未熟児網膜症retinopathy of prematurity (ROP

        retrolental fibroplasia(RLF)  後水晶体線維増殖

§ 病 態

周辺部網膜無血管領域での増殖反応(新生血管と線維増殖.
未熟網膜血管と未熟硝子体(硝子体の発達には正常網膜が必要)がスパイラル化.

§ 診 断

最周辺部の無血管領域に接する(先端部)毛細血管の異常分岐・増殖(血管新生).
これにより境界部が明瞭化,硝子体側へ隆起.「境界線」という.
既存網膜血管の拡張.
硝子体内への滲出反応,出血.
隆起増殖組織(円周状)の収縮.
網膜の変形・離.
「劇症型」では赤道部手前で無血管領域・境界線が形成され,網膜血管は全域で著明な蛇行怒脹を示す.この場合,急速に全離へと進む.

§ 分 類

活動期を,T型,中間型,U型にわける.
・T型病変が網膜血管の先端にあり,進行が緩徐.
・中間型
・U型後極血管の拡張蛇行が強く,増殖変化が急速に進行する(劇症型).おもに超低出生体重児で.

plusdisease
後極部静脈の怒脹,動脈の蛇行,虹彩血管の高度な充血,など

活動期分類   
厚生省分類国際分類
T型
1期(stage 1)網膜内血管新生期
2期(stage 2)境界線形成期stage 1 demarcation line
3期(stage 3)硝子体内滲出と増殖期
   初期:わずかな硝子体への滲出,発芽
   中期:明らかな硝子体への滲出,増殖性変化
   後期:中期の所見と牽引性変化
stage 2 ridge
stage 3 ridge
with extraretinal fibrovascular proliferation
4期(stage 4)部分的網膜剥離期stage 4 partial retinal detachment
 4A no macular detachment
 4B including macular detachment
5期(stage 5)網膜全剥離期stage 5 total retinal detachment
 anterior:open or narrow
 posterior:open or narrow
中間型
U型
  (後極血管の拡張・蛇行,滲出変化,
   後極の新生血管,急激な網膜剥離)
 plusdisease
瘢痕期分類(厚生省
1度(grade 1)後極部に著変なく,周辺部に軽度の瘢痕性変化がある
(網膜あるいは硝子体の白色瘢痕組織の遺残,境界線の痕跡,色素沈着,網膜脈絡膜萎縮巣)
2度(grade 2)
   弱度
   中等度
   強度
牽引乳頭がある
 わずかな牽引乳頭,黄斑部に変化なし
 明らかな牽引乳頭と黄斑部の外方偏位
 中等度の所見に加え,黄斑部に器質的変化がある
3度(grade 3)後極部に束状網膜剥離がある(網膜襞)
4度(grade 4)瞳孔領の一部に後水晶体線維増殖がある
5度(grade 5)完全な後水晶体線維増殖がある

◈厚生省分類:1974年発表,82年改正(新分類
◈国際分類:1984年発表,87年改正,2005年新改正

zone Tは視神経乳頭と中心窩の距離の2倍を半径とした円の中,zone Uは鼻側鋸状縁までの円の中,zone Vはそれより外.

未熟児網膜症

§ 原 因

低出生体重児では出生時に眼球,特に網膜血管の発達が未熟で,網膜周辺部には無血管領域が存在する.たいがいは血管が成長しても(生理的新生血管)ある程度の時点で活動性は無くなるが(自然寛解),一部で網膜症へと進行する.特に,未発達網膜が酸素投与(保育器)により血管閉塞をきたし,そのごの酸素濃度の低下によって血管の増殖変化を起こす(活動期).無血管領域で産生される細胞成長因子(VEGFなど)が有血管領域と無血管領域の境(仮の鋸状縁部)での血管内皮細胞の増殖を加速させ病的新生血管と化し(境界線形成),水晶体後面へ向かう線維血管増殖膜となる.これが収縮すると牽引性網膜剥離を生じて,失明する.
活動性が低下した線維膜は,後水晶体線維増殖という状態で白色瞳孔を示す(瘢痕期).
網膜血管はか月頃から眼球内に進入し,鼻側は在胎か月,耳側はか月で鋸状縁まで届く.従って在胎か月以前・・30週以前,生下時体重1500g未満で急増する.
ということで, 出生後週ごとの眼底検査が推奨される.活動期の急性変化はこの限りではない(日々進行する).

超低出生体重児の86%に網膜症が発症し,うち41%に網膜光凝固治療が必要となり,5%に重篤な視力障害が生じた.発症時期は,在胎26週未満では平均で修正在胎30週以降,在胎27週以上では生後5週以降であった(平岡,2004).
なお元々の予定日を過ぎて所見がなければひとあんしん,という経験則がある.

§ 治 療

光凝固あるいは冷凍凝固.進行例では硝子体切除手術.
今後,抗VEGF療法に期待.

§ 視力予後
瘢痕期 
0.7 <50%
0.4 〜 0.640%
< 0.310%
瘢痕期 
0.4 〜 0.650%
0.1 〜 0.320%
< 0.130%
瘢痕期 
< 0.1100%
§ 生下時体重・在胎

 未熟児low birthweight infant

㋐ 低出生体重児low      出生時体重 2500g未満
㋑ 極低出生体重児very low  1500g未満
㋒ 超低出生体重児extremely low 1000g未満

 在胎週gestational period
臨床産科では,妊娠前の最終月経開始日(=0週0日)から数えた週数を在胎週数とする.そして4週=28日を「1か月」と扱う.また,「妊娠何か月」と表現するときは,1から始まる「数え月」で表現する.これにより,十か月40週0日を標準的な妊娠期間として出産予定日を導出する.通常,在胎24週から在胎36週以下の分娩を早期産,在胎37週以上42週未満の分娩を満期産(正期産),42週以後の分娩を過期産としている.
早産児の発達や成長については,実際に産まれた日ではなく出産予定日を基準に考える.修正月齢である.出産予定日より2か月早く産まれてきた早産児は生後1か月で修正36週,生後2か月で修正月齢0か月,生後4か月で修正月齢2か月となる.

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2013

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