Previous
一般演題:[人工真皮・人工皮膚2]   5月 13日 14:10〜15:00(第2会場)
【 座長 】 鈴木 茂彦  (京都大学形成外科)

演題番号:A033 フィブリンを基質に用いた複合型自家培養皮膚の移植
北條 元治、谷野 隆三郎、長田 光博、城所 正子*、倉島 志穂*、猪口 貞樹*,**
東海大学医学部形成外科学教室、細胞移植医療センター*、同救急医学教室**
【目的】 熱傷に対する培養表皮移植は以前より行なわれているが、一般に皮膚全層欠損創に対する生着性は良好とはいえず、生着した表皮が長期に維持されにくい傾向があった。われわれは、フィブリンを基質に用いた複合型自家培養皮膚を熱傷患者の皮膚全層欠損創に移植し、良好な結果を得たので報告する。

【対象と方法】 対象は全層性熱傷3例。2×3cmの分層皮膚を患者本人より採取し、表皮細胞及び、真皮線維芽細胞を継代培養。真皮線維芽細胞をヒトフィブリンの中に埋入し、その上に表皮細胞を重層して、いわゆる複合型の自家培養皮膚を作成した。これを、熱傷によるIII度熱傷創切除後の皮膚全層欠損創に移植した。3例の移植部位および面積はそれぞれ下肢8%BSA、顔面4%BSA下腹部5%BSAでいずれも細菌培養陽性の肉芽であった。

【結果と考案】 培養皮膚の生着率は70-95%と、細菌培養陽性の皮膚全層欠損性肉芽に良好に生着し、また移植後に再現された皮膚は長期に維持された。10カ月程度経過後の移植部皮膚には伸展性が再現され、現在まで拘縮は見られていない。

【結論】 フィブリンを基質に用いた複合型自家培養皮膚は、感染に比較的抵抗性を示して良好に生着した。さらに症例を追加するとともに、より広範囲の熱傷創への適応を考慮したい。

Previous