
あらら、それでアルゼンチンのジャージ着てるのを見咎めたのかしらん。
外国人からすると、
日本人がほかの国のジャージを着て応援するのはとっても不思議なようです。
思い出してみると、たしかにみなさん、
自国以外の観戦や応援のためにスタジアムに行くときも自分の国のジャージを着てましたね。
ベッカムやロナウドもそのコメントのなかで、
日本の試合ではみんながホームのように応援してくれてとても嬉しかった、
とびっくりしてましたっけ。
「日本人の平均的な年収はいくらくらいなの?たとえば、タクシーの運転手やこの列
車の車掌さんの年収はどれくらい?」
さあーてねと、ミカさんと顔を見合わせて
「大体500−800万円くらいかな。でもどうしてそんなこと聞くの?」
「日本は物価が高いからね。ビールを飲むにもすぐに1000円越えちゃうよね。
これで生活できるのかな、と思ってね。」
日本人はそんなにビールばっかり飲まないよ、とは答えず、
日本経済は衰退しているとかデフレでこれでも物価は安くなったんだとかごまかしました。
「今ボクはアメリカに住んでるけど確かに日本の物価はアメリカの倍くらいするもんね。」
その後ボクたちはお弁当を食べ始めました。
「それなに?Sea weed?」
「あ、これね、おにぎりでね、海苔(Sea weed)が巻いてあるの。」
「それは?紙みたいだけど?」
「これはね、ベトナム風の春巻き。Rice paperで巻いてあるんだよ。」
なんでも珍しいみたい。
あとで家内に話したら
「『Why don't you try this?』ってすすめてあげればよかったのに。」
うん、そうすれば、もっと面白い感想聞けたかも?!
「日本に戻ってくるとやっぱり日本食が恋しくなる?」
「うーん、日本食に限らず食事は全部美味しいね。
アメリカにはまともな食べ物ないから。」
ヨーロッパ人にはこのジョークはてきめんですね。
大爆笑してました。

(3)

同12時40分、仙台駅。

仙台駅はたくさんのJR職員が待機していました。
スタジアムのシートによりここで乗り換える電車が異なるためです。
でも仙台駅のフロアにシートの色別にラインが引かれていて、
それにしたがって進めば間違えずに乗り換え電車のホームにたどり着けることが出来るようになってました。
とてもわかりやすかったです。
地方自治体の気合いの入り方はさすが違いますね。
ボクたちは仙台駅からワールドカップ用特別列車で利府駅に向かいました。

(4)

午後2時、宮城スタジアム。

お天気は曇り。
まだ肌寒くもなく、なんとか雨にも降られずに済みそうです
ゲート前ではアルゼンチンサポーターが盛り上がってます。

これを南米(かな?)のテレビ局がカメラに撮影しています。
なんといっても今日アルゼンチンは、勝たないと予選突破できません。
 さて、鹿島と違って宮城には屋台などはありませんでした。
そのかわりといってはなんですが、
ゲートを入ってからいろんなスポンサーのブースサービスがありました。
ボクらはコカコーラのブースでface paintingをしてもらいました。
ほかのブースではフレンドパークのようなゲームをしたり、
応援の声の大きさを競い合ったり、、、。
そのなかで一番人気は宮城県のブースです。
ここでは、地元の書道家が小さな色紙や顔に毛筆で字を書いてくれます。

これが外人さん、若者問わず人気でした。
顔に毛筆、ひらがなで「ばてい」とか「しめおね」とか書いてもらってるんです。
でも、これ、とってもイイ企画でした。

(5)

午後3時半、キックオフ。

試合結果はもう御存知でしょうが、、。


ボクも「一億総セルジオ越後化」の一員となるつもりもないですが少し感想だけ。
アルゼンチンはベロンの調子が悪いのかトップ下にアイマールを使ってきました。
トップはバテイ。左はC・ロペス。
前半アルゼンチンは何度かチャンスを作りました。
ただ、ロペスは3回シュートをはずしましたね。
うーん、ロペスはすばらしいクロスをあげるのですが自分で撃ちに行くと今回は
なかなか枠にいかないようです。
アルゼンチンが押しているがおもーい展開でした。
後半スエーデンがセットプレーから1点とります。
ここからアルゼンチンの悲壮な猛攻が始まりました。
トップはクレスポに、守備的中盤をキリ・ゴンザレスとベロンに替える。
クレスポ、C・ロペス、オルテガ、アイマール、ベロン、キリ・ゴンザレスによる猛攻。
圧巻でした。

しかしスエーデンはアルゼンチン選手より体格が一回り大きく、
いざとなるとペナルテイエリア内に8人が入って守ります。
クロスをあげてもシュートをうっても壁にはねかえされるのです。
86分にオルテガがPKをとり同点にしましたが、
これも一度はキーパーに止められたところをクレスポがやっと押し込んだものでした。
試合はこのまま引き分けとなりました。
崩れ落ちるアルゼンチンイレブン。
アルゼンチンの予選敗退は40年ぶりと聞きます。
ボクはとんでもない歴史の証人の一人になってしまいました。
今日試合に出場していなかったシメオネのいかつい顔が
涙でグシャグシャになっていたのが目に焼き付いてしまいました。

(6)

午後6時半、仙台駅周辺。

仙台の夕方はいっそう肌寒いものでした。
ボクは「勝ったら牛タン、まけたら寂しくササカマに缶ビールで帰る」と思っていたのですが、
ミカさんの「美味しい牛タンのお店を知ってる」
という言葉に魅かれるまま食べに行きました。
ま、残念会ですね。
 お店は10人が座れるくらいのカウンターのお店でした。
でも、料理はすごく美味しかったです。
牛タン、なかおち、空豆など。
やっぱりお店はお客さんで一杯。
カウンター左隣は奈良から観戦に来た御家族。
昨秋の葉書での応募に当選してチケットを購入できたそうです。
ボクは葉書が当たってチケット購入できた人たちに初めて会いました。
右隣は大学院生二人組。
どちらのお客さんも全く見ず知らずでしたがアルゼンチンジャージを着ていたことからサッカーの話で盛り上がりました。
外国人とだけでなく、日本人ともこのように食事をしながら一つの話題で話の花が咲く、
というのは、今まで経験ありませんでした。
やはりワールドカップならではでしょうね。

(7)

午後9時25分、仙台駅。

当初の予定を遅らせて東京行き最終新幹線に乗り込みました。
お土産には、笹蒲鉾、ずんだ餅、そして生ドラ焼きです。
 残念ながら、もうアルゼンチンのジャージを着るチャンスはありません。
このジャージは、次回ワールドカップの機会まで、大事に着ていきたいと思います。

次回は「のび太のふうりがん日記:キムチにカルビだ、ソウル大作戦」です。

後記

この日記を書いてる時点でベスト4が揃いました。
日本は惜しかったですね。
ただトルコは非常に強いチームだったと思います。
さて、メデイアでは「次2006年へ向けて」とありますが、次は2005年です。
そう、アジア予選があるんですよ、次は。
中国は今回3連敗でした。
でも4年前フランス大会の日本も同じでしたよね。
アジア予選は楽観できるものではないはずです。
さあ、そのためにはどうすれば?勿論優秀な選手がもっと外国のリーグに出ていくことも必要でしょう。
ただ、今のメンバーだけでは2006年戦えません。
若い素晴らしい選手がまた出てくるには国内リーグ(つまりはJ1、J2など)のいっそうの充実が不可欠です。
今回ワールドカップの素晴らしいプレーでサッカーに興味を持ったら、
これを機会に地元のチームを応援しませんか?
 さて、ボクの地元はどこになるのでしょう?
湘南ベルマーレ?
FC東京でしょうか?
それとも横浜FC?
選ぶのもまた楽しみかな?


2002.6.25