一般演題:[人工真皮・人工皮膚1]
5月 13日 13:30〜14:10(第2会場) 【 座長 】 根岸 直樹 (東京女子医科大学形成外科) |
演題番号:A028 | 顔面熱傷に対する早期テルダーミス使用の有用性 |
大木 更一郎、勝美 敦、川井 真、百束 比古*、山本 保博 | |
日本医科大学高度救命救急センター、日本医科大学形成外科* | |
【目的】 顔面の深達性熱傷は、単独で起こることは少なく広範囲熱傷に合併することが多い。広範囲熱傷症例では、救命が最優先され、初期には熱傷面積を効率的に減少せしめるために躯幹・四肢などのデブリードマンに引き続きmesh graft 、patch graftさらに凍結保存同種植皮、人工真皮などを組み合わせた手術が行われる。顔面・頚部では、整容的見地からsheet graftを行うことが望ましいが、これには多量の植皮片を必要とするために、初期には放置される傾向にある。広範囲熱傷治療において、手術手技、材料の進歩により救命率の向上が見られた現在、救命し得た症例では逆に機能面・整容面を考慮した治療が求められているといえよう。われわれは、これまで人工真皮の広範囲熱傷に対する有用性を報告してきたが、顔面・頚部においても、早期にデブリードマンを行い、人工真皮による被覆を行うことで、筋層、骨が露出するような深達性の顔面熱傷に対し、より整容的な結果が得られるのではと考えた。
【方法】 これまで、広範囲熱傷において実際に顔面熱傷創に対し治療開始しうるのは受傷後3〜4週間後であり、この時期に人工真皮を用いると、感染によって融解してしまう。さらに、感染の起こった創面には、薄い分層植皮片は生着しにくい。そこで、受傷後、感染の起きない2〜3日目の早期に人工真皮を用いることで、感染をコントロールしつつ、良好な真皮様組織を形成することはできないかと考えた。 【結果】 早期には創部に感染の合併はなく、また人工物ではあるが一時的に被覆することで良好な肉芽面が形成され、その後の感染が押さえられることが期待でき、さらに人工真皮摘要後、3週間目には、他部位の手術により全身状態も改善に向かい、かつ人工真皮のコラーゲンが真皮様組織に置換され、2次的な分層植皮手術に最適な時期となると考えられた。 【結論】 この手技は、初期の熱傷深度の見極めに経験を必要とするが、3度熱傷は勿論、2度DDB熱傷に対して摘要することで、欠損した真皮成分を充填し、整容的な結果が得られるものと期待できる。 |