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一般演題:[人工真皮・人工皮膚1]   5月 13日 13:30〜14:10(第2会場)
【 座長 】 根岸 直樹  (東京女子医科大学形成外科)

演題番号:A031 2種類の人工真皮の血管新生の差異について:インテグラTMとペルナックTMの比較検討
井原 望、高見 佳宏、田中 秀治、尾郷 賢、島崎 修次
杏林大学医学部・形成外科、救急医学
【目的】 現在臨床的に使用可能な人工真皮として、Yannas、Burkeらによって開発されたインテグラTM、 それを元に改良したペルナックTM、およびこれらとは架橋方法の異なるテルダーミスRRが商品化されている。これらは共に動物のコラーゲンを加工したマトリックスとシリコン膜の2層構造からなり、すでに臨床的報告も多くなされているが、これらの異なる人工真皮間の移植特性の差異は明らかではない。今回演者らはこれらのうちでも構造上の類似点の多いインテグラとペルナックについて移植後の血管新生を指標として比較検討を試みた。

【方法】 SDラットの背部に作成した皮膚全層欠損創(2x2cm)に、インテグラTMとペルナックTMをそれぞれ移植し、1および2週後に肉眼的・組織学的変化を検討した。H.E.標本で両人工真皮内に新生した血管数を計測し、血管新生の程度を比較検討した。

【結果】 両人工真皮とも移植後1週目で下床からの部分的な血管新生を認めた。血管新生は2週目で両人工真皮のほぼ全層に認められた。新生血管数において両人工真皮間に有意差は認められなかった。インテグラTMはペルナックTMに比べ炎症細胞浸潤が少ない傾向がみられた。

【結論】 インテグラTMとペルナックTMの構造の主な違いは、コラーゲンの由来(インテグラTM牛、ペルナックTM豚)とglycosaminoglycanの有無(インテグラTM:有、ペルナックTM:無)と考えられる。今回得られた結果から、少なくとも移植後早期の血管新生に関してはこれらの構造的差異があたえる影響は少ないものと考えられた。

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