急性膵炎とは、胆石、アルコール、高脂血症、外傷性、外傷、手術、検査後が主な原因となって引き起こされる病気です。膵臓で作られた消化液が十二指腸に流出する前に膵臓自身を消化し、消化酵素が膵臓を越えてまわりの組織に障害を与えると重症となってしまう病気です. 重症となると、死亡率は20〜30%となり、非常に危険な状態に陥ります。 帝京大学外科肝胆膵グループは厚生省がん研究班会議-「重症急性膵炎の救命率を向上するための研究班」、並びに「難治性膵疾患の研究班」にて最新の治療技術、方法に取り組み膵炎患者さんの治療に努力しています。 急性膵炎の症状 1. 腹部、背部の激痛があり-鎮痛剤がきかない事が多い 2. 重症となると、腹部、背部の激痛に加え、呼吸困難、血圧低下、意識障害がひき起こされる。 3. 腸が麻痺して、腹部が膨隆する。下痢などがおきるが便秘になることもある。 4.腹腔内で出血が起こる。 5. 胸水が貯まる。
#これに加えてヘリカルCTやMRIが診断に重要であり、単に診断を確定するだけでなく、患者さんの病状がよい方向か否かをしっかり判断することが大切です。 重症度診断は、上記の症状とX線CT, MRIによる重症度分類を用いて診断を行います。
症状が比較的軽いもの 1.食事の中止 2.点滴(脱水の改善) 3.栄養補給は、静脈からの高カロリー輸液またはチューブを用いての経腸栄養法 4.薬:膵臓の消化ホルモンをブロックする薬や細菌感染予防のための抗生物質
症状が重いもの 1. 集中治療:血圧、脈拍、熱、尿排泄、血液検査成績や画像診断所見などを 2. 点滴、栄養、薬における重点的治療法:特に症状の重いものに対しては特殊療法をおこないます. (2)血液透析、血漿交換:血液中の有害物質を取り除く (3)ドレナージ:膵臓や周囲に膿瘍や嚢胞ができた場合には、超音波下にドレナージをおこなう。 (4.)手術:超音波下のドレナージが効果をあげないと思われる場合や、膵臓の感染がひどく全身状態が悪化し多臓器不全の恐れがある場合や、すでに壊死部位の感染が生じている場合その腐ったところを取り除く. #急性膵炎と思われた場合でも、膵臓癌の初期症状という場合もありますので注意のほどを! #良性疾患でも重症膵炎は、死亡率がもっとも高い疾患の一つです。注意を! #早期の適切な診断、病勢判断と治療(重症度に合わせた)が患者さんの命を守ります。注意のことを!
重症急性膵炎に対しては、検査結果のみならず、心臓、肺臓、腎臓、肝臓などの機能をチェックしながら、適時、異常所見に対して対応できるような集中管理が必要となります。なかでも、最近、行われるようになった「動注療法」は、膵炎を鎮静化するのに効果がみられ、積極的に使用しておりますので、概略を説明いたします。なお、絶食が原則ですので、静脈栄養や経腸的栄養管理も重要なポイントとなります。 蛋白分解酵素阻害剤+抗生物質の動脈内持続注入療法 膵炎の炎症を抑えるために、膵臓内により薬剤を高濃度に投与できるように、カテーテルを経動脈的に脾動脈内(胃十二指腸動脈内にもいれることがある)に挿入留置して、持続的に薬剤を注入する。3日から5日続ける。 (実際の症例)
この症例は膵炎発作で激しい腹痛と背部痛で入院。血液検査所見やCTの所見を参考に急性膵炎の診断がなされた。同日、動注療法がなされた。 血管カテーテルを脾動脈内ならびに胃十二指腸動脈内に2本挿入留置し、5日間薬剤の持続注入を行った。症状ならびに検査所見の寛解がみられた。
動注療法2週後のCTです。膵炎の所見は消失しています。 |