フォーラム3
5月 14日 16:20〜17:00(第2会場) 【 司会 】 岡田 芳明 (防衛医科大学校救急部) |
演題番号:F6 | 広範囲熱傷ラット受傷早期におけるカンジダのmicrobial translocationの検討 |
櫻井 勝、田中 秀治、後藤 英昭、篠塚 さつき、古畑 敏子、松田 博青、島崎 修次 | |
杏林大学救急医学、同高度救命救急センター | |
コメンテーター | 大谷 美奈子 (広島大学救急部集中治療部) |
【目的】 われわれの最近の研究で、重傷熱傷の受傷後48時間以内に深在性真菌感染を示唆する血中1-3βDグルカンが高値を呈する症例が多く確認され報告しているが、この原因として熱傷後早期の腸管よりのカンジダのmicrobial teranslocation(MBT)が最も有力な侵入経路と考えられる。今回この現象を実験的に検証すべく以下の検討を行った。
【対象と方法】 ウイスター系ラット48匹背部にIII度40%熱傷を作成し、あらかじめ経口投与したカンジダ(1.5 x 109個)の、24時間後のtranslocationの状態を検討した。測定項目:門脈血、大動脈中βグルカン、エンドトキシン値ならびに肝臓、腸管、腸管膜リンパ節(MLN)の真菌培養。グループ:48匹の対象をA)熱傷+カンジダ投与群、B)熱傷+カンジダ投与+ジフルカン投与群、C)熱傷+生食投与群、D)Sham熱傷+カンジダ投与群の4群に分類。 【結果】 門脈、動脈血中βグルカン値ならびMLN、肝での培養ではもっともA群で高値を示し、ジフルカン投与したB群ではA群に比べ有意に低値であった。しかし両群ともC群に比べては有意に高値を示した。エンドトキシン値はいずれの群も正常範囲内であった。また組織染色ではA群でHE, グロコット染色で腸管壁、MLN、肝臓いずれも多数のカンジダ菌体を確認した。 【結語】 今回の結果結果から重傷熱傷早期に腸管粘膜バリアーの破綻によりカンジダがtranslocateし、全身に真菌が播種されることが確認された。この早期のカンジダtranslocationはジフルカンの全身投与によって阻止が可能と考えられた。 |