組 織 学 

■組織学 histology

われわれの個体 organismは生存の為の各種の機能を持った器官 organで構成される.器官をつくる構造物が組織 tissueであり,生体組織は構造の最小単位である細胞成分と細胞間質・細胞外マトリクスから成る.
細胞は細胞膜と内容構造から成る.細胞間質は線維と基質から成る.

組織の種類には,①上皮組織,②支持組織,③筋組織,④神経組織,がある.


A.細胞 cell

生体の最小基本単位が細胞である.
細胞は核と細胞質で構成され,形質膜(細胞膜)によって外界と接する.遺伝子を含む部分が細胞核で,それを取りかこむ細胞質にはミトコンドリア・小胞体・リボソームなどの細胞内小器官が細胞質基質に浮かんでいる.
機能は遺伝子情報で制御されるタンパク質に依り,基本的活動はミトコンドリアで産生される ATP に依る.

 真核生物の細胞DNAの大部分を核内に格納する細胞

  1. 細胞膜 cell membraneplasma membrane

    細胞質の最も外側にあるリン脂質の膜.外界の情報(光情報視物質も視細胞膜の部を構成)を感知し細胞膜内に伝え,物質輸送により細胞の恒常性(ホメオスタシス homeostasis,機能の維持)を保つ.

    1. 細胞間接着装置 図 補

      ①密着結合 tight junction細胞の極性を決める.頂上領域を他の部位と区別・隔絶し細胞同士の間隙をシールする.
       血液組織関門の本体(眼では当然「血液眼関門」).閉鎖帯 zonula occludens
      ②固定結合 anchor junction細胞骨格同士や細胞外基質(基底膜)への接合で,機能的な連絡通路.
       接着結合(接着帯 zonula adherens)やデスモゾーム(desmosome 接着斑 macula adherens)などがある.
       基底板へはヘミデスモゾーム(hemidesmosome 半接着斑)で固定.
      ③ギャップ結合 gap junction心筋細胞やニューロンの,隣接細胞間にごくごく狭い間隙をもつ結合装置.
       小さい水溶性分子やイオンを通すほか,電気的に協調する.網膜ニューロンでは光の強度に応じて信号伝達(ギャップ結合部の透過性)が変わり,杆体機能錐体機能の切り替えをしている.

    2. 接着分子
      カドヘリン分子など
    3. レセプター蛋白
      視色素,インテグリン,など
    4. 図 補
    5. 細胞膜電位Na-K ポンプ

      般に細胞膜を境として,細胞の内側は(マイナス)に外側は(プラス)となっている.分極している,という.
      細胞の環境は Na-Kポンプとよばれる能動輸送系により,外に  Na,内に Kのイオン勾配が維持されている.すなわち,Na濃度は 内外,K濃度は 内外,となっている.内液の K,外液の NaCa2+Clの濃度勾配である.
      静止時には細胞膜のカリウムチャネルの K透過性により Kが外に流出しようとすることで,外部に対して細胞内がマイナス()になっている.これが膜電位である(負の分極が生じている,という).静止膜電位は,(細胞外をゼロ電位として)通常-70mV-60mVに保たれている.
      神経細胞の活動とは電位変動である.よーするに分極状態を変化させ,インパルスという電気信号で情報が伝達される.

      ●脱分極(depolarization):膜電位が上がること.影響するイオンは般に NaCa2+

      ●過分極(hyperpolarization):膜電位が下がること.影響するイオンは般に KCl

      ●活動電位(action potentials):脱分極の連の反応によりプラス方向に電位が変化することで,脱分極による細胞の興奮がある定の大きさ(閾値)を越えると,インパルス(スパイク電位)と呼ぶ活動電位が発生する.

      細胞内電位が閾値を越えるとまず電位依存性Naチャネルが開き,Naイオンが流れこんで内向き電流が発生しその結果細胞が大きく脱分極する.膜を流れる電流によって零電位を越えて側に振れる(オーバーシュート)のが活動電位である.Naチャネルはまもなく不活性化し,それと同時に Kチャネルが開く.Kイオンの濃度は細胞内の方が高いため,Kイオンが細胞外に流出すると外向き電流が生じる.つまりこの外向き電流はNaの内向き電流を打ち消して膜電位を平衡電位に引き戻す.
      ただし,網膜の神経については緩電位によって信号の伝達処理が行われている.活動電位が発生するのは神経節細胞である.

      ●緩電位(graded potentials):インパルス(スパイク電位)によらない伝達.細胞膜の電位変化のこと.

  2. 細胞質 cytoplasm

    細胞内部を埋める,さまざまな大きさの構造分子(organelle)と細胞質基質(cytosol).核以外の部分.

  3. 細胞小器官 organelle 【   こちらで
  4. 細胞分裂 cell division

    つの細胞(親細胞)が核分裂と細胞質分裂によりつの細胞(娘細胞)に分かれる現象.真核生物に最も普遍的にみられるのが有糸分裂で,体細胞分裂(mitosis)と減数分裂(meiosis)とがある.体細胞分裂はそれぞれの娘細胞に完全な1セットの染色体が親細胞から受け継がれ,染色体数は変化しない.生殖細胞では対のうち片方が精子・卵子となる.減数分裂である.

    染色体細胞核の中に存在し,細胞分裂の時に棒状に観察される.塩基性色素(ヘマトキシリンなど)によく染色され,DNAとヒストンの結合した核タンパク質を主体とする染色糸が密に巻いたらせん構造である.人間の染色体数は21組の23対,すなわち46本である.『46,XY』や『46,XX』のように表記する.

図 補

B.細胞外マトリクス extracellular matrix

細胞と細胞のあいだ(細胞間質と基底膜)は,支持組織の線維と基質(マトリクス)が詰まっている.細胞の活動すなわち,細胞の支持・細胞増殖の調節・組織再生の土台・細胞極性の決定・物質の交換,制御因子の貯蔵と提示,その他の環境成分として重要である.
線維成分や基質の代謝は,線維芽細胞や平滑筋細胞などの間葉系由来の細胞が司る.

(1)線維成分(構造タンパク質)

①膠原線維(collagen fiber)=コラーゲンの集合.結合組織の中で最も重要な基質.弾力はわずかで強靱,組織に硬さを与えている.主に真皮・結合組織・靭帯・軟骨に存在.
②弾性線維(elastic fiber)=エラスチンとそれを取り囲む微細線維の複合体.伸縮性・柔軟性・弾力性を持つ.主に動脈壁・肺・皮下真皮に存在.
③細網線維(reticular fiber)III型コラーゲン(レチキュリン).格子状・網目状をなす.骨髄・肝臓・リンパ節,基底膜の部に存在.
④基底板(basal lamina)IVVII型コラーゲン・ラミニン・ヘパラン硫酸・フィブロネクチンなどを含む.

図 補

 コラーゲン(collagen):線維芽細胞により作られる.3本らせんのプロコラーゲン→トロポコラーゲン→集合して膠原線維となる.単細胞から多細胞への進化は細胞接着材としてのコラーゲン合成能を獲得したため,とのことである.
I型コラーゲン;骨・皮膚真皮組織. II型;軟骨・硝子体. III型;細網線維.大動脈・血管・胎児の皮膚. IV型;非線維性コラーゲン.基底膜・ぶどう膜. VI型;マイクロフィブリルの成分.臓器の結合組織.

 エラスチン(elastin):線維芽細胞により作られる.動脈の中膜では平滑筋細胞に依る.最小単位(単量体)のトロポエラスチンが架橋構造となり,微細線維に付き弾性線維となる.

 弾性系線維(elastic system fibers):弾性線維は多量のエラスチンと少量の微細線維,エラウニンelaunin線維はエラスチンと多量の微細線維,オキシタランoxytalan線維はエラスチンを含まずに微細線維のみ,の3種類で,これらを包含して弾性系線維と称する.これらには,潜在型TNFβ結合タンパクLTBP,微細線維結合性糖タンパクMAGP,エミリンEMILIN,フィブュリンFIBULIN,等が関与する.

 微細線維(microfibrils):径20nm以下の細胞外線維の総称.
*その1:フィブリリン fibrillinで構成される微小線維.フィブリリン-1はシステインを含有する.マイクロフィブリルに結合したトロポエラスチンtropoelastinに対しリシルオキシターゼ酵素が作用し,架橋反応が進行して弾性線維が形成される.
*その2:トロポコラーゲン tropocollagenが原線維になる中間構造.

(2)基質成分(ground substance)
  プロテオグリカンが組織間を埋め,保水をしている.

①プロテオグリカン(proteoglycan)95%のグリコサミノグリカンと5%のタンパク(コアタンパク質)との結合体.細胞表面と細胞外マトリクスの主要成分.
②グリコサミノグリカン(glycosaminoglycan) ;ムコ多糖 muco-polysaccharide

 眼科領域では例えば,角膜にはコンドロイチン・ケラタン硫酸,硝子体にはヒアルロン酸が分布.

 細胞内(ゴルジ体)で合成コンドロイチン硫酸(chondroitin sulfate)/デルマタン硫酸(dermatan sulfate),ヘパラン硫酸(heparan sulfate)/ヘパリン(heparin),ケラタン硫酸(keratan sulfateⲻⅠ,Ⅱ)

 細胞膜で合成ヒアルロン酸(hyaluronic acid)はタンパクに結合しない.

(3)接着分子(特殊化タンパク
  細胞とグリコサミノグリカンとを結合する能力を持つ糖タンパク質.基質成分の

①フィブロネクチン(fibronectin)
②ラミニン(laminin)
③インテグリン(integrin)/ラミニン受容体

 機能は細胞接着と細胞移動の補助,炎症抑制,情報伝達,など.断片化すると細胞活性化の引き金になり,炎症性サイトカインやケモカインの産生,および酸化窒素 NO のような血管作用因子あるいは血管新生を誘導したりする.

(4)基底膜

実質細胞と結合組織との界面に形成される細胞外マトリックスで,IV型コラーゲンとラミニンが主要成分である.上皮組織のほか,筋組織や脂肪組織に於て結合組織と接する面に存在する.神経組織ではグリア細胞あるいは血管系に存在する(血液脳関門).両組織の接着(見方を変えると分離)のほか,選択的な物質・細胞透過(関門機能)や細胞分化の誘導・修復・制御のための情報発信に重要.

(5)組織液:漏出した血漿由来成分.

(6)眼球では硝子体が 間質結合組織,房水が 間質結合組織液に相当する.

図 補

C.組織の種類

  1. 上皮組織    epithelial tissue 図 補

    体の表面(皮膚),呼吸器・消化管の内面,体腔の内面をおおう.
    上皮細胞同士の接着は強く,細胞間質が少ない,血管がない,表面が自由面で基底側は必ず細胞外マトリクスの土台,すなわち基底膜 basement membrane を介して結合組織と接する,などの特徴がある.この観点が,上皮の 極性 である.

    網膜は光を感じるように特化した感覚上皮 sensory epithelium である.
    分泌物を産生するように特化した上皮が,腺上皮である.涙腺,杯細胞,皮脂腺,など.

    ◎中皮体腔(胸膜,心膜,腹膜)をおおう単層上皮

    ◎内皮血管内面の上皮を特に 内皮 endotheliumという(リンパ管内腔も同じ).角膜の前房側も内皮である.

    ◎細胞の形や配列からは,単層扁平上皮・重層扁平上皮・単層立方上皮・多列線毛上皮・移行上皮などを区別する.

    ◎発生学的には,胚葉のいずれも上皮成分に分化する.

    図 01 網膜の極性

     極性 とは

    ①頂上領域表面すなわち外的環境に面する.
    ②外側領域隣の細胞や基底板に面する.結合は細胞接着分子や接着複合体によって安定・維持される.
    ③基底領域基底板線維細網板基底膜.
     基底板 basal lamina透明板lamina lucida(ラミニン,インテグリン等で構成.lamina rara 薄層)緻密板lamina densa(IV型コラーゲン,ヘパラン硫酸等で構成)
     網状板 lamina fibroreticularis結合組織と連続する(III)コラーゲン.線維細網板
     基底膜いわゆる 生体膜とは違うことで,基底板と云う方向にシフト,とのこと.元は光学顕微鏡用語.

    ④網膜については右図参照.

  2. 支持組織  supporting tissue

    上皮組織・神経組織・筋組織以外の組織を包括しており,基本的に細胞間質の中に細胞成分が混ざり合った組織である.各組織ごとにコラーゲンの種類や量が違い,特有な性質が出る.a;線維芽細胞を中心として豊富な線維があるものが結合組織,b;骨芽細胞を中心として固形物が取り巻いているものが骨組織,c;血球を中心として間質が液体であるものが血液組織,などである.bcを特殊結合組織ということもある.
    間葉系細胞に由来,❷豊富な細胞外基質,❸高い再生能,等の特徴があり,広義の結合組織とする.

    図 補 結合組織
    1. 結合組織

      動物の組織や器官の間隙を埋める組織(間充織)で,コラーゲンやエラスチンなどの線維タンパクと多糖類からなる細胞外マトリックスで形成される.豊富な細胞間質(線維性成分と基質)が特徴.細胞成分はバラけている.血管網が豊富である.

      • 線維成分
        膠原線維,細網線維(細い膠原線維),弾性線維がある.
      • 細胞成分(①②は固有細胞,③⑦は遊走細胞)
        ①線維芽細胞間葉由来の主細胞で,おもに膠原線維・基質を分泌.骨では骨芽細胞に相当する.細網細胞を含めることがある.
        ②脂肪細胞
        ③マクロファージ遊走した単球で組織球ともいう.類上皮細胞・多核巨細胞に変身.
        ④リンパ球
        ⑤プラズマ細胞Tリンパ球由来で免疫グロブリン(抗体)を産生.形質細胞
        ⑥マスト細胞.ヒスタミンやヘパリンを含有する顆粒.
        ⑦その他.好中球,好酸球,好塩基球
      • 基質
        プロテオグリカン,ヒアルロン酸,フィブロネクチン,インテグリンなど.
      • 線維性結合組織(狭義・結合組織)の種類
        疎性結合組織,密平行線維性(密規則性)結合組織,交織線維性(密不規則性)結合組織,
    2. 骨組織・軟骨組織

      【   こちらで

    3. 血液・造血組織

      【   こちらで

    4. 脈管系・細網組織

      【   こちらで

  1. 筋組織  

    【   こちらで

  2. 神経組織  
    図 02 ニューロン 神経細胞と神経膠細胞に大別する(広義の神経細胞は双方を指す).神経細胞は情報を伝達し,筋肉を動かす.あるいは意思・記憶等をコントロールする.神経膠細胞は神経細胞を保護・支持して栄養の仲介などをおこなう.

●アセチルコリン acetylcholine
コリンの酢酸エステル化合物で興奮性伝達物質.交感・副交感神経の節前線維,副交感神経節後線維の伝達物質であるほか,運動神経の伝達物質でもある.交感・副交感神経の節前線維と運動神経筋接合部はニコチン受容体で,副交感神経節後線維はムスカリン受容体で作動する.コリンエステラーゼにより不活性化される.

▸ムスカリン受容体はGTP結合タンパクを介して細胞内反応を起こす.ムスカリン受容体においてアセチルコリンと拮抗する薬物が副交感神経遮断となる.
 ✔ ムスカリン:毒キノコに含まれるアルカロイドの種.副交感刺激作用がある.副交感神経作用物質のなかで最初に研究された.ムスカリン性アセチルコリン受容体のagonist』 と表現する.中毒時には解毒剤としてアトロピンを用いる.

▸ニコチン受容体は脱分極を起こす.ニコチン受容体において,神経節遮断薬は交感神経節と副交感神経節の両方を遮断することで,正常時に優位である方の機能の遮断効果が強く出る.神経筋接合部遮断薬は競合性遮断薬と脱分極性遮断薬がある.
 ✔ ニコチン:タバコの葉に含まれるアルカロイドの種.神経節刺激作用がある.ニコチン性アセチルコリン受容体のagonist』 と表現する.
 ✔ アルカロイド:窒素原子を含むアミノ基によりアルカリ性を示す,植物または動物由来の天然有機化合物の総称.生理活性物質というカテゴリーになる.塩基性でないものも存在する.

▸コリン受容体に直接結合あるいはコリンエステラーゼ阻害が副交感神経刺激となる.

●副交感神経刺激薬をコリン作動薬という.アセチルコリン(ムスカリン様作用が中心)を投与すると眼では縮瞳し眼圧が低下する(流出抵抗).毛様体や結膜が充血する.臨床的にはピロカルピンやカルバコールが使われる.アセチルコリンに代わって筋受容器を直接刺激する.コリンエステラーゼ阻害薬は間接型副交感神経刺激となる.フィゾスチグミンやネオスチグミンなどである.

副交感神経遮断薬が抗コリン薬で,アセチルコリンと競合しムスカリン受容体を遮断する.アトロピンやトロピカミドなどである.眼では散瞳し眼圧が上昇する(流出抵抗).流出抵抗増加について,実際には眼圧への影響はわずかであり,開放隅角緑内障での散瞳は禁忌事項ではない.散瞳によるリスクは狭隅角~閉塞隅角において問題となる.

神経筋接合部でコリン作動を遮断すると筋弛緩となる.抗コリン作用のつである.

●カテコールアミン catecholamine
興奮性伝達物質.神経科学ではアドレナリン・ノルアドレナリン・ドーパミンの総称.化学的にはカテコール核にアミノ基が結合している形により,アルカロイドの種.生体アミンでアミノ酸のLチロシンが神経細胞に取り込まれ,Lドーパ  ドーパミン  ノルアドレナリン(ノルエピネフリン)  アドレナリン(エピネフリン)と変化する.血液脳関門は通過しない.端的にはノルアドレナリンは神経伝達物質として脳内と交感神経の末端から分泌され,副腎髄質でアドレナリンに変換・分泌され全身に作用する.
アドレナリンはα受容体・β受容体の両方に作用するのに対し,ノルアドレナリンは主にα受容体に作用し,β受容体に対する作用は弱い.
合成カテコールアミンはイソプロテレノール等.

▸アドレナリン受容体に結合,ノルアドレナリンを再利用する,取り込みを阻害して受容体周囲のノルアドレナリン濃度を上昇させる薬物が交感神経刺激となる.
交感神経刺激薬はアドレナリン(αβ刺激)の眼圧下降作用を,フェニレフリン(α刺激)は散瞳・血管収縮作用を,ナファゾリン(α刺激)は血管収縮作用を用いる.
 ✔ コカイン:ノルアドレナリンの再取り込みを阻害し受容体周囲のノルアドレナリン濃度を上昇させる.

▸受容体に作用し伝達伝達物質と競合して遮断,神経興奮を遮断,ノルアドレナリンの遊離調節(オートレセプタ:α受容体刺激はノルアドレナリンの遊離を抑制し,α受容体を遮断するとノルアドレナリンの遊離を促進する)が交感神経抑制となる.
交感神経遮断には αβ作用 の種々の抑制薬があり,眼では眼圧下降作用を期待している.

●Gタンパク共役受容体(G protein coupled receptor;GPCR あるいは
 GTP結合タンパク共役型受容体(GTPbinding protein coupled receptor
グアノシンリン酸(GTP:guanosine triphosphate)と結合して活性化される蛋白質で,細胞の情報伝達の鍵を握る.
GTP結合蛋白質は,細胞膜の受容体と相互作用して細胞の外から内へシグナルを伝達する量体GTP結合蛋白(狭義のGタンパク)と,細胞内で上流から下流へのシグナル伝達に介在する低分子量GTP結合蛋白に大別される.
ムスカリン受容体はGタンパクを介して細胞内反応を起こす.
視色素はGPCRファミリー1の代表的な受容体である.

●グルタミン酸(glutamic acid)
視細胞は脱分極中にグルタミン酸を放出している.on型はmGluR6という受容体を持っており,グルタミン酸がmGluR6に結合すると,フォスフォジエステラーゼ活性化により c-GMP分解を促進し c-GMP依存性Naチャネルを閉鎖して過分極を生じる.よって光刺激でグルタミン酸放出が減少すると脱分極する.方off型はGluRを持っており,グルタミン酸がチャネル内在型GluRに結合すると脱分極する.そのため光刺激で過分極する.

●ガンマアミノ酪酸(γ-aminobutyric acidGABA)
中枢神経でのシナプスの伝達物質の1つ,主要な抑制性伝達物質.グルタミン酸が脱炭酸化されて生じるアミノ酸.

NO作動性神経非アドレナリン性,非コリン性(NANC)神経で,収縮神経であるノルアドレナリン作動性神経に拮抗する.

  •  【   続き:中枢神経 】

     【   自律神経 ② 】

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    2024