Previous
フォーラム2  5月 14日 15:40〜16:20(第2会場)
【 司会 】 加来 信雄  (久留米大学救急医学)

演題番号:F5 熱傷患者における白血球(PMNL)のプライミングとアポトーシス
小倉 裕司、田中 裕、康 泰珍*、橋口 尚幸、鍬方 安行、島津 岳士、杉本 壽
大阪大学救急医学、同臨床検査科*
コメンテーター 田中 孝也  (関西医科大学救命救急センター)
【目的】 熱傷患者における多核白血球(PMNL)の機能変化を明らかにすること。

【対象および方法】 対象は熱傷患者9例(平均Burn Index 36.8;生存7例、死亡2例)。フローサイトメトリーにより、血中PMNLの活性酸素産生能、貪食能、およびアポトーシスを経日的に測定した。無刺激状態での活性酸素産生能をプライミング指数、FMLP刺激による活性酸素産生能をFMLP反応性として評価した。さらにFMLP過剰反応を示すPMNL数比を評価した。また多発外傷患者17例(平均ISS 31.2)におけるPMNL機能の経日的変化と比較検討した。結果はmean±SDで示す。

【結果】 熱傷生存例(平均Burn Index 24.9)において、PMNLのプライミング指数は受傷後2日目から3週間以上にわたり上昇した(第2-7病日*151±34, 8-14病日*149±30, 15-21病日*151±34 , 22病日以降 *151±34 vs正常75±9;*p<0.05)。多発外傷患者でみられたプライミング指数の亢進期間(第2-5病日* 124±30 )に比べ、有意に長期であった。一方、熱傷死亡2例(平均Burn Index 83.5)において経過中明らかなPMNLのプライミングはみられなかった。熱傷生存例のFMLP反応性は、受傷後2日目から3週間以上の長期にわたり亢進し(第2-7病日*333±110, 8-14病日*309±112 , 15-21病日 *367±71, 22病日以降 *319±95 vs正常168±27)、この間過剰反応比も上昇した。PMNLのアポトーシスは受傷後3週間以上にわたり有意に抑制された(第0-7病日 *9.3±6.1, 8-14病日*5.7±3.3, 15-21病日*5.2±0.3, 22病日以降 *5.0±2.2 vs正常27.9±9.5%)。

【結語】 熱傷後、PMNLは長期間プライミングされ、プライミングされたPMNLのアポトーシスは抑制される。熱傷に伴うPMNLのプライミングは、その持続性において他の外傷患者と一線を画する。

Previous