画像診断 |
1.矢状断 sagittal
正中線(面)― 左右に等分する縦断面 ― に平行して輪切りにするスライス.または,左右軸に垂直な面.
2.水平断 horizontal ( 軸位断 axial
正中面・前額面に直行して輪切りにするスライス.または,上下軸に垂直な面.
ただし,眼球と眼窩を水平に観察するには別の横断線を設定する.
下方から見上げるような画像となる.
3.冠状断 coronal
正中面に直行して前額面に平行して輪切りにするスライス.または,前後軸に垂直な面.
前頭面 frontal plane とも.
前方から向かい合った画像となる.
【 面の確認 】
X線CTは組織のX線吸収による物理学的特性を利用している.
MRIは組織の生化学的反応をみている.
CTは,
“ computerized tomography ”,あるいは “ computed tomography ”の略.
Ⅹ線ビームを対象部位の周囲に回転させスキャンする.コンピュータ処理により各部分のⅩ線減弱度を骨(+103)~水(0)~空気(-103)までのCT値(Hounsfield Unit)に変換,グレースケールの画素としてスキャンしたスライス面を表示する.
MRIは核磁気共鳴画像;magnetic resonance imaging の頭文字である.
核磁気共鳴(NMR;nuclear magnetic resonance)とは「ある原子核が磁場中で特定波長の電磁波エネルギーを共鳴吸収し,ついでこれを電磁波として放出する現象」とのことである.
現在臨床的には水素(1H)原子核から放出される信号を利用している.受信できる信号は水と脂肪からのもので,画像化したものがMRIである.画像構成要素は緩和時間,水素原子核密度,血流速度である.
ばらばらな方向に自転している原子に一定の磁場を与えると,各原子は向きを変え同じ方向(位相)で歳差運動をする(定常状態).回転周波数は原子核の種類で一定で,同じ周波数(共鳴周波数)の電磁波(励起磁場)をかける事でエネルギーレベルが高くなる(共鳴現象).励起磁場を切ると,エネルギーを放出(減衰)しながら定常状態に戻る(緩和現象).
放出したエネルギーが自由誘導減衰信号となり,元の状態に回復するまでが緩和時間となる.緩和現象には,①磁場全体のエネルギー状態(信号放出能力の回復の速さ・縦緩和,T1)と,②個々の原子のばらけ具合(位相のズレ)の程度(信号放出持続時間・横緩和,T2),がある.
T1 値:縦緩和時間.回復の速さで,組織内の水分成分の含有量に比例する.
T2 値:横緩和時間.減衰の速さで,組織内の固体成分の含有量に比例する.
現実には水素原子を対象としていることから,眼科領域は硝子体・眼窩脂肪織の占める割合が多く,これらの水素原子密度により画像のコントラストが決まる.
外眼筋・視神経・眼窩脂肪のT1 値・T2 値はそれぞれ近く,硝子体についてはT1 値・T2 値ともこれらよりはるかに大きい.実際には,励起磁場パルス波の負荷方法により減衰パターンが違うことを利用して各組織を描出している.それらが強調画像(SE:スピンエコー法,GRE:グラディエントエコー法)・抑制画像(STIR:例,脂肪抑制T1 強調画像.FLAIR:例,水抑制T2 強調画像.など)である.
![]() |
◎描出について
◇CT は空気 → 脂肪 → 水 → 軟部組織 → 骨の順に白く描出される。
◇MRIは
T1 強調画像は空気・骨 → 水 → 軟部組織 →
脂肪の順に白く描出される。
T2 強調画像は空気・骨 → 軟部組織 → 脂肪 → 水の順に白く描出される。
ⅰ.頸動脈造影:造影は,X線吸収を利用した(contrast medium)画像である.
ⅱ.選択的眼動脈造影:網膜芽細胞腫に対する抗がん薬の眼動脈注入時のもの(小児例).
ⅲ.MR血管造影:造影剤を用いずに血管像を得る.