視能矯正学科

Department of Orthoptics , Faculty of Medical science and technologies
Teikyo University

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はじめに ありき

図 1

~光は 何色

私たちがものを「見る」あるいは「見える」ためには,「光」が必要です.すなわち,物体から反射した光が存在すること,そしてそれを捉えることからはじまります.
これらを「光源 light source」と呼びます.光源には,太陽や電球など自ら発光するものとその光を反射するものとがあるわけです.
では,「光」とは,なんでしょうか.誰でも知っている光ですが,その正体は何世紀もの間,光は波動の種だという説(このときは 光波こう は  と呼ばれます)と,光は粒子の種だという説(このときは 光子こう し  と呼ばれます)とが対立していました.ようやく,

20世紀の初頭に登場した量子力学によって,光は 粒 でもあり 波 でもあるということに決着します.つまり,光は伝わってくる途中は『波』として振る舞い(因みに,見えません),ものに当たった瞬間『粒』に変身します.「波として伝わり,粒として現象する」 これが,光速で移動することで質量ゼロ ・・・ これもまた解らない.とにかく,

科学的には「光」とは,電磁波(=電気と磁気の周期波動,進行方向に垂直な面内で相互に直交した電場と磁場が同じ位相で振動する波)スペクトルのうちの部で目に見えるもの,あるいは,目(視細胞)に作用して視感覚を起こさせる物理的因子,ということです. 「電磁波は空間そのものがエネルギーを持って振動するものについて, やっぱり ハテナ なので,粒である光量子が振動しながら光速で移動する,とすれば光速度の中の振動数が波長となり視細胞を刺激するらしいことで何となくわかったことにしましょう.
量子論は,放射体から発散している光や視細胞の光受容体に吸収される光の記述に有用です.
波動論は,角膜や水晶体に入っていく光やスリットの開口や瞳孔を通っていく光の記述に有用です.

通常は「光 light」とは「可視光 visible light」という意味で用い,ヒトの眼で見える範囲をいいます.
波長約780380 nm ,振動数(周波数)48×1014 Hz の電磁波です.この範囲で波長の長いほうから,
(red)(orange)(yellow)(green)(blue)(indigo)(菫;すみれ violet )の色として,が認識します(色の認識は,視細胞でも眼でもありません)
✤つまりは虹の七色です.プリズムを使って光を見た元祖はニュートン(Sir Isaac Newton )だそうです.
✤表現を変えると,例えば700nm の光をヒトは「赤」と言っている,ということでしょうか
✤いわゆる赤外線とか紫外線がみえる生物も多い.彼らにはどのように見えているのでしょうか
✤我々の視色素も紫外線をキャッチできるとのことだが,有害部分のほうが多いらしく網膜の手前で排除されているようです.

光はそれ自体は見えません.色も付いてません.宇宙空間は太陽や星の光で杯のはずですが真っ暗であるというパラドクスがあります.恒星は意外に多くない上に遠方ほど光速以上の速度で拡大している(反射するものがない)ために暗いのだ,とか.ま,いいか.
光は,①発光体を見る,②なにかに反射した光を見る,このつの場合以外は見えないことになっています.

わずか1オクターブの「光」の情報を感知しているのが,「め」です.更に視界として認識するのは,「脳」です.

感覚

感覚 sense とは,内部環境や外部環境の変化を刺激として感知し意識する神経機能と説明されます.感知検出する受容器 sensor を持つのが感覚器 sensory organ です.
ひとつの感覚系とは,「受容器」「伝導路」「感覚野」の統合で構成されます.受容器が刺激 stimulus に反応すると接続した求心神経線維の活動電位 nerve impulse が発生し,その信号を脳へ送り,脳がそのデータを分析し情報を解釈して感覚が成立することになります.信号の経路が神経伝導路,行き先は大脳皮質の感覚野です.
感覚 sensation の種類については次のように分けています.

(1)内臓感覚(visceral sensation)自律神経によって伝えられる感覚.臓器感覚(吐き気など),内臓痛,関連痛.
(2)体性感覚(somatic sensation)体性神経によって伝えられる感覚.
  a.皮膚感覚(表面感覚)皮膚にある受容器による感覚.触覚,圧覚,温覚,冷覚,痛覚.
  b.深部感覚筋,腱,関節にある受容器による感覚.運動感覚,振動感覚,深部痛.
  c.特殊感覚受容器がつの臓器となっている感覚.味覚,嗅覚,聴覚,平衡感覚,視覚.

(3)五感視覚聴覚嗅覚味覚触覚

特殊感覚

図 2

受容器から大脳皮質まで脳神経を経由し,形態学的実体のあるものが「特殊体性感覚」です.

・嗅覚・・・・・・第1脳神経 olfactory nerve
・視覚・・・・・・第2脳神経 optic nerve
・味覚・・・・・・第7脳神経 facial nerve
 &
第9脳神経 glossopharyngeal nerve (舌咽神経)
・聴覚
 &前庭感覚
・・・・・・第8脳神経 acoustic nerve

私たちの視覚は,としての光受容器に「杆体」「錐体」があり,杆体の働きで明暗の感覚が,錐体の働きで色の感覚というの違いが生じます.
(modality とは,音でいえば聴覚,においでいえば嗅覚,などの種類)
(quality というのは,特性)

さらに,
視覚は動物が遠くはなれた所から情報を得るのに重要な感覚です.これは聴覚や嗅覚と同様と認識されています.
(感覚刺激が感覚器官と直接接することないということで,「遠隔感覚」と言ったりする.対して,意識して感覚を働かせる触覚や味覚は「近感覚」となる.)

図 3

感覚器官

このように,感覚器官は外界からの刺激を電気信号に換え,神経系で情報がリレーされます.
「め」は,外界からの情報の80%以上を依存する器官です.方で「め」にはいろいろな表情があります.
『目は魂の窓である』 (Leonardo da Vinci )ということで,外界に発信する器官でもあります.

視覚

視覚機能とは対象物(あるいは,光源)の明暗・色彩弁別,形態や動き,方向・位置,対象物までの距離,などの認識です.

視覚認知は,
 第が 網膜で光学的情報を電気的信号に変換すること,すなわち入力系
 第が 対応する処理中枢での視覚信号の投影・解読,記憶情報と照合すること,すなわち情報処理系
 第が 読み・書き,あるいは手足の動き,姿勢,すなわち運動機能の制御系
というように考えられます.

これから,入力装置について学習します.

名付けて,視能解剖学

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