一般演題:[気道熱傷]
5月 13日 09:50〜10:30(第1会場) 【 座長 】 井砂 司 (東京女子医科大学形成外科) |
演題番号:A006 | 気道熱傷2例の肺胞洗浄液中顆粒球エラスターゼの変化 |
青木 光広、鈴木 幸一郎、小林 良三、福田 充宏、藤井 千穂、小濱 啓次 | |
川崎医科大学附属病院高度救命救急センター | |
【目的】 気道熱傷の気道型では、気道粘膜損傷に伴う換気障害やそれに続発する感染症が問題になる。病態として気道粘膜の炎症が考えられるため、我々は蛋白分解酵素阻害剤であるウリナスタチン(Ur)吸入療法を行い、昨年の本学会で効果について報告した。今回は、Ur吸入療法を行った2例の肺胞洗浄液(BALF)中の顆粒球エラスターゼ(PMN-E)を測定したので報告する。
【方法】 気道熱傷例に対し気管支ファイバー検査を第1・3・5・7病日に行い、右第4区に生理食塩水50mlを注入しBALFを回収した。Urは30万単位/日を3日間ivし、5万単位を生理食塩水20mlに溶解し、1回5mlを6時間毎にジェットネブライザーで7日間吸入させた。 【結果】 症例1:47歳、男性。火炎熱傷、BI20。気管支ファイバーで炭粉の沈着と粘膜の発赤、蒼白化と易出血性を認めた。BALFのPMN-Eは、第1病日4600μg/lが第3病日に12200μg/lと上昇し、第7病日には5200μg/lと低下した。症例2:52歳、男性。火炎熱傷、BI40。気管粘膜には大量の炭粉が付着し、炭粉除去後の粘膜は発赤が強く、易出血性であった。BALFのPMN-Eは、第1病日5200μg/l、第5病日10200μg/l、第7病日6400μg/lと変化した。2例とも肺炎の合併はなかった。 【考察と結語】 今回の2例の検討では、BALFのPMN-Eが受傷初日より3〜5日後に高値となり第7病日には低下していた。従って、気道熱傷による気管(支)粘膜の炎症のピークは、受傷後3日頃にあるものと思われた。BALFのPMN-Eに対するUrの効果については、今後対照群との比較を行う必要があると考えている。 |