5:膵臓がんの発生部位と症状は?

 1996年度に調査した膵臓癌1374例での膵がん患者では症状があるものが 82.5%と最も多く、症状は、腹痛が 40.3%, 黄疽が 15%, 背部痛が 8.2%、その他、食欲不振、体重減少、全身倦怠感とつづいております。

膵頭部癌では、多くは、黄疽がでてきます(図1)。
しかし、黄疽もなく、腹痛や背部痛を訴える患者さんも多くいます。この場合、膵頭部の後ろ側に引っ込んだ“鈎状突起”の癌が原因です(図2)。はっきりした初期症状がなく、痛みや上腹部不快感,体重減少が主なものです。
膵体尾部癌では、左上腹部痛や左背部痛を訴えることが多いようです(図3)。

何となく胃が重いとか胃痛や背中が痛いなどの症状があり、胃の検査で胃癌や潰瘍などがないときには膵臓の検査が必要です。血清アミラーゼが上昇しているときは膵炎を疑うだけでなく、膵がんが隠れて存在していることも疑うことが大切です.血清CA19-1やCEAなど腫瘍マーカーの上昇では膵がんをまず疑って検査することを薦めます。特に、鈎状突起の癌は存在をなかなか明らかにならないくせものですので、是非とも注意して見つける努力が必要です。


図-1(膵頭部がん)         図-2(膵鉤状突起がん)         図-3(膵体尾部がん)



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