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一般演題:[看護2]   5月 13日 11:20〜12:00(第2会場)
【 座長 】 早坂 百合子  (日本医科大学高度救命救急センター)

演題番号:A025 熱傷患者のICU入室中の不安と不満−退院後のアンケート調査より−
坪根 純子、鶴田 千保、城戸 知美、大久保 恵子、海塚 安郎
医療法人社団 新日鐵八幡記念病院ICU
【はじめに】 熱傷を負った患者は、受傷直後から治療の過程で身体的・経済的・社会的不安あるいは治療・看護に対する不満があると思われる。

【目的】 熱傷で当院ICUに入室したことのある患者に対しアンケート調査を行い、ICU入室中の身体的・経済的・社会的不安、治療・看護に対する不満について解析する。

【アンケートの対象】 熱傷の程度がArtzの基準の重症熱傷を満たし、受傷当時の年齢が18歳以上で、かつICU在室日数が1週間以上の患者50名。

【結果】 回収率64%(有効回答率56%)。受傷原因として、最も多いのは「労働災害」であった。また、ICUに入室していたときのことを覚えている人は93%であった。入室中の不安については、「身体的不安があった人:79%」「社会的不安があった人:68%」であったのに対し、「経済的不安があった人:46%」と少なかった。治療・看護の不満においては、「シャワー包交(ガーゼ交換)時に痛い思いをした」という意見が多かったが、それ以外では創痛コントロールは図れていたようである。しかし、「退院しても創痛が続いている」と答えた人は52%と多く、退院後のフォローは大切である。また、ICU入室中に最も励みになっていたものは「医療従事者の声かけ」であり、支えになっていたのは、「家族」であった。

【考察】 1:ICU入室中のことを覚えている患者の割合は多く、熱傷に由来する身体上の苦痛は忘れられないと思われる。2:身体上の変化は熱傷患者にとって、1番不安なことである。3:創痛コントロールは適切に対応することが必要である。また、創痛は退院しても長期にわたり、苦痛なことであるためフォローは大切であると思われる。4:医療従事者の声かけは患者にとって励みであり、支えになっているのは、家族であるという二重構造が見られた。

【結論】 突然の受傷により、患者の不安は大きくさまざまである。また、熱傷に伴う創痛は、患者の不安を助長させ長期に渡り苦痛なことであるため、医療従事者の「創痛コントロール」「声かけ」は必要であり、「家族の支援」は患者を治療に専念させる効果がある。

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