羞 明 photophobia,photoaversion |
光が嫌い Lichtscheu ということで,要は「まぶしさ」と結果として「不快感」「眼痛」などの症状.
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光を異様にまぶしく感じ痛みまでも生じる状態,を指す.光刺激に対する過敏性が中心にあり,異物感,流涙,眼瞼痙攣,眼痛などを伴う.光散乱,網膜閾値感度(輝度コントラスト)の異常や三叉神経刺激が原因となっている.
室内から明るい戸外へ出たようなあるいはライトを浴びたような,大量の光による単なる「まぶしさ・眩しさ」とは区別することが多い.
光線による網膜傷害を避ける意味合いを指摘する研究者もいる.
中枢神経系の疾患でも現われ,中枢性羞明というカテゴリーがある.
▓ 原因
★末梢性
①結膜炎,コンタクトレンズトラブル,ドライアイ,表層角膜症あるいは電気性眼炎:角膜上皮障害
②睫毛内反,角膜異物あるいは角膜上皮剥離:角膜刺激
③角膜感染症(化膿菌,真菌,角膜ヘルペス,アカントアメーバ:角膜潰瘍,角膜混濁
④眼圧上昇(閉塞隅角緑内障,先天緑内障):角膜上皮浮腫+高眼圧
⑤虹彩毛様体炎(あるいは,ぶどう膜炎一般):瞳孔反応(縮瞳)時の刺激で眼痛様の症状を訴える.
⑥白内障,角膜混濁:光が眼内で散乱してコントラストが悪くなる(本来の羞明ではない).
⑦病的散瞳:動眼神経麻痺,Adie症候群,外傷性散瞳,虹彩萎縮
⑧全色盲あるいは白皮症 albino:黄斑低形成・視路異常・散乱光斜断不良のため低視力・羞明が生じる.
(錐体機能不全とすれば,明順応障害と見做す)
⑨錐体(-杆体)ジストロフィ:錐体機能不全による明順応障害(昼盲と羞明),定型網膜色素変性でも
⑩網膜色素上皮症:視細胞層の変調が起きているらしい.
⑪視神経炎
⑫下垂体腫瘍
★中枢性
①片頭痛:閃輝暗点とは別に,実際の光(明るさ)に対して過敏性を訴える.
②本態性眼瞼痙攣:視床の活動亢進,上丘の活動抑制による瞬目の制御異常.
③三叉神経痛
④外傷性脳損傷・脳脊髄液減少
⑤髄膜炎・くも膜下出血・脳圧亢進
⑥精神疾患:パニック障害・発達障害・うつ病
⑦薬物:ベンゾジアゼピン系・クロロキンなど
⑧原因不明:間欠性外斜視(片目つむり),神経症,
2020