Previous
一般演題:[人工真皮・人工皮膚2]   5月 13日 14:10〜15:00(第2会場)
【 座長 】 鈴木 茂彦  (京都大学形成外科)

演題番号:A032 広範囲熱傷におけるメッシュ式人工真皮の応用
川井 真、勝見 敦、弥富 俊太郎、須崎 紳一郎、辺見 弘*、山本 保博
日本医科大学救急医学教室*、高度救命救急センター
【目的】 近年、深達性皮膚軟部組織欠損に対する創面被覆剤としてコラーゲンスポンジからなる人工真皮が開発され臨床使用されている。今回我々は救命センターに搬送された広範囲重症熱傷症例に対して人工真皮(テルダーミス)を用いた植皮術を施行し良好な結果を得たので報告する。

【方法】 対象は平成8年1月から平成9年12月までに当救命センターに搬送された熱傷患者のうち人工真皮植皮を施行した男性4例、女性4例の計8例。13植皮術例とした。年齢は29歳から88歳まで。平均55.6歳。Burn Indexは12.5-80(平均47.3)。P. B. I.は80.5-137(平均102.7)であり、いずれも重篤な広範囲熱傷であった。手術方法は、50%以下の熱傷に対して自家メッシュ植皮を行い不足した部分に自家パッチ植皮+人工真皮メッシュ植皮を行い、50%以上の熱傷に対しては、すべて自家パッチ植皮+人工真皮メッシュ植皮術を施行した。第2回手術は、3週間後に人工真皮のシリコン膜を除去し自家パッチ植皮の間隙に再度自家パッチ植皮を人工真皮の上へ植皮した。またメッシュの間隔は初期には広げて行っていたが後期は広げずに使用した。

【結果】 13植皮例中、一週間後に評価してみるとExcellent2例、Good8例、Fair2例、Poor1例(密着率85%以上;Excellent。65〜85%をGood。40〜65%をFair。40%以下をPoor)であった。ExcellentとGoodを合わせた症例は13例中10例、77%であった。これらはいずれも人工真皮の上も良好にパッチ植皮が生着し創閉鎖が可能となった。しかし、メッシュ間隔は広い場合は、2週前後で真皮が消失してしまうのに対して、広げないで使用した場合は、良好に真皮成分の温存が可能であった。

【結論】 自家パッチ植皮+人工真皮メッシュ植皮は、母床条件の悪い広範囲熱傷に対して、出血や感染に影響されることが少なく着実に早期から熱傷面積を減少させる確実な方法である。

Previous