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一般演題:[スキンバンク]   5月 13日 09:00〜09:40(第2会場)
【 座長 】 青山 久  (愛知医科大学形成外科)

演題番号:A010 Tokyo Skin Bank Networkの現況と展望
和田 貴子、田中 秀治、徳永 尊彦、斉藤 大蔵、川井 真、勝見 敦、辺見 弘、島崎 修次
東京スキンバンクネットワーク
【背景及び目的】 昨年10月16日に臓器移植に関する法律(以下移植法と略)が施行され脳死体からの臓器提供が可能となったが、心停止後の腎臓・皮膚・角膜の提供にも変化が生じてきた。平成6年3月東京スキンバンクネットワーク(以下TSBNと略)の設立以来4年間で少しずつその参加施設が増加し、ドナー数も需要を満足させるだけの数が得られる様になってきた。また、今回の移植法施行後日本臓器移植ネットワーク(以下とJOTと略)との連携によりTSBNが活動の幅を広げることができたので、移植法施行前後でのTSBNの活動の変化と現況を報告する。

【方法】 ドナー数や皮膚提供状況の変化について、1997年1月1日から移植法施行前の10月15日までと10月16日から平成10年1月29日現在までの2つに分けて検討した。

【結果】 TSBN設立後平成10年1月29日現在までのドナー数は平成6年18人、7年11人、8年9人と減少傾向にあったが、昨年は防衛医大が加入した事もあり18人、今年は1ヶ月で3人と再びドナー数の増加がみられた。平成9年度のドナー数を移植法施行前後で比較すると、施行前 9.5ヶ月間にTSBN内で提供があったのは7人、施行後現在までのわずか3.5ヶ月間ではTSBN内に8人、TSBN外に5人のドナーがあった。この3.5ヶ月間のドナー13例のうち、皮膚のみの提供は1例のみ、他はすべてJOTを介した多臓器・組織の提供であった。移植法施行前後での皮膚提供時の状況は、提供を家族の側から申し出てくれた場合が移植法施行前は1人であったの対し、移植法施行後は7人と増加した。主治医の側から皮膚提供を説明した後家族が同意してくれた場合が施行前で7人に対し、施行後は6人であった。

【考案】 移植法施行後にドナー数が著明に増加したのは一般の方々に臓器移植の概念が少しずつ広まってきた兆しであると考えられる。また、移植法の成立により臓器提供を申し出る家族が増えてきたにも関わらず、意思表示カードの普及が充分でないため脳死下の臓器提供には至らず、皮肉にも組織提供をのばす結果になったと推測される。

【結語】 1.TSBN参加施設の増加とその活動並びに日本臓器移植ネットワークとの連携により臓器・組織移植のドナー数が増加した。2.臓器移植に関する法律施行後、意思表示カードを持たない臓器提供希望者が、結果的に脳死下の臓器提供ではなく組織提供を増加させた。

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