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一般演題:[病態生理]   5月 13日 09:00〜09:50(第1会場)
【 座長 】 島津 岳士  (大阪大学救急医学)

演題番号:A005 ヒツジ重症熱傷モデルにおける抗L-セレクチン抗体の効果
桜井 裕之、仲沢 弘明、野崎 幹弘、Traber DL*
東京女子医科大学形成外科、テキサス大学ガルベストン校*
【目的】 近年、好中球などが放出する種々の活性酸素やプロテアーゼによる血管内膜の損傷が熱傷後の血管透過性亢進に関与している可能性が指摘されている。様々な炎症機転において白血球と血管内膜の接着はその最初のステップとして考えられている。今回われわれは、その接着因子のひとつであるL-セレクチンをモノクローナル抗体を用いて阻害した際の熱傷後血管透過性変化に及ぼす影響を検討したところ興味ある結果を得たので報告する。

【方法】 ヒツジ16匹に肺リンパ瘻および大腿前リンパ瘻を作製した。5-7日間回復期間をおいた後、未治療群(n=9)と治療群(n=7)に分け、治療群においては受傷2時間前に抗L-セレクチン抗体(1mg/kg)を投与した。両群ともに麻酔下に40%BSAV度火焔熱傷と綿花タオル燃焼時の煙による気道熱傷を加え、その後72時間の肺リンパ流量および大腿前リンパ流量、熱傷組織リンパ流量を測定した。また血中と各々のリンパ液中の膠質浸透圧比とリンパ流量より肺血管透過性指数(l-PI)および熱傷組織透過性指数(s-PI)を求めた。

【結果】 下図に示す。

【結論】 熱傷および気道熱傷後の血管透過性変化にL-セレクチンによる好中球と血管内皮の接着過程の関与が示唆された。

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