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一般演題:[局所療法1]   5月 13日 09:40〜10:20(第2会場)
【 座長 】 田井 良明  (久留米大学形成外科)

演題番号:A014 スルファジアジン銀含有創傷被覆材(ミカキュア)の小児熱傷への使用評価
山下 理絵*,**、松井 潔*,**、浅野 学*,**、内沼 栄樹**、黒柳 能光***
湘南鎌倉総合病院形成外科*、北里大学形成外科**、生体工学***
【目的】 熱傷の治療には現在多種多様の創傷被覆材が使用されている。特に小児熱傷の治療には、包帯交換、疼痛の少ない創傷被覆材の役割は大きい。小児期、特に乳児期から幼児期の熱傷は、家人の不注意による熱湯などの加熱性液体が原因であることが多く、このような症例は受傷直後に深度を判定することは難しいが浅達性、および深達性II度熱傷が混在していることが多い。今回、スルファジアジン銀含有創傷被覆材(以下ミカキュア)を使用し良好な結果を得たので報告する。

【材料および方法】 ミカキュアは、抗菌剤含有ポリウレタンフィルムと高吸水性不織布の二重構造であり、1cm2あたり50μgのスルファジアジン銀が含有されている。使用方法は、水泡が存在する場合には除去した後、生食で洗浄、消毒後に創面にミカキュアRを適用し、その上にガーゼをあてて圧迫固定する。3日後にガーゼのみ交換、7日後に創面の状態を観察し必要であれば、再度ミカキュアを貼付した。今回、0歳から3歳までの乳幼児熱傷20例に対し、上記の方法でミカキュアを貼付し有効性を検討した。

【結果】 ミカキュア貼付後14日から28日で表皮化が完了した。創面との密着性は良く、被覆効果は良好であった。臨床治験時には、除去しにくいことが欠点であったが、今回使用時に除去困難な症例はなく、創部に基材が残存する症例も認めなかった。また、深達性II度熱傷部ではデブリードマン効果も見られた。

【結論】 ミカキュアは乳幼児過熱性液体による熱傷、浅達性および深達性II度熱傷の混在する症例に有用であった。しかし、保存的治療を行った場合、深達性II度熱傷部に関しては肥厚性瘢痕を生じやすいので今後経過観察を行っていく予定である。

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