12:膵臓癌 -新しい治療法はでてきたのか?

膵臓癌切除後の成績が芳ばしくないので、“リンパ節や神経叢の拡大郭清術”に方向づけられたことはすでに述べました。しかし、拡大手術の意味については賛否両論で世界的に注目されている。厚生省班研究で拡大手術の意義について臨床比較試験(randomized controlled trial:RCT)を行うことになっています(14 項aを参考にしてください)。

膵癌においては、手術を除いては的確な治療法がないことは周知のことでありますが、手術だけでは術後再発の問題を解決できないとのことで多くの治療法が出現してきており、我々も試みています。

  • 重粒子線治療で癌を閉じ込めてから切除をする方法(14項c参考に)。これまでの放射線治療にない結果が得られると期待されています。

  • 切除後の再発として最も多いのは肝転移ですので、その発生を抑えるためにいろいろの工夫をしています。
  •     *術後、肝動脈にカテーテルを挿入して、14 dに記載した感受性のあ
         る抗癌剤を投与する方法。

        *術後、肝臓に放射線照射を行う方法。などが試みられている。

    いずれにせよ、8項で述べたように治癒切除(Cur A)ができた症例が長期生存するので、切除手術にあたってはそれができるような手術をするべきであり、また、そのような切除ができる膵癌専門外科医のもとで手術をすべきであるとされています。欧米では、年間膵切除20件以上の切除が行われている施設を high volume centerとよび、そのような施設での手術を勧めています。


    本ホームページ http://www.med.teikyo-u.ac.jp./~takada/index.htmlに関するお問い合わせは

    高田忠敬 (E-mail:takada@med.teikyo-u.ac.jp)までお願いいたします。

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