血 管神 経

vascular systemnervous system

1)血管系
  ・動脈系
  ・静脈系
  ・血液網膜関門
2)神経系

血管のこと

図 01

§.動脈系

眼科領域に関わるのは,内頸動脈から分かれた眼動脈 ophthalmic artery とその分枝がほぼ中心であるが,顔面すなわち眼瞼涙囊部には外頸動脈の枝との吻合がみられる.

A.心臓からの経路はおよそ次の如くである.

1)大動脈 aorta
動脈系の基本となる大動脈は左心室から起こり,僅かに上行して(上行大動脈)から後方に曲がって脊柱の左側に至る(大動脈弓).そのご脊柱の前左側に沿って下がり,下行大動脈となる.
 ●上行大動脈 ascending aorta:左心室の大動脈口から始まり腕頭動脈を出すまでの短い部分.
 ●大動脈弓 aortic arch:上行大動脈に続く部分で,下行大動脈に接続する.縦隔上部に含まれる大動脈.
 ●枝として:
 ①腕頭動脈 brachiocephalic trunk()総頸動脈と鎖骨下動脈の枝を出す.
図 02  ②左総頸動脈 left common carotid artery
 ③左鎖骨下動脈 left subclavian artery
 ④椎骨動脈 vertebral artery

2)総頸動脈 common carotid artery
右総頸動脈は腕頭動脈から,左総頸動脈は大動脈弓から直接出る.頸動脈角にて外頸動脈と内頸動脈の2枝に分かれる.

3)椎骨動脈 vertebral artery
鎖骨下動脈から出る.椎骨の横突孔を通って上行し大後頭孔から頭蓋内に入る.延髄と橋の移行部で左右が合流し脳底動脈となり,脳幹と小脳を栄養する.その先は,後大脳動脈として後頭葉に分布する.後交通動脈によって中大脳動脈と連絡する.

4)内頸動脈 internal carotid artery
総頸動脈から分かれて上行し,頭蓋底の頸動脈管を通って頭蓋腔内に入る.海綿静脈洞に包まれながら前進し,U状にカーブしながら脳硬膜を貫いて主として中大脳動脈へ続く.
眼動脈・前大脳動脈を分岐する.眼動脈は視神経管に向かう.左右の前大脳動脈は前交通動脈によって連絡する.

5)Willis動脈輪
左右の内頸動脈と脳底動脈は前後の交通動脈によって互いに連絡する.Willis動脈輪である.

左前大脳動脈前交通動脈右前大脳動脈
 
中大脳動脈 ← 内頸動脈 内頸動脈 → 中大脳動脈
 
後交通動脈 脳底動脈 後交通動脈
図 03 図 04
【  頸動脈造影について

図 05

交通枝の存在は,循環障害を起きにくくしている.眼動脈も部が顔面皮膚に向かい上顎動脈(外頸動脈系)とのかすかな連絡がある.(両側の)内頸動脈が詰まっても脳底動脈でカバーできたり,眼動脈経由で外頸動脈が血流を確保する.ただし,脳実質への分布(穿通枝)は終動脈であり,これによる循環障害が「脳梗塞」となる.視放線領域に潅流する血管は,中大脳動脈・後大脳動脈である.

方で,Willis動脈輪は脳動脈瘤の好発部位で,内頸動脈,前交通動脈,中大脳動脈,・・の順となっている.
例えば,内頸動脈-後交通動脈分岐部(ICⲻPC)動脈瘤では動眼神経を圧迫することが多く,末梢性神経障害をきたすことになる.

6)内頸動脈と視神経視交叉の位置関係

7)眼動脈 ophthalmic artery 図 07
眼動脈は,内頸動脈の最初の主要分枝である.視神経とともに 視神経管 を通って眼窩に入り,眼窩の内容(眼球・涙腺など)を栄養する.

B.眼動脈の枝

眼球の動脈系は眼動脈による.次の枝がある.

1)網膜中心動脈 central retinal artery
網膜中心動脈CRAは眼動脈の最初の分枝である.眼球のうしろから約1520mm 離れたところで,視神経に外側から入り込む.視神経内を栄養する毛細血管の枝を出し篩状板を貫通するが,視神経乳頭面まで経路の途中では大きな分枝はない.乳頭部ではほぼ上下に分岐し,さらに耳側鼻側へ分岐しつつ網膜の表面に分布し,視神経乳頭表面(神経線維)を含む網膜内層(脳層)を栄養する.

2)後毛様()動脈 PCAs
眼動脈からは15本, さらに眼球後部では鼻側群と耳側群に分かれて視神経周囲の強膜を貫通し,ぶどう膜へ分布する.20本ほどあるらしい.

①短後毛様動脈 short posterior ciliary arteries
短後毛様動脈は脈絡膜に分布し,網膜外層(神経上皮層視細胞+網膜色素上皮細胞)を栄養する.
乳頭周囲では強膜内に動脈輪(ZinnHaller)を形成し,篩状板とその前部を栄養する.

②長後毛様動脈 long posterior ciliary arteries
眼球後部で眼内へ入った後,ほぼ39時の位置で赤道を越えて前進する2本は,毛様体・虹彩へ分布する.

3)前毛様()動脈 ACAs
前毛様()動脈は4直筋に沿う.途中で前結膜血管を分岐し,筋付着部から眼内へ入る.
外直筋部は1本,その他の直筋には各2本ずつ計7本あり,毛様体・虹彩へ分布する.

図 06 図 08

【第章】 網膜血管

【第章】 ぶどう膜血管

4)その他
涙腺動脈,前篩骨動脈,眼窩上動脈,内外の眼瞼動脈,鼻背動脈,前頭動脈,眼角動脈 ・・・

C.外頸動脈

眼瞼・眼周囲で外頸動脈系は大体が眼動脈の終枝と合流している(吻合という)

図 09

§.静脈系

図 10

心臓への経路はおよそ次の如くである.

A.眼球の静脈系は基本的に2系統である.
網膜の環流は 網膜中心静脈 で,ぶどう膜の環流は 渦静脈 で行う.

1)網膜中心静脈 central retinal vein
網膜の血流を受ける.乳頭部で1本に集合し,網膜中心動脈と並走して篩板を通過する.視神経内での並走部は,外膜を共有することは網膜面での形態と同じである.視神経を出る部は網膜中心動脈とは違う場所らしい
視神経を出ると,上眼静脈に合流する.

2)渦静脈 vortex veinsvenae vortecosae
ぶどう膜の血流は渦静脈に集合する.模式的には各象限ごとに1本づつ計4本あり,赤道部で強膜から眼外へ出る.上半象限からの渦静脈は上眼静脈に,下の象限からの渦静脈は下眼静脈に合流する.

3)前毛様体静脈 anterior ciliary veins
輪部では複雑な静脈系の吻合がある.房水 aqueous veinを排水するための 強膜血管叢 scleral plexusである.眼静脈へ合流する.

4)眼静脈 ophthalmic vein

上眼静脈 vena ophthalmica superior
上眼静脈 superior ophthalmic veinは眼動脈に沿って走る.すなわち内眼角でおこり,この部で顔面静脈や眼角静脈と吻合し,眼窩上壁を内側に沿って走行する.上強膜静脈 episcleral veinを含め,おおよそ眼動脈の分布域からの静脈を集める.上眼窩裂を通って頭蓋腔に入り 海綿静脈洞 に注ぐ.
②下眼静脈 vena ophthalmica inferior
下眼静脈 inferior ophthalmic veinは眼窩底の近傍で細い静脈が集まってできる.大部分が眼窩底で下直筋の上面を後方に走行し,上眼静脈に合流したのち海綿静脈洞へ入るか,あるいは上眼窩裂から海綿静脈洞へ直接に接続する.下眼静脈は前方では顔面静脈と,下方では下眼窩裂を通過し翼突筋静脈叢と交通している.

B.そのた

● 眼角静脈 angular veinvena angularis
 眼角での顔面静脈起始に相当し,滑車上静脈と眼窩上静脈が合流してつくられ内頸静脈へ注ぐ(海綿静脈洞は通らない)部は鼻前頭静脈を介して上眼静脈とつながる(これにより顔面(特に内眼角や鼻背)の炎症が眼角静脈経由で眼窩から脳へと移り,髄膜炎などを起こすことがある)

C.海綿静脈洞 cavernous sinussinus cavernosus

硬膜静脈洞.脳の静脈血は大脳の静脈に集められ,各所の硬膜静脈洞からS状静脈洞を介して内頸静脈に注ぐ.海綿静脈洞は蝶形骨体の両側にある.左右の海綿静脈洞は海綿間静脈洞で交通する.上下錐体静脈洞を経て 内頸静脈 に続く.

図 11 図 12

内部に内頸動脈のほか,動眼神経,滑車神経,1眼神経,2上顎神経,外転神経を入れる.

図 13 図 14

D.心臓まで

1)内頸静脈 internal jugular vein
S状静脈洞の続きとして頸静脈孔に始まり、胸鎖関節の後方で鎖骨下静脈と合し腕頭静脈となる.
ほとんど全ての頭頸部の血液を集める静脈で,総頸動脈の潅流領域にほぼ相当する.
(内頸動脈外頸動脈 内頸静脈)

2)腕頭静脈 brachiocephalic vein
内頸静脈と鎖骨下静脈が合して腕頭静脈ができる.
左右の腕頭静脈が合して上大静脈 superior vena cavaとなり右心房に注ぐ.

§.血液ⲻ眼 関門  blood-ocular barrier

図 15

神経の恒常性を保つため,血中の物質が拡散するのを制限し,神経を保護する柵機能.血液から周囲組織への拡散を阻止しているバリアが内方透過性機能であり,周囲組織から血液中に吸収する機構が外方透過性機能である.後者は active transportにより前者の30倍とのことである.眼内の関門(barrier)には,
 血液房水関門 bloodaqueous barrier
 血液網膜関門 bloodretinal barrier とがある.
両者(網膜色素上皮⇄毛様体無色素上皮)が切り替わるのは鋸状縁部であることで,この部の関門脆弱性が指摘されている.

1)血液房水関門 bloodaqueous barrier

図 16

血液房水関門(または血液房水柵)は毛様体無色素上皮細胞と虹彩血管内皮細胞があたる.

①毛様体の血管は有窓血管であり,血漿成分は毛様体実質中に出ている.無色素上皮細胞の tight junctionbarrier機能(上皮型関門)を果たす.
房水中の血漿タンパクはアルブミンが主で,かつ血中の 1/200300 ほどである.
アスコルビン酸,部の電解質イオンは能動輸送が行なわれている.

②虹彩の血管には窓構造(fenestration)がなく,内皮細胞には tight junctionがみられることから,ここに barrier機能が(内皮型関門)あることがわかる.
ただし虹彩の関門機能は不安定で,破綻しやすい.対して網膜血管の内皮型関門は破綻しにくい安定型といわれる.

2)血液網膜関門 bloodretinal barrier

図 17

網膜への血管系は2系統・・・網膜循環と脈絡膜循環・・・であることから,おのおのに関門がある.
血液網膜関門(または血液網膜柵)は網膜血管内皮細胞と網膜色素上皮細胞があたる.

❶内血液網膜関門:網膜毛細血管内皮細胞の柵機能である.
Müller細胞や周皮細胞も barrierの役に加わる.

❷外血液網膜関門:網膜色素上皮細胞の柵機能である.
Bruch膜は構成要素ではあるが,最終的に色素上皮細胞の tight junctionでブロックする.
脈絡毛細血管板は有窓血管であり,大きな血漿タンパク分子でも脈絡膜内を自由に移動しているとしてよい(浸透圧に寄与する,とのことである)

3) tight junction

関門は,細胞同士の細胞接着装置 tight junction によって,主に構造的・物理的に物質通過を抑えている.
物質の通過は分子量の大きさで制限され,脂質溶解性に比例する.電荷イオンも通過しにくい.
水,O2CO2 は自由に移行するが,NaK,ブドウ糖(glucose)は移行速度が遅い. ClCa2+,高分子のタンパクや脂質,リン酸などは通過しない.
(なお,アミノ酸やグルコースは血液脳関門に存在する輸送担体によって輸送される.血液関門は,電気的なバリアや代謝関門,トランスポーターや代謝酵素など異物解毒機構によって構成される,よりダイナミックな障壁である.)

ちなみに,全身的には血液脳関門 bloodbrain barrierの方が有名である.

・血液脳関門 bloodbrain barrier は,毛細血管内皮細胞と星状膠細胞の機能による.すなわち,脳や脊髄の毛細血管には細胞間の閉鎖帯があり,さらに外側を星状細胞の終足(突起)が巻き付き,毛細血管外にでる物質を制限している.網膜では毛細血管内皮細胞と同等である.
さらに,脳細動脈では周囲に 間藤 ま とう 細胞 (FGP細胞.fluorescent granular perithelial cells:蛍光性顆粒周囲細胞)というマクロファージ系細胞のネットワークがあり,ブロックをしている.また,間藤細胞は脳の異物処理をも行っている.

・血液髄液関門 bloodcerebrospinal fluid(CSF)barrier は,脈絡叢上衣細胞の機能による.すなわち,脈絡叢の毛細血管は有窓性毛細血管であるため,低分子量の物質は選択性なく毛細血管内皮を通りぬける.ところが脈絡叢上衣細胞 epithelium of choroid plexusには閉鎖帯があり物質輸送を阻止し,上衣細胞の細胞質を通りぬける物質のみが脳脊髄液に出されることになる.網膜に対する関門機構の点では,脈絡膜と網膜色素上皮との関係になぞらえることが出来る.脈絡叢上衣細胞は脳脊髄液を分泌するが,この点では房水に類似する.

●そのたの血液臓器関門
血液空気関門blood air barrier,血液胸腺関門,血液胆汁関門blood biliary barrier,血液尿関門blood urine barrier,血液精巣関門blood testis barrier,血液胎盤関門あるいは血液胎仔関門blood fetal barrier,etc

フルオレセインⲻNa
 血液網膜関門の臨床的機能評価にはフルオレセインⲻNaを用いる,いわゆる螢光眼底造影検査がある.眼底の血管造影つまりフルオレセイン溶液を造影剤に用い,静脈注射されたフルオレセインの特性である螢光を観察する仕掛けである.正常ではフルオレセインは網膜血管外へ,あるいは脈絡膜から網膜側へ網膜色素上皮をぬけて移動することはない(脈絡膜実質内では自由に移動しているとされる)
病的状態のとき,網膜血管からのあるいは網膜色素上皮からの漏出として観察される.これが血液網膜関門の破綻として理解されている透過性亢進の所見である.
なお,フルオレセインは生体不活性で無害,腎から尿中へ排泄される.

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神経のこと

全身の神経は大きく中枢神経と末梢神経に分ける.中枢神経は情報処理をする中枢として脳・延髄・脊髄をひとまとまりとしたものである.末梢神経は中枢と末梢の器官との間の経路となるもので,脳神経12対・脊髄神経31対から成る.求心性神経とは末梢から中枢に情報を伝える神経で,遠心性神経とは中枢から末梢へ情報を伝える神経である.

体性神経系が骨格筋を支配し身体の運動に関係するのに対し,自律神経系は内臓筋・心筋や分泌腺を支配し,いわゆる植物機能に関係する.

§.脳神経系

脳神経は頭蓋から出てくる末梢神経で,由来や働きによって3群に分ける.
1群は,頭にだけある特殊な感覚器の神経で,嗅覚を伝える嗅神経(),視覚を伝える視神経(),聴覚と平衡覚を伝える内耳神経()がこれにあたる(特殊体性知覚神経.
2群は,魚の鰓弓の神経にあたるもので,叉神経(),顔面神経(),舌咽神経(),迷走神経()である.副神経()部も鰓弓神経に含まれる.ごく初期のヒト胎児の頸の横に魚の鰓に似た切れ込みと膨らみがみえる.この膨らみを鰓弓といい,脊椎動物が魚から四足動物に進化した名残りと考えられる(鰓弓神経グループ.
3群は,脊髄神経にあたるもので,残りの脳神経がこれに含まれる.外眼筋を支配する動眼神経(),滑車神経(),外転神経()と,舌の筋を支配する舌下神経()である(体性筋支配神経.

次の機能を単独あるいは組み合わせて持つ.
 ●運動性成分
  ①体性運動性:体節から発達した筋肉を動かす
  ②鰓運動性 :鰓弓から発達した筋肉を動かす
  ③内臓運動性:内分泌腺や内臓平滑筋を動かす
 ●感覚性成分
  ①内臓感覚性:内臓の感覚
  ②一般知覚性:触覚・温痛覚・・などの知覚
  ③特殊感覚性:嗅覚・視覚・味覚・聴覚・平衡感覚

1.嗅神経  [Ⅰ] olfactory nerve

嗅神経きゅう しんけいと視神経は脳幹から分岐していない脳神経である.すなわち,末梢から中枢へ向かう純感覚性の神経である.

2.視神経  [Ⅱ] optic nerve

視神経とは,・・・・
 ・『視覚を伝える第脳神経』,というバクゼンとした表現のほか
 ・巨視解剖 macroanatony的には『眼球のうしろから視交叉まで』,とか
 ・組織解剖 microanatomy的には『神経節細胞の軸索突起(神経線維)で外側膝状体まで』, ・・・
というような説明ができる.

視覚線維のほか,瞳孔線維,空間(定位)線維などを含んでいる(これにより,外側膝状体外の経路が理解できる.

図 18 図 19 図 20

なお,希突起膠細胞を髄鞘 myelin とする視神経は中枢神経に属し再生しない.Schwann細胞を髄鞘とする末梢神経は再生可能となっている.

具体的には 【第九章】 視神経・視覚路

3.動眼神経   [Ⅲ] oculomotor nerve

動眼神経は外眼筋に分布する神経の内で最も大きいもので,中脳から発し体性運動性線維と内蔵運動性線維を含む.
体性運動性線維は上眼瞼挙筋,上直筋,内直筋,下直筋,下斜筋を支配する(外眼筋)
内蔵運動性線維(副交感神経線維)は,虹彩・毛様体に分布する(内眼筋)
副核(EdingerWestphal核)および正中核(Perlia核)を含めて動眼神経核群とする.

)体性遠心性線維の起始核は上丘の高さの中脳被蓋の背側,内側縦束MLFの上で中脳水道のすぐ前方にあり,第耳前体節に由来する眼筋を支配する.動眼神経主核は,内直筋・上直筋・下直筋・下斜筋のそれぞれ各筋を支配する亜核の複合体となっている.上眼瞼挙筋は尾側中心核(正中核 caudal central nucleus ofPerliaPerlia核)による.背側にある動眼神経副核(EdingerWestphal)に始まる内臓性遠心性線維(副交感性線維)は,内眼筋を支配する.
各線維は合流して前方にのび,中脳において赤核の内側縁を通り大脳脚の内側部の脚間窩(内側溝),中脳の下端で脳幹を出る.後交連動脈の下方を走りトルコ鞍の後床突起のところまで達し,海綿静脈洞にはいる.

海綿静脈洞で若干の交感神経線維が加わり,上眼窩裂・総腱輪の中を通って眼窩へ入る.
)上枝と下枝に分かれる.
図 補1 上枝は視神経と眼動脈の外側を走り上直筋上眼瞼挙筋に分布する.
下枝は上枝よりも太く,内直筋下直筋下斜筋に分布する.
)下枝からの副交感節前線維が毛様体神経節に入る.ここからの節後線維は短毛様体神経 short ciliary nervesとして眼球内に入り,毛様体筋(95%)と瞳孔括約筋(5%)を支配する.

●動眼神経副核EdingerWestphal核から出る副交感神経線維は動眼神経の最外側を走行する.

次動眼神経核動眼神経核のごく近傍にあるつの神経核すなわち,後交連核 nucleus of posterior commissureカハル間質核 interstitial nucleus ofCajal,ダークシュビッチ Darkschewitsch核,の総称である.さらに遠くにある,内側縦束吻側間質核 rostral interstitial nucleus of medial longitudinal fasciculus (riMLF)を含めることがある.
これらの核から出る線維は後交連を通って正中線で交叉し,動眼神経核・滑車神経核・前庭神経内側核などとシナプス結合する.大脳皮質(視覚野,前頭眼野)や上丘から視覚入力を受け,水平及び垂直方向の眼球運動や姿勢の制御に関与しているようである.最近では垂直眼球運動中枢として,特に riMLF が注目されている.

★臨床的側面
上直筋は対側動眼神経核からの交叉性支配を,内直筋・下直筋・下斜筋と副交感線維は同側支配を受ける.
上眼瞼挙筋は正中核による両側支配となる.
対側の外転神経核から連絡する神経線維束が内側縦束(MLF)である.水平共同運動に重要である.
サルでは,内直筋亜核群について動眼神経核の背内側部が輻湊性眼球運動に関与している可能性が示唆されている.

図 22

4.滑車神経   [Ⅳ] trochlear nerve

滑車神経は中脳から発し,上斜筋を支配する.

耳前体節由来の眼筋を支配する神経で,体性運動性線維のみを含む.滑車神経核は下丘の最尾側端の高さの中脳橋移行部,内側縦束MLFの背側,中脳水道のすぐ腹側にある.
その軸索は蓋板の背側に向かい,中脳水道の背側(前髄帆)で交叉(滑車神経交叉 decussation of trochlear nerve )してから下丘の直後で上髄帆の外側縁から出る.
中脳脳幹背側面から出る唯の神経で,最も細小でもあり,頭蓋内走行が長い.脳幹を出た線維は大脳脚(中脳橋移行部)を迂回し外側方に走り,海綿静脈洞に入り若干の交感神経性線維が加わる.
上眼窩裂から上眼瞼挙筋の起始部の上で眼窩に入り,内側方向に進み上斜筋に内側から分布する.

★臨床的側面
上斜筋は対側滑車神経核からの交叉性支配を受ける.

5.叉神経   [Ⅴ] trigeminal nerve

図 23

叉神経第(眼神経)で角膜・結膜・上眼瞼の知覚を,叉神経第(上顎神経)で下眼瞼の知覚を伝える.

脳神経中最大のもので,第鰓弓由来の神経である.橋から発する.
知覚神経部は頭部神経堤由来である.眼球のほか,頭部および顔面の大部分の皮膚と,鼻腔・口腔の粘膜,脳硬膜などからの知覚線維(般体性求心性)が中心になっている.そのほか,深頭筋・咀嚼筋・顎舌骨筋・顎腹筋前腹への運動線維(特殊体性遠心性)を含む.

叉神経核は橋の中央で菱脳中にある.神経線維は知覚根・運動根・中間根で形成され,の外側中央から出る.知覚根は側頭骨錐体部上で叉神経節(半月神経節 semilunar ganglion)を作る.
ここから ①眼神経(V1),②上顎神経(V2),③下顎神経(V3),の3 枝に分かれる.

)眼神経:叉神経第枝.
眼球(結膜,強角膜,ぶどう膜)と眼筋・眼窩内・前頭部・鼻腔の部の知覚に関与する(結膜・強角膜は体性感覚の痛覚,ぶどう膜は内臓痛覚,眼筋は深部感覚).海綿静脈洞を通り,上眼窩裂で次の支流神経が合流する.
 ・前頭神経:前頭部・結膜・上眼瞼などの知覚を受ける(眼窩上神経と滑車上神経が合流したもの)
 ・涙腺神経:涙腺・外眼角付近の結膜・上眼瞼などの知覚を受ける.顔面神経からの副交感神経が加わり涙腺に分布する(分泌神経)
 ・鼻毛様体神経:
  ⅰ)毛様体神経節と連絡し,分岐した短毛様体神経が眼球内へ入り脈絡膜の知覚を受ける.
    知覚枝は毛様体神経節を通過するだけ(シナプスは無い)
    動眼神経からの副交感神経線維を含む.
  ⅱ)長毛様体神経が分岐し,長後毛様動脈に沿って角膜をふくむ前眼部に分布し知覚を受ける.
    瞳孔散大筋への交感神経線維を含む.
  ⅲ)そのた

)上顎神経:叉神経第枝.
正円孔から頭蓋外へ出る(眼窩からみると下眼窩裂)
 ・眼窩下神経.下眼窩裂を通り,下眼瞼そのたに分布.
 ・頬骨神経.涙腺神経に交通枝があり顔面神経経由の副交感線維が通る.

)下顎神経:叉神経第枝. (下顎神経が出るのは卵円孔)

★臨床的側面

図 25図 補2

上図のように,分布の境界が明確なのは顔面正面である.
角膜反射は,第 顔面神経により両側性に眼輪筋が収縮する(瞬目反射)

6.外転神経   [Ⅵ] abducens nerve

外転神経は外直筋を支配する.

耳前体節由来の眼筋を支配する神経で純粋な体性運動神経である.橋から発する.
外転神経核は橋・顔面神経丘・第四脳室底の深部にある.神経核の軸索は前方に伸び,錐体の少し外側での下端,延髄との境界部で細かい神経束として脳幹を出る.橋と斜台の間のくも膜下腔内を長く走り斜台の中央の高さで硬膜を抜け,海綿静脈洞の中へ走り,そこでは内頸動脈の外側,叉神経節(~第枝眼神経)の内側に位置する.
海綿静脈洞の中では,内頸動脈の交感神経叢からの何本かの線維が加わる.外転神経路は,脳神経中もっとも長い.上眼窩裂・総腱輪の中を通って眼窩に入り,内側から外直筋に分布する.

★臨床的側面
外直筋は同側外転神経核からの同側支配を受ける.走行距離が長いため,頭蓋内圧亢進による影響を受けやすいと考えられている.
外転神経核の内側には内側縦束が,腹側には傍正中部橋網様体(PPRF)がある.外転神経核は同側の運動ニューロンだけでなく,対側動眼神経核の内直筋副核に連絡する核間ニューロンを含む.これにより,神経核障害では同側への注視麻痺が起こる.

7.顔面神経   [Ⅶ] facial nerve

顔面神経は眼輪筋を中心に表情筋の運動を支配する.橋から発する.
副交感神経線維は涙腺に分布する.

顔面神経は ①外耳皮膚の感覚,②味覚の部,③顔面筋の部,④分泌腺,の4種類の成分を抱えた複雑な第鰓弓を支配する混合神経で,特殊内臓遠心性(鰓運動性)線維から成る主部(狭義の顔面神経)と,般内臓遠心性(副交感)線維・特殊内臓求心性(味覚)線維・般体性求心性(知覚)線維とからなる小部すなわち中間神経が区別される.知覚神経部は頭部神経堤由来である.

)顔面神経核(運動核、主核)
顔面神経核は橋‐延髄移行部(第四脳室底,橋網様体内側部で上オリーブ核のすぐ背側方)に位置する.顔面神経核を出た線維はまず第四脳室底に向かい,次いで外転神経核のまわりをまわり(顔面神経内膝 internal genu)の下縁で脳幹から出る.顔面神経と中間神経は内耳道 internal auditory meatusに入り,側頭骨顔面神経管 facial canalを通り,茎乳突孔 stylomastoid foramenを出る.
 ⅰ)顔面神経運動核は眼輪筋,前頭筋,皺眉筋などを支配する.
 ⅱ)顔面神経核への求心性線維

)中間神経
中間神経の構成要素は,副交感根と感覚根である.
 ⅰ)中間神経の遠心性線維
遠心性線維は上唾液核(あるいは涙腺核.延髄網様体吻側レベルの外側部に存在する境界不鮮明な細胞集団)から起こる.これらの副交感性線維には顎下神経節を通るもの(唾液腺に向かう)と翼口蓋神経節を通るもの(涙腺に向かう)がある.
  中間神経 大錐体神経 翼口蓋神経節(シナプス結合) 涙腺神経(叉神経) 涙腺
  (翼口蓋神経節から出る節後線維は血管運動神経と分泌神経で,腺の分泌を促進する.
 ⅱ)中間神経の求心性線維
求心性線維の細胞体は膝神経節にあり,般知覚性線維と特殊感覚性線維がある.
外耳の知覚と味覚に関係する.(舌の般知覚はV3下顎神経による)

★臨床的側面
①顔の上半分の筋(眼の周り)を支配する顔面神経核の上半部は,大脳皮質から両側性に支配されている.
下部表情筋(口の周り)は対側性の支配となる.

②瞬目反射
眼輪筋の収縮反射.
視神経を介する光刺激,叉神経V1を介する角膜刺激,聴神経を介する音刺激などで反応する.

図 26

8.毛様体神経節 ciliary ganglion

毛様体神経節は眼動脈の外側方で,視神経と外直筋のあいだに存在する.主役の副交感神経節前線維は EdingerWestphalから起こり,動眼神経の下斜筋への枝と緒に走る.
第12胸髄に発した交感神経節前線維は上顎神経節でニューロンを代え,節後線維は内頸動脈壁の神経叢を通り毛様体神経節に達する.
1)毛様体神経節短根
毛様体神経節でシナプスする副交感神経線維で,動眼神経由来の成分.短毛様体神経として眼内へ入り,瞳孔括約筋5%と毛様体筋95%を支配する.これにより縮瞳と調節が起こる.
2)毛様体神経節中根
毛様体神経節をシナプス結合せずに通過する交感神経節後線維は,長毛様体神経と部は短毛様体神経に加わり眼球に達する.瞳孔散大筋支配のほか血管運動神経線維を含む.
3)毛様体神経節長根
角膜・虹彩・脈絡膜などからの知覚線維で,長短毛様体神経から毛様体神経節を通過して鼻毛様体神経に加わる.さらに叉神経第枝・眼神経へつながる.

図 28図 補3

神経節からは上記の各種の線維(中心は副交感線維)を含む短毛様体神経(には種々の線維が含まれている)が46本(か,もうちょっと ),長毛様体神経が2本出て,ぶどう膜へ分布する.


§.自律神経系 autonomic nervous system

図 29

内臓・血管・腺(効果器)などに分布し生体の恒常性の維持(循環・呼吸・消化・代謝・分泌・体温・生殖など)を行う,交感神経副交感神経を指す.
自律神経系の最高次中枢は視床下部(交感神経は後視床下部,副交感神経は前視床下部)にあり,脳~脊髄にある中枢部と各器官に分布する末梢部から構成される.神経構成の特徴は,中枢の神経細胞から出た神経軸索は必ずシナプスを形成しニューロンを換えて支配器官に連絡していることである.シナプス部分が神経節となる.
中枢神経系内から神経節までが節前ニューロン,神経節内に細胞体があるものが節後ニューロンで,それらの軸索がそれぞれ節前線維,節後線維である.

➀自律性:意識的・随意的な制御を受けないことで,植物神経系あるいは不随意神経系ともいう.⇔ 体性神経系(運動・感覚神経)
➁二重支配:多くの効果器には,交感・副交感の双方が分布・支配している.
➂拮抗支配:両者は,一方が促進作用,他方が抑制作用と,逆の効果を示す.
➃持続性:支配器官に対し神経パルスをつねに送り,一定の作用・緊張を維持している.

交感神経系は,短い有髄節前線維⇒神経節⇒長い無髄節後線維,
副交感神経系は,長い有髄節前線維⇒神経節⇒短い無髄節後線維,
が特徴である.

交感神経系 sympathetic nerve system

神経幹によって上下(橋‐腰髄)に連絡する.末梢枝(節前線維)は頸神経節に入りニューロンを替える(節後線維).これらは頭頸部の血管,汗腺,立毛筋,涙腺,唾液腺,心臓,肺などに分布する.

眼科領域の支配部位
視床下部後部に発した次ニューロンは中枢性ニューロンとして脳幹を下降し, 胸髄上部C8-Th2(または頸膨大部の尾側レベルC7-Th1)BudgeWaller ciliospinal center毛様脊髄中枢で次ニューロンとなり,そこから起こる節前線維は交感神経管を上行して,
 ・星状神経節 (頸胸神経節下頸神経節と第胸神経節が癒合したもので第七頸椎の高さにある それぞれが独立していることもある)
 ・中頸神経節 (第六頸椎の高さにある小さい神経節で 無いこともある)
 ・上頸神経節 superior cervical ganglion (頸椎(軸椎)と第頸椎の間の高さにある) に達する.
次ニューロン節後線維は内頸動脈経由で海綿静脈洞に入り,眼動脈と共に視神経管から眼窩内へ入る.
 (叉神経第枝あるいは鼻毛様体神経と共に上眼窩裂を通る」というのは,ヒトでははっきりしないらしい 動脈神経叢と眼神経と双方の記述がある 毛様神経節以降は次)

眼窩内では毛様体神経節へ入り(線維を換えずに通過し),長毛様体神経 long ciliary nervesで眼球へ入る経路が中心である.虹彩(瞳孔散大筋)・毛様体筋,他のぶどう膜血管へ分布する.短毛様体神経として虹彩と毛様体に分布する線維もある.

部は眼動脈経由で眼瞼(上下の瞼板筋)・涙腺に分布する.
部は外頸動脈経由で汗腺に分布する.

神経伝達物質
節前線維はコリン作動性線維(cholinergic fiber)アセチルコリンを放出し,節後線維のニコチン受容体に作用する.
節後線維は原則としてアドレナリン作動性線維(adrenergic fiber)で,効果器の間はノルアドレナリンによる.受容体はα受容体とβ受容体と呼ぶ2つのサブタイプがあり,般にα受容体は興奮性,β受容体は抑制性に作用する.これらはさらにα1α2β1β2に細分類されている.汗腺・立毛筋ではアセチルコリンを分泌する.

α1作用血管平滑筋の収縮,瞳孔散大筋の収縮,房水流出抑制.
α2作用交感神経シグナル伝達抑制(ノルアドレナリン放出の抑制),血管収縮,房水産生抑制,房水流出促進.
β1作用心機能亢進,房水産生促進
β2作用平滑筋(血管・気管支・消化管)の弛緩・拡張・抑制,遠方視の毛様体筋弛緩
β3作用脂肪分解促進(ヤセ薬への期待があるのだそうです.消化管平滑筋の弛緩

作用
瞳孔散大筋・・・
α1作用収縮(散瞳
瞳孔括約筋・・・
β2作用弛緩(散瞳
瞼板筋
  (Müller)
・・・
α1作用収縮
 (瞼裂開大 上下瞼板筋とも
毛様体縦走筋
  (Brücke)
・・・
β2作用弛緩
 (毛様体は円周が大きくなる すなわち遠方視に作用
ぶどう膜血管 ・・・
α1作用収縮
 (高血圧時の脈絡膜の負荷を減らす
 (毛様体では房水分泌が減少する.
β2作用拡張
涙 腺 ・・・
α1作用分泌抑制
結膜血管 ・・・
α1作用血管収縮
房 水 ・・・
α1作用産生抑制,抵抗増加(ぶどう膜強膜流出路
α2作用産生抑制,流出促進(ぶどう膜強膜流出路
β2作用産生促進,流出促進(線維柱帯

副交感神経系 parasympathetic nerve system

脳幹および仙髄に発する.脳幹からは次の各経路を経由する.

眼科領域の支配部位
1)動眼神経 (EdingerWestphal核から発進する節前線維)が主で,中脳から出て毛様体神経節でシナプスを形成し,節後線維は短毛様体神経 short ciliary nerves として虹彩(瞳孔括約筋)と毛様体筋に分布する.
2)顔面神経経由の線維は,橋を出て翼口蓋神経節 pterygopalatine ganglion 叉神経 zygomatic nerve頬骨神経 zygomaticotemporal nerve交通枝涙腺神経 lacrimal nerve から涙腺に分布する(上図 青線)
頸動脈叢 carotid plexus へつながる枝があり,短後毛様動脈 short posterior ciliary arteries と共にぶどう膜血管に分布する.
3)そのた,舌咽神経,迷走神経のなかに神経線維を交える.

神経伝達物質
伝達物質は,節前線維・節後線維ともにアセチルコリンを分泌する,コリン作動性線維(cholinergic fiber)である.節前線維・神経筋接合部はニコチン受容体に作用する.節後線維はムスカリン受容体(M1,M2,M3 ..)に結合する.

作用:
瞳孔括約筋・・・収縮(縮瞳
瞳孔散大筋・・・弛緩(縮瞳
毛様体輪状筋
  (Müller)
・・・ 収縮
 (毛様体は円周が小さくなる),すなわち近方視に作用
涙 腺 ・・・ 分泌促進
ぶどう膜血管 ・・・ 拡張
房 水 ・・・ 流出促進(線維柱帯
流出抑制(ぶどう膜強膜流出路

血管系 に戻る
神経系 に戻る


§

図 補4

交感神経系は,短い有髄の節前線維⇒神経節⇒長い無髄の節後線維,副交感神経系は,長い有髄の節前線維⇒神経節⇒短い無髄の節後線維,が特徴である.

神経節内では交感・副交感とも節前線維がアセチルコリンを伝達物質としニコチン受容体に作用する.交感神経の節後線維はノルエピネフリン(ノルアドレナリン)によりαβ受容体に作用する.副交感神経の節後線維はアセチルコリンによりムスカリン受容体に作用する.アセチルコリンを伝達物質とする神経をコリン作動性といい,ノルアドレナリンを伝達物質とする神経をアドレナリン作動性という.

§

図 補5

【引用:https://img.kango-roo.com/upload/images/scio/seirigaku/66-97/

§.神経生理の概要

般基礎事項は   こちら

aquaporin(アクアポリン)
細胞膜にある水チャンネルを担う膜タンパク.アクアポリンファミリーは体内臓器に広く分布し,哺乳類には AQP0 から AQP12 までの13種類のアイソフォームが存在する.水以外にイオンチャンネル,細胞接着,細胞遊走,感覚器における神経性の情報伝達,などに関わる.
AQP0 は水晶体の透明性に関わり,遺伝子異常により先天白内障をきたす.
AQP4 は脳内・視交叉付近・脊髄に分布し,AQP4 に対する自己抗体はDavic型視神経脊髄炎の原因となる.
AQP5 は唾液腺・汗腺の分泌に関わり,遺伝子異常によりSjögren症候群に伴うドライアイをきたす.


2024

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