さまざまな種類の細胞が細胞間または細胞内においてシグナルを効率的に伝達し,生理機能の維持・恒常性に必要不可欠な物質群である.
厳密には,本来の生理活性とは元から体内に存在する化学物質(内因性物質)の機能を指し,特定の生理的調節機能に対して作用する化学物質を指し,ホルモン,神経伝達物質,サイトカインなどや,ビタミン,ミネラル,酵素,核酸などを指す.
外部から摂取あるいは投与した化学物質(外因性物質)に関してはその機能を生物活性,物質を生物活性物質として,薬物・毒物を含めている.
オータコイドは,生物体内で産生され微量で生理・薬理作用を示す生理活性物質のうち, ホルモン(特定の器官で分泌され体液で輸送されて他の器官に作用する)および 神経伝達物質(シナプスでの情報伝達に関与するもの)・ 細胞増殖因子(成長因子)以外のものの総称である.
消化管・血小板・中枢神経系に存在する.生体内では食物に含まれるトリプトファンを材料として90%は小腸(腸クロム親和性細胞 Enterochromaffin Cells:EC細胞)で生成され,血小板で貯蔵されている.消化管でセロトニンは副交感神経に作用し,消化管の運動を活発にする.組織の損傷・炎症などでは血小板の濃染顆粒から放出される.
中枢神経系に存在するセロトニンは,視床下部や大脳基底核・延髄の縫線核などに高濃度に分布している.神経伝達物質として覚醒状態の活動に適度な緊張(抗重力筋の緊張や交感神経の緊張など)を与える.
受容体により,神経抑制/興奮,平滑筋収縮,血管収縮/拡張,血小板凝集,などに作用するほか血管透過性亢進作用や発痛作用がある.
★
三大神経伝達物質:ACh(アセチルコリン),5-HT(セロトニン),NA(ノルアドレナリン)
★ メラトニンとセロトニン:メラトニンはセロトニンを原料として夜につくられ,体内時計の概日リズム(サーカディアンリズム)を調整する.セロトニンは主に昼につくられる.
★ 片頭痛とセロトニン:何らかの引き金で血中のセロトニン濃度が急激に上昇する.⇨この時,高濃度のセロトニンが血管収縮を引き起こし片頭痛前兆が起こる.セロトニンが NO産生増加をもたらす.⇨しばらくすると血中のセロトニンが急速に代謝され,相対的に血中セロトニン濃度が低下し血管拡張をきたす.⇨拍動性頭痛がおこる.
真皮表層でマスト細胞から放出されたヒスタミンは,C線維上のH1受容体(H1レセプター)を介して中枢神経(脳)に痒みを伝達する.血管内皮細胞のH1受容体に結合すると,血管を拡張,血管透過性を亢進させ,発赤や浮腫を生じる.末梢血管からプロスタグランジンを遊離させる.
ヒスタミンのほとんどがマスト細胞と好塩基球に存在する.ヒスチジン由来.
ヒスタミン受容体は,H1・H2・H3・H4の4種類が存在する.
H1受容体は,血管内皮細胞や知覚神経線維(C線維)に存在する.
H2受容体は,皮膚では,組織肥満細胞・ケラチノサイト・血管内皮細胞に存在する.
H3受容体は,神経組織に存在する(ヒスタミンの遊離を調節する).
H4受容体は,好酸球などの免疫細胞に存在する.
★ ヒスタミン遊離因子(HRF)
内皮由来血管弛緩因子(EDRF:endothelium᠆derived relaxing factor)の本体.基本的には強力な血管拡張作用を示すほか,血管内皮細胞機能改善・血管保護作用を示す.
NOの血管拡張作用は,NO → グアニレートシクラーゼが活性化される → cGMPの上昇 → 細胞内から細胞外にCa2+が流出 → 血管平滑筋が弛緩,とされる.刺激に応じて数秒以内で血管内皮細胞は NO産生をはじめる.NOは,プロスタサイクリン合成酵素を活性化しPGI2の産生を高める.PGI2は,血管内皮細胞に直接働いて細胞内cAMP濃度を上昇させ,NO産生を高める(ポジティブフィードバック).
マクロファージ・好中球・血管平滑筋・線維芽細胞などはサイトカイン(IL-1,TNF-αなど)により数時間かかって誘導される.
高血糖下で減少し,糖尿病(II型)のほか肥満・高血圧で,血管内皮細胞の機能が障害されNO産生・放出が低下することで,血管の損傷が加速し,循環障害の元となる.AGEsがNOを不活性化する.
セロトニンは血管内皮細胞に5-HT受容体を介して結合し,NOを産生させ血管を拡張させる.
ACE阻害薬(降圧剤)は,カリクレイン-キニン系でキニナーゼⅡ(=ACE)を抑制し,ブラジキニンの分解を抑制し,蓄積したブラジキニンはNO・PGI2などの産生を増加させる.
生体内の強力な血管収縮物質にはアセチルコリン・アンジオテンシンⅡ・バゾプレッシン・エンドセリン・ヒスタミン・トロンビン等がある.これらの物質はいずれも内皮細胞上にあるそれぞれの受容体に結合し,NOの産生遊離を促進する.
NOは,PGE2・LTB4・PAF・IL-6の合成を抑制する.
NOは緑内障視神経障害に関わるらしい.フリーラジカルとして作用し,ミトコンドリアにおけるエネルギー産生を抑制するするとのこと.
血管透過性亢進(細静脈内皮細胞収縮のため内皮細胞間隙増大)・細動脈拡張作用(血管平滑筋の弛緩)・発痛作用(知覚神経終末に作用)があり,古典的な急性炎症症状(発赤・腫脹・熱感・疼痛)を生じさせる本体である.
血管内皮細胞が傷害を受けると,血液凝固の際に活性化された第XII因子により生じたカリクレインが,前駆体である血漿中の高分子キニノゲンを分解して血漿や組織中で生成される.そのため血液の凝固反応が起きると,浮腫や発痛といった炎症症状が現れる.腸管や気管支には平滑筋収縮に作用する.
キニンの代表物質であるブラジキニン受容体は,B1・B2の2種類が存在する.
B1受容体は,生理的な状況下では静止状態を保っている.皮膚の創傷部,感染,慢性炎症などの病理学的条件下で活性化され,炎症・疼痛に関わる.
B2受容体は,外傷や炎症時に発現し,血管拡張に関わる.
一方,ブラジキニンはマスト細胞の受容体に結合し,ヒスタミンを遊離させる.PLA₂を活性化させ,PGE₂が生成される.PGは痛覚受容体を刺激して,発痛作用・血管拡張作用・急性炎症症状を増幅する.
カリクレイン-キニン系は生体内で,レニン-アンジオテンシン-アルドステロン系(RAA系),血液凝固・線溶系,プロスタグランディン生合成系など,生体内調節系と密接に連動している.
血管内皮細胞から分泌.主に血管平滑筋と血管内皮細胞に受容体がある.一過性の血管拡張作用と、それに引き続く持続的な血管収縮作用を有する.一酸化窒素(NO)や PGI2を産生・放出し,血小板凝集を阻害し抗血栓性を示す.
眼内に作用(A受容体)すると,網膜血管収縮,網脈絡膜・視神経乳頭の血流減少,眼圧降下,縮瞳などがおきる.トータルでは,緑内障に対して陥凹形成や視野障害の進行に影響する.マウス糖尿病への選択的A受容体阻害薬投与による,網膜血流の増加,周皮細胞アポトーシスと網膜菲薄化の抑制の研究報告がある.
B受容体は,神経・グリア系に作用する.
炎症刺激(ブラジキニンやセロトニン)によってフォスフォリパーゼ
アラキドン酸から合成されるPG・TX・LTは,エイコサノイド(eicosanoids:20(=eicosa)の炭素鎖構造で構成される多価不飽和脂肪酸)と総称される.
細胞膜リン脂質 の重要な構成成分で,リノール酸からジホモ・γ-リノレン酸を経て,アラキドン酸が合成される.機械的刺激や化学的刺激により PLA2が活性化,アラキドン酸が遊離し,大きく二つの系統のアラキドン酸代謝物へと変換される.
PG群は,不飽和脂肪酸の種類や5員環(あるいは6員環)の化学構造の違いから,多数種類ある.
①シクロオキシゲナーゼ cyclooxygenase によって,一連のプロスタグランジンやトロンボキサンが生成される代謝系
②リポキシゲナーゼ lipoxygenase によって,ロイコトリエンが生成される代謝系
炎症時に放出される.局所の血流を増加させ血管透過性を亢進させ,浮腫形成と炎症細胞浸潤を増強する.知覚神経を刺激して,発痛作用をもたらす.
上記のほか,トロンボキサンA2(TXA2),プロスタサイクリン(PGI2),PGF2α,など,プロスタグランジン類縁体の総称としてプロスタノイドという.
血小板から分泌される代表的なトロンボキサンであり,濃染顆粒の放出によって血液凝固を促進する.血管収縮・気管支収縮などのアレルギー反応に関わる.血栓症や動脈硬化にも関わる.アセチルサリチル酸(アスピリン;aspirin)は血小板の cyclooxygenase を阻害 → TXA2抑制 → 血小板凝集を抑制する.
主に正常な血管内皮細胞で産生され,ヒスタミンやカリクレインで促進される.TXA2と拮抗する(高齢ではTXA2が優位になりがち).
気管支を拡張させる.胃酸分泌を抑制する.本来は抗血栓 → 度を超すと出血傾向となる.アスピリンはPGI2産生も抑制するが,低用量にてTXA2抑制を優位にさせる.
眼では類縁物質を,プロスタノイド受容体であるFP受容体を介して毛様体筋を弛緩させると共に,細胞外マトリクス代謝酵素(メタロプテアーゼMMP)の産生が亢進し,ぶどう膜強膜経路の房水流出を促進させる作用を眼圧下降に利用している.FP受容体は線維柱帯にも発現している,ということで経Schlemm管ルートにも作用している可能性があるとのこと.
副作用として,充血のほか眼瞼のメラニン量を増加させること,毛根細胞に作用し毛包を成長期に転換・肥大化させることが指摘されている.また,眼周囲の脂肪組織量やコラーゲンが減少し,上眼瞼溝の深化や眼球陥凹が発症することがあるともいわれる(PAP;PG᠆ssociated periorbitopathy).
炎症の原因物質.LTA,LTB・・・
生合成は主にマスト細胞,好中球,マクロファージで行われる.マスト細胞上のIgE抗体に抗原が結合したり,PAFによって合成が促進される.強力な血管収縮作用と気管支平滑筋収縮作用,血管透過性亢進作用,白血球活性(遊走)化作用があり,ヒスタミンとともにⅠ型アレルギー反応に深く関与する.
好塩基球のほか,好中球・マクロファージ・好酸球・血小板・血管内皮などで産生される脂質メディエータ(リン脂質). 血小板凝集のほか,血管透過性亢進(ヒスタミンより強力)・好酸球の遊走が起きる.

副腎皮質ステロイド薬により,フォスフォリパーゼ ⇒ アラキドン酸の生成が抑制される.
非ステロイド抗炎症薬により,アラキドン酸 ⇒ プロスタグランジン生成のシクロオキシゲナーゼ作用が抑制される.
細胞の低酸素応答に於いて,防御機構に重要な役割を果たすのが低酸素誘導型転写因子1(HIFⲻ1)である.
通常の酸素濃度ではプロリン水酸化酵素(PHD酵素)・VHL遺伝子により不活化・分解されている.PHD酵素(HIFⲻPH)は酸素濃度を検知する働きを担っている.
低酸素ストレス下ではHIFシグナルが活性化し,HIFの標的遺伝子であるエリスロポエチンやVEGF,bFGFなどの発現を誘導し,環境への適応を図る.すなわち,
赤血球の増加,血管形成の亢進,解糖系の活性化(嫌気的呼吸の増加),ミトコンドリア活性の抑制(好気的呼吸の減少)などにより酸素環境の改善に作用する.
多くの生物にとって酸素は,生命の維持に必須の分子である.が,眼底に於いての血管新生は虚血改善の反応でありながら病状悪化につながることになる.
すなわち,糖尿病網膜症や滲出型加齢黄斑変性の病態を悪化させるVEGFはHIFの下流に存在する.そのため,日本眼科学会からはHIFⲻPH阻害薬の使用によってVEGFが眼内で増加し,それらの眼疾患を悪化させるのではないか,という懸念が表明されている.
★ HIFのβⲻサブユニット(HIF1β/ARNT)は恒常的に発現しているのに対して,αⲻサブユニット(HIFα;HIF1α~3α)は酸素濃度によって発現量が変動する.
★ pVHL:(フォンヒッペル・リンダウ病腫瘍抑制タンパク,von HippelⲻLindau disease tumor suppressor protein)
★ PHD酵素:HIFプロリンヒドロキシル化酵素(HIF prolyl hydroxylases)/HIF-1α ⲻ specific prolyl hydroxylases
★ HIFⲻPH阻害薬:腎性貧血治療薬.内因性のエリスロポエチン産生を誘導し,赤血球産生を促すことで貧血を改善する.鉄代謝も改善する.

細胞が産生する可溶性・膜結合性の低分子蛋白(ポリペプチド)で,対応するレセプターを持つ標的細胞に作用し,その伝達情報により細胞の増殖・分化・機能発現などの制御を行う.生体内で,免疫・生体防御,炎症・アレルギー,発生・分化,造血機構,内分泌系・神経系などに直接あるいは間接に関与する生理活性物質で,免疫グロブリンを除いた総称.
本来は生体防御反応であるが,時としてサイトカイン制御システムの過剰な反応あるいは変調・破綻によって,各種疾病の病態形成にも大きく関係する.
免疫に関連するサイトカインは,①免疫調節性サイトカインと,②炎症性サイトカインに大別する.前者は免疫反応に関する細胞の増殖,分化,相互調節を行い,後者は発赤・腫脹・疼痛・発熱の徴候と病原体を排除する細胞性免疫反応を発現させる.
サイトカインファミリーは走化性因子,増殖因子(成長因子),障害因子(炎症性サイトカイン),抑制因子(抗炎症性サイトカイン),ウィルス干渉因子,造血因子,細胞壊死因子,などである.
*炎症性サイトカイン:IL-1β,IL-6,IL-8,TNF-α,IFN-γがある.活性化マクロファージや活性化血管内皮細胞から産生される.
T 細胞が産生する炎症性サイトカインは IFN-γ や IL-17 が代表的である.
*アレルギー誘導サイトカイン:IL-18,IL-25,IL-33,TSLPなど.上皮細胞から産生
*抗炎症性(抑制性)サイトカイン:IL-4,IL-10,TGF-β,IL-35がある.活性化マクロファージなどから産生される.
*免疫性サイトカイン:IL-2 ~ 5,IFN-γ,TGF-β,TNF,CSF
*サイトカインの情報伝達機構は,パラクライン(近傍の細胞に作用),オートクライン(自らの細胞に作用)で機能する.
*デコイ受容体(decoy receptor):
特定のサイトカインなどと結合するが,結合しても何もシグナル伝達を行わない,囮受容体.
例;IL-1R2はシグナル伝達領域を欠き,IL-1に対するデコイ受容体として機能する.IL-1の結合をIL-1R1と競合し,IL-1シグナルを阻害することで、過剰な炎症応答を調節する重要な因子となっている.
例;IL-1ra(interleukin 1 receptor antagonist)はIL-1に対するインヒビター・デコイ.
IL-1が関与する炎症性疾患で,IL-1raとの均衡の破綻が病態の一端を担う.SLEや関節リウマチ(RA)で高値.
主要サイトカインがインターロイキン(IL:interleukin)で,白血球間の情報のやりとりを担う物質に与えられた呼称が元となり,番号が付けられている.かつて,リンパ球で産生される物質をリンホカイン
抗体産生,局所炎症反応のメディエータ作用,白血球の血管内皮へ接着作用,血管透過性を亢進.
リンパ球の分化・成熟・増殖を促進させ細胞性免疫が高まる.IFN-γやIL-4産生を増強.レギュラトリーT細胞を活性化させ免疫反応を終結させる.
マクロファージのIL-2はNK細胞を活性化させる.
(可溶性IL-2レセプターは α鎖,β鎖,γ鎖 の3種類の糖蛋白から成り立つサイトカインレセプター.可溶性が存在するのはα鎖とされる.可溶性IL-2レセプター値は体内の活性化T細胞のマーカーの指標になると言われる.特異的ではないがサルコイドーシスでの診断マーカーとして注目される.
*TSLP(thymic stromal lymphopoietin;胸腺間質性リンパ球新生因子)は IL-2ファミリーに属する上皮性サイトカインである.ヒト TSLP 受容体の発現は 骨髄系樹状細胞,マスト細胞,好酸球 に限られている.TSLP は個体が体外環境と接する境界(皮膚や気道)における応答を Th2 応答(TSLP 刺激を受けた樹状細胞による Th2 分化)へと変換・橋渡しする際のアレルギー誘導因子である.
造血幹細胞に作用(コロニー刺激因子).アレルギー反応に関与(マスト細胞の増殖
B/T細胞の増殖に作用(B細胞刺激因子,IgEやIgG1産生に関与.アトピーではILⲻ4遺伝子発現能の亢進がある.アレルギーを作るサイトカイン,と称される.主にNKT細胞が産生する.
B細胞のIgM・IgG・IgA産生を誘導.好酸球に対し分化と成熟を促進させる.
発熱因子,抗体産生の促進,急性炎症性タンパクの産生.
白血球の遊走を誘導・制御する(ケモカイン).
Th1細胞の分化を阻害.免疫システムを抑制し,休止させる.
細胞内微生物に対する自然免疫の初期段階で,細胞性免疫を誘発する(Th1細胞の分化に必須.
NK細胞・T細胞のIFN-γ産生を促進する.キラー細胞の細胞傷害活性を亢進
Th2サイトカインの1つ.B細胞に作用してIgEへのクラススイッチを誘導し,好酸球性炎症,気道上皮の杯細胞化生や気道粘液の産生,気道過敏性亢進にも関与する.
炎症促進作用
アレルギー性疾患(IgE産生やアレルギー性炎症)の発症に関与する
アトピー性角結膜炎 natural helper(NH)cell(group 2 innate lymphoid cells:ILC2)に対して大量のILⲻ5,ILⲻ13 を産生させる.
自己免疫関連の応答を制御
炎症の抑制
・VEGFⲻC/D と リンパ管新生:胚形成段階においては血管やリンパ管の発生に関与し,その後の過程ではリンパ管新生や炎症修復に関与する.
・胎盤増殖因子(PlGF;placental growth factor):透過性亢進,神経保護作用.VEGF関連の血管新生タンパクで,眼血管新生及び血管漏出に関与する.
上皮細胞や繊維芽細胞などから産生される液性因子.細胞の増殖や新生を抑制し,アポトーシスを促す. そのほか,免疫抑制,細胞分化,血管新生,細胞遊走等,発生過程や成体において細胞機能の多様な調節作用を持つ. 上皮細胞,血管内皮細胞,リンパ球などの増殖は抑制するが,線維芽細胞,平滑筋細胞などの増殖に対しては促進的に作用する.
カケクチンcachectinと呼ばれ,主に単球・マクロファージ,B細胞,樹状細胞から産生される炎症性・抗腫瘍性モノカインである.感染性微生物に対する急性炎症反応の主要メディエータで,感染部位に好中球・単球を遊走させ,殺菌作用を活性化し病原体を排除する.
マクロファージや好中球の活性化,線維芽細胞増殖,リンパ球のIL-2産生促進,白血球の血管内皮付着などを促す.
局所の血管内皮細胞に作用して細胞接着分子(ELAM-1・ICAM-1・VCAM-1)の発現を引き起こし好中球などの炎症細胞を局所へ誘導する.内皮細胞を傷害すると透過性が亢進し,微小血栓ができる.
中濃度では炎症の全身作用(発熱,急性期タンパク(CRP,フィブリノゲン,血清アミロイドAタンパク ・・ )の増加,白血球増加,
TNF-β
リンフォトキシンlymphotoxinと呼ばれる.Th1・Tc細胞で産生,αと共にマクロファージやNK細胞を活性化する.腫瘍細胞にアポトーシスを誘導するが,正常細胞には作用しない.
骨免疫学に関わる最も重要な破骨細胞分化因子でTNFスーパーファミリーに属する.破骨細胞分化に必須であるだけでなく,免疫組織の形成や乳腺発達にも重要な生理的に多彩な機能を持つサイトカインである.RANKLは胸腺髄質細胞(mTEC)の分化・成熟に重要な役割を果しており,通常,mTECは自己免疫を防ぐために自己抗原特異的T細胞を排除している.
FasLは 細胞表面にある Fas と反応する細胞表面抗原で, Fas をもつ細胞
(T細胞など)
にアポトーシスを誘導する.補体反応を抑制する.
FasR(Fas抗原)は細胞死受容体ファミリーのメンバーである.角膜内皮や色素上皮細胞に存在する CD95.
★ Fasはヒト線維芽細胞株FSⲻ7によって免疫化を行ったマウスによって産生されたモノクローナル抗体を用いて最初に同定された.Fas という名称は FS7ⲻassociated surface antigen の略称に由来する.
★ DED:Death Effector Domain
★ DISC:Death Inducing Signaling Complex
★ RIP:Receptor Interacting Protein
★ FADD:Fasⲻassociated (protein with) Death Domain
★ FLICE:FADD Like IL1βⲻConverting Enzyme
★ cⲻFLIP:cellular FLICE Inhibitory Protein
🗁 caspase:カスパーゼ / カスペース
🗁 自己免疫疾患との関連:
🗁 隔絶抗原組織での FasL
抗ウイルス作用のほか,MHC分子の発現,樹状細胞の成熟,抗腫瘍作用,網膜色素上皮細胞増殖作用を併せ持つタンパク質で,I型として α・β,II型として γ がある.
α は白血球,β は線維芽細胞によるなど,リンパ球(T細胞・B細胞・NK細胞)・マクロファージ・線維芽細胞・血管内皮細胞・骨芽細胞など多くのタイプの細胞で産生される.マクロファージとNK細胞をともに刺激し,特に抗ウイルス応答の重要な要素である.ウイルス複製を妨害し,感染細胞表面のクラスIHMCに結合したウイルス抗原の認識を増強する.腫瘍細胞に対しても直接的に増殖抑制作用を示す.
形質細胞様樹状細胞のTLR7/9発現を介して,自己免疫疾患の増悪に関与する.
自然免疫の主要因子で,NK細胞や1型細胞傷害性T(Tc1)細胞,および1型ヘルパーT(Th1)細胞によって産生される.IFN-γの主な標的細胞はマクロファージで,マクロファージを刺激・活性化して貪食による殺菌能を増強する.NK細胞・CD8陽性細胞傷害性T細胞(Tc細胞)の細胞傷害活性を増強する.
II型IFNは,免疫系と炎症反応に対して調節作用を有し,リンホカインの一種ともされる.抗ウイルス作用と抗腫瘍作用があるが弱く,その代わりI型IFNの効果を増強する作用がある.また,Th1細胞から分泌された
II型IFNはTh2反応を調節する作用でも重要である.過剰な産生は自己免疫疾患につながる可能性がある.
炎症・免疫の場では白血球などを消費しているため,新たに前駆細胞の増殖を促すサイトカインである.
コロニー刺激因子 colony stimulating factor;CSF:
• 顆粒球コロニー刺激因子 G-CSFは,内皮細胞および線維芽細胞によって産生され,好中球の前駆細胞の増殖を促す.
• 顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子 GM-CSFは,
内皮細胞,線維芽細胞,マクロファージ,肥満細胞,およびTh細胞によって産生され,
単球,好中球,好酸球,および好塩基球の前駆細胞の増殖を促す.マクロファージを活性化する.
• マクロファージコロニー刺激因子 M-CSFは,
内皮細胞,上皮細胞,および線維芽細胞によって産生され,
単球の前駆細胞の増殖を促す.
幹細胞因子 SCF:骨髄間質細胞によって産生され,幹細胞の分裂を促す. c-Kitリガンド,IL-3,IL-7,
単球・マスト細胞・樹状細胞・リンパ球・線維芽細胞・血管内皮細胞などで産生される,白血球系細胞の走化性・活性化・制御因子.その他,組織形成に関与.
サブファミリーには,
C群(NK細胞ほかリンパ球に作用,
CC群(主に単球,リンパ球や樹状細胞に作用,
CXC群(主に好中球に作用,
CX3C群,がある.
作用細胞を好中球や単球とする「炎症性ケモカイン」,リンパ球や樹状細胞に作用する「免疫系ケモカイン」とすることもある.
CC chemokine / intercrine に属し,好塩基球からヒスタミンを放出,好酸球を活性化し強い遊走能をもたらす.単核球とメモリーT細胞に対して NFⲻκB 依存的な走化性を示す.T 細胞・顆粒球・マクロファージ・線維芽細胞・mesangial cells・腎尿細管上皮細胞などが遊離する.ヒト遺伝子部位は 17q11-q21 と言われる.
補体ファミリー【C1~C9,B因子 D因子,安定化因子,調節(抑制)因子】で構成される.基本的には自然免疫系に属し,抗原抗体複合体により活性化される.
・肝臓で常時作られ,血漿・リンパ・細胞外液中に存在するタンパクの一群で, 自然免疫と獲得免疫を媒介する.
・炎症細胞発動の引き金となる.炎症の伝達物質を産生し種々の細胞を活性化する.
・複合体を形成してマクロファージに異物と認識させ,貪食を促進する(オプソニン作用).
・膜障害性複合体を形成し,細菌の細胞膜を壊す(免疫溶菌反応).
・病原微生物に取り付かれた感染細胞の細胞膜を破壊し,結果的に病原体を死滅させる.
・適合免疫のための抗原提示を行う.
・自己細胞は標識を提示して(標的化されず)自己補体の攻撃を回避する.
▣ ヘルパーT細胞の活性化(IL-2産生)には,抗原提示細胞のMHCクラスⅡ分子+抗原ペプチドによりヘルパーT細胞のTCR・CD3複合体が ‘抗原特異的に’刺激されること(シグナル1)と,抗原提示細胞の補助刺激分子(インテグリンリガンド)によりヘルパーT細胞の補助受容体(インテグリン)が ‘抗原非特異的に’刺激されること(シグナル2)が必要である.
これを共刺激(副刺激/補助刺激)という.
共刺激によって,免疫応答は正または負に調整される.伝達される共刺激シグナルはThの活性を左右し,その後の免疫応答にも大きな影響を与える.
B7ファミリー分子は,T細胞活性化において最も重要な共刺激分子である.
▣ 補助刺激分子(co−stimulatory molecules/CD86/B7分子)は,抗原提示細胞(マクロファージ、樹状細胞、B細胞など)とT細胞上に発現する一連の分子群である.末梢組織の細胞がMHCクラスⅡ分子に自己抗原を結合して提示(シグナル1)しても,ヘルパーT細胞は補助受容体(CD28)の刺激(シグナル2)がないので活性化されず無反応(anergy)に終わる. このような機序でヘルパーT細胞は「自己」の成分(自己抗原)には免疫応答(自己免疫)を起こさない.
Toll様受容体の本質的な機能は,病原菌に対し初期免疫応答を活性化する宿主の防御機構である.主にマクロファージや樹状細胞等の自然免疫担当細胞に発現している膜型受容体であり,細胞表面やエンドソームで病原体の侵入を察知(PAMPs を認識)して,感染防御反応を誘導する.即ち,自然免疫の活性化に引き続きリンパ球を通じて適応免疫の活性化に関与し,それを誘導する.なお,TLRの認識できるリガンドの数は200個にも満たないという.
「Toll」とは,ハエの真菌感染に対する生体防御反応に必須の受容体のことで,元は発生上で必要な遺伝子として発見された.多くの生物で確認され(相同遺伝子),進化的起源は非常に古いと考えられている.
哺乳動物では,Tollと相同性のある パターン認識受容体が病原体の侵入を察知し,抗菌活性を誘導する役割をしている. ★ 核酸認識受容体のTLR7/9 は,自己免疫疾患,特にSLEとの関連において重要とされる.
ヒトでは現在 TLR1〜TLR11 までの11種のファミリー分子が報告され,認識するリガンドの部位により,細胞表面で脂質やタンパク質を認識するものと細胞内で核酸を認識する二つのグループに分けられる.前者では,TLR1,2,6がグラム陽性菌や真菌を,TLR4はグラム陰性菌に存在するリポ多糖やウイルス由来のタンパク質を,TLR5が鞭毛タンパクフラジェリンを,後者では,TLR3はウィルス由来の二本鎖RNA を,TLR7,8はイミダゾキノリン誘導体やウイルス由来一本鎖RNA を,TLR9はバクテリア由来の DNA(CpG DNA)を認識する.これらにより,病原微生物にのみ発現する PAMPs(pathogenⲻ
PAMPs によるTLR刺激は,細胞外に存在する leucine rich repeat(LRR ⁄ ロイシンリッチリピート)領域で多様な病原微生物の特異的分子群を認識した後,細胞内の Toll/IL-1 receptor(TIR) 領域を介し MyD88・IRAK・TRAF6・NF-κB によって構成されるシグナル伝達カスケードを活性化し,IL-1・IL-6などの炎症性サイトカインやNO等の伝達物質を合成させる.一連の炎症反応は,感染局所での感染巣の拡大を防ぎ治癒をうながすために必要となる.
TLR刺激は抗原特異的T細胞の増殖をうながし,IL-12やIL-18などのサイトカインを産生し,Th1への分化を誘導することで,適応免疫の活性化を量的にも質的にも制御している.
★ 誘導されたTh1は,アレルギー性炎症に関わるTh2反応を抑制する.これにより 自然免疫を招く菌体成分への暴露が少なくなった近年の生活(衛生)環境において,アレルギー疾患の増加を招いているとの学説がある(衛生仮説).
TLRはI型インターフェロンの産生を誘導する.
TLR3・7・8・9は樹状細胞に作用しIFN-αが誘導される.TLR3・4はMyD88非依存的にIRF-3を活性化し,IFN-βが誘導される.
インターフェロンは抗ウイルス作用をもつ遺伝子の発現を増強してウイルスに対する生体防御機構を活性化している.これは,他のアダプター分子と同様にTIRドメインをもったTRIF(TICAM-1)がTLR3に結合してシグナルを伝えていると考えられている.TLR4には直接TRIFは結合せず,TIRドメインをもった別のアダプター分子TRAM(TICAM-2)を介してTRIFが結合する.
MyD88【Toll 様受容体と結合するアダプター分子
MyD88は,免疫応答において中心的な役割を果たす細胞質アダプタータンパク.TIRドメインを介してTLRに結合する.
TLRがLRRを介して病原体を認識すると,MyD88を介してIRAK・TRAF6を活性化しNF-κBを活性化する.その結果TNFαやIL-1、IL-6といった炎症性サイトカインの産生が誘導される.
TLR刺激により炎症性サイトカインの産生が誘導されて好中球やマクロファージなど炎症細胞の浸潤により,一連の炎症反応が起こる. IRF5がMyD88に結合して活性化し炎症性サイトカインの産生に働いている可能性がある.
しかし、MyD88によらないNF-κB活性化経路もある.アダプター分子TIRAP(Mal)はMyD88と同様にTIRドメインをもった分子で,LPSによるNF-κB活性化に関与していると考えられている.
TIRドメイン【細胞質内領域にあるIL-1受容体とも共通する構造のこと.Toll/IL-1受容体相同性領域 (Toll/IL-1 receptor homologous domain)
☕ tollは,great とか amazing のような意のドイツ語で,発見者が叫んだらしい „Das ist ja toll!“ ("That's amazing!" すンげ~) って.
Toll様受容体(TLR):細菌・ウイルスを感知し,免疫反応を誘導する.
NOD(nucleotide binding oligomerization domain)様受容体(NLR):細胞内寄生細菌や外来性傷害関連分子パターン(DAMPS)を認識
RIG-1(retinoic acid-inducible gene-I)様受容体(RLR):細胞内ウイルス(感染ウイルス)由来のRNAを感知
インフラマソーム inflammasome炎症小体:
自然免疫系の一部として,細胞質内で病原体関連分子パターン(PAMPs)や損傷関連分子パターン(DAMPs)に応答(異物を認識)して形成されるタンパク複合体.
【
自己炎症 】
炎症性サイトカインの活性化と分泌,およびピロトーシス pyroptosisと呼ばれる特殊な免疫刺激性炎症誘導性プログラム細胞死の誘導を介し,炎症カスケードの誘導と宿主防御の調整に中心的調節因子となっている.
調節不全または慢性的な活性化は,自己免疫疾患のほか,神経変性疾患,代謝症候群などの多様な疾患と関連する.
★ NLRP3活性化:NLRP3(NLR family pyrin domain containing 3;NOD様受容体ピリンドメイン含有タンパク3)はパターン認識受容体のひとつで,刺激性の代謝物や病原体に反応して,NLRP3インフラマソームという複合体を形成し,炎症性サイトカイン IL-1β や IL-18 の産生を誘導する.
C型レクチン受容体:真菌・結核菌を認識,マクロファージなどによる攻撃の標的
核酸認識受容体:TLR7/9 は,自己免疫疾患,特にSLEとの関連において重要とされる.
糖鎖認識分子ファミリー:
異物を認識し,補体経路のひとつが発動する.抗体類似作用を発揮する.貪食を促進する.あるいは細胞傷害に作用する.
糖鎖に結合し,接着分子として機能する.
プロテアーゼはタンパクを加水分解する酵素の総称である.タンパク内のペプチド結合を切断し,摂取したタンパクの消化・分解,細胞シグナル伝達などの生物機能に関与する.
即時型アレルギーであるI型アレルギーにおいて,肥満細胞表面に結合したIgE(免疫グロブリン)にアレルゲンが結合すると,細胞内のシグナル伝達が生じ,肥満細胞や好塩基球の顆粒内に含まれるヒスタミンなどとともにプロテアーゼも放出される.放出されたプロテアーゼは,基底膜を分解して血管透過性を亢進させ,好中球の遊走に有利に作用する.
ダニⲻプロテアーゼ,花粉ⲻプロテアーゼが注目されている.自然免疫応答を誘導するアレルゲン作用のほか,キニン系活性にも関わるらしい.