一般演題:[気道熱傷]
5月 13日 09:50〜10:30(第1会場) 【 座長 】 井砂 司 (東京女子医科大学形成外科) |
演題番号:A009 | 気道熱傷合併に伴うAtrial Natriuretic Peptide(ANP)の放出 |
桜井 裕之、仲沢 弘明、野崎 幹弘、Traber DL* | |
東京女子医科大学形成外科、テキサス大学ガルベストン校* | |
【目的】 熱傷患者において気道熱傷を合併した場合、不安定な血行動態が遷延することが多く、それに伴い必要輸液量の増加も報告されている。Atrial Natriuretic Peptide(ANP)は心房の心筋細胞から放出され体液バランスに深く関わっている物質のひとつとして知られている。近年、様々な肺障害モデルにおいて血中ANPレベルの増加が報告されているが、気道熱傷合併に伴う血中ANPの変化およびその熱傷後の循環動態に及ぼす影響を調べた報告は少ない。今回われわれはヒツジを用い熱傷単独群と気道熱傷合併群における血中ANPレベルの変化を検討したところ興味ある知見が得られたので報告する。
【方法】 ヒツジ17匹に対しSwan-Ganz、大腿動静脈、心左房カテーテルを留置した。5日間の回復期間をおいた後、熱傷単独群(n=8,40%BSAV度熱傷)と気道熱傷合併群(n=9,上記熱傷に加え綿花タオル燃焼時の煙による気道熱傷)に分け、受傷後72時間の血行動態、尿量および血中ANPレベルを経時的に測定した。 【結果】 受傷後、気道熱傷合併群においては2峰性の血中ANP増加を認めた(図)。受傷直後に高値を示した後一時受傷前値に低下し、再度48時間以降に増加が認められた。気道熱傷合併による血行動態および体液バランスの影響はANPが一時低下した12時間以降に顕著に現れた。 ![]() 【結論】 気道熱傷合併による血中ANPの放出が熱傷後の血行動態に影響を及ぼす可能性が示唆された。 |