一般演題:[人工真皮・人工皮膚1]
5月 13日 13:30〜14:10(第2会場) 【 座長 】 根岸 直樹 (東京女子医科大学形成外科) |
演題番号:A029 | 人工真皮(ペルナックR)に対するbFGFの投与効果についての検討 |
河合 勝也、鈴木 茂彦、筏 義人*、田畑 泰彦*、西村 善彦 | |
京都大学 形成外科、生体医療工学研究センター* | |
【目的】 現在、広範囲の3度熱傷等の皮膚全層欠損創に対し、人工真皮の臨床応用が行われている。人工真皮は、構成するコラーゲンスポンジの中に線維芽細胞や毛細血管が侵入増殖し、新生されたコラーゲン繊維により真皮様組織に置換されるものであるが、二次的植皮術までに約3週間の期間を要する。人工真皮生着に必要な期間を短縮し、なおかつ良好な植皮の移植床を得るために我々はbFGFの投与を試みた。bFGFは線維芽細胞の増殖や血管新生を促進するため真皮様組織の形成を促進するものと考え、人工真皮に対するbFGFの投与効果を検討した。
【方法】 ネンブタール麻酔下にモルモットの背部に2x2cmの皮膚全層欠損創を作成し、bFGFを投与した人工真皮を移植した。その組織学的変化を経時的に検討した。対象群はbFGFを投与していない従来の使用法とした。またゼラチン粒子に含浸させたbF GFを人工真皮内に投与し、浸出液で溶解したゼラチン粒子からbFGFを徐放させることにより単回投与との比較検討も行った。 【結果】 対照群に比べ、bFGF投与群の方が早期から細胞浸潤が強く、コラーゲンスポンジ内への線維芽細胞の侵入も多く見られた。血管新生も認められ、真皮様組織の形成は促進された。bFGFを徐放することにより、単回投与より線維芽細胞の侵入、増殖も効果的であった。 【結論】 人工真皮使用へのbFGF投与により真皮様組織形成促進が認められたことから、さらに人工真皮の適応拡大が期待される。 |