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一般演題:[看護1]   5月 13日 10:50〜11:20(第2会場)
【 座長 】 山崎 かね子  (社会保険中京病院熱傷センター)

演題番号:A021 ロイ適応看護モデルに基づく熱傷患者の看護 −相互依存様式に視点をあてて−
下舞 紀美代 渡辺 康子
宮崎県立延岡病院皮膚科
【目的】 熱傷において、知的障害や身体的障害によりその危険からの回避が困難である事例をしばしば経験する。そこで身体的活動の障害と言語的コミュニケーションの困難な患者の看護を通して相互依存関係への看護介入の効果を明らかにする。

【方法】 ロイ適応看護モデルに基づく看護過程の展開。(対象)65歳女性。入浴中の温度上昇を回避できず2〜3度、57%熱傷、夫の発見により当院入院。合併症:パーキンソン病、拡張型心筋症。表情が乏しく全身硬直状態にあった。

【看護の展開及び考察】 ロイ適応看護モデルに基づき、患者の生理的、心理・社会的様式におけるアセスメントを行い、全人的に関わりをもった。患者の意識が清明である中で毎日行なわれる熱傷処置は疼痛を伴い、血圧は200mmHg、脈拍140回/minを示した。しかし、患者の表情は処置時もそうでない時も変わらず仮面様顔貌を示した。我々は、ロイ看護モデルに示される相互依存様式に着目した。重要他者である夫、サポートシステムで最も重要な長男、娘、主治医、受け持ち看護婦を交えカンファレンスを行い、患者の少ない表情の中に潜む意識を把握しようと努めた。会話は一方的であってもコミュニケーションは成立すると考え家族との接触を多くもてるよう配慮した。受傷後5ヶ月を経過する頃より、瞬きで意志を表すようになった。「早く治ろうね」と言うと笑顔を見せた。この行動は生きる事、回復する事への意欲と感じられた。信頼関係、相互関係への効果的関わりで患者は自分自身の生命の価値を自ら自覚したと思われる。この事は相互依存関係への看護介入の効果と思われる。

【結論】 ロイ適応看護モデルは患者を全人的、統合的にとらえる事が可能であり、熱傷患者の看護介入をより効果的にした。

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