2:「患者さんへの注意:膵臓がんの診断と治療の現状について」 膵臓はお腹のなかでも後ろのほうにあるため、はっきりした症状や簡単な検査法がないので、腹痛や背部痛あるいは心窩部不快感,あるいは体重減少などの症状がありながらも、しばしば気づかず見逃され、ようやく膵臓疾患の疑いがもたれ診断にこぎ着けたときには手遅れということも多くあります。また、急性膵炎の症状にかくされて見逃されてしまうこともあります。しかし、最近では、ヘリカルCTや磁気共鳴装置(MRI)、内視鏡的超音波検査法(EUS)
をはじめとする新しい検査法が出現し、それらを駆使しこれまでにない診断結果が得られはじめております。また、これらを再構築して、膵癌の進展についても把握することができるようになってきております。しかし、これらの最先端の検査法でも、患者さんが早期に診察に訪れ、専門家による一連の検査計画にのらない限りはただ放置された機械と同じであります。したがって、まず、第一は“膵臓疾患を疑う”ということからスタートすることが大切と考えております。 |
帝京大学第一外科 高田忠敬 |
高田忠敬 (E-mail:takada@med.teikyo-u.ac.jp)までお願いいたします。 |