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一般演題:[感染]   5月 13日 16:00〜17:00(第2会場)
【 座長 】 吉田 哲憲  (市立札幌病院形成外科)

演題番号:A037 熱傷患者におけるMRSA検出症例の検討
古澤 早苗、小林 陽子、林 恵理子、岡崎 泉、渡辺 めぐみ、日笠 展子、小倉 ひとみ
川崎医科大学附属病院 高度救命救急センターICU
【目的】 当ICUでは年間入院患者の約20%からMRSAが検出されており、なかでも熱傷患者におけるMRSA検出率は高い。そのため、general ICU内での治療においては、交叉感染防止の徹底が重要となる。今回私たちは、1992〜96年の5年間のMRSA検出患者のデータを分析し、熱傷患者の感染防止対策について検討した。

【結果】 5年間にICUに入室した患者1312例の内熱傷患者は91例(6.6%)であり、その内54例からMRSAが検出されていた(59%)。初回検出日は平均14日と他疾患と差はなかった。初回検出部位は、他疾患では喀痰が最も多く(70〜80%)、熱傷では喀痰(48%)について創部(28%)から検出されていた。MRSA感染症として治療を行ったものは37例(68.5%)で、その内36例(97%)は個室隔離管理を行っていた。在室日数では平均56日間と他疾患と比較して長期であり、15例が死亡した。

【考察】 熱傷患者の半数以上からMRSAが検出されており、開放創を持つ患者の治療や看護ケアの際には特に交叉感染に対する注意が必要と思われた。MRSA感染症として治療を要した患者も半数以上であり、1)熱傷患者の多くは易感染状態であること、2)感染症により治療期間も長期化すること、3)敗血症の合併は予後にも大きく影響することから、今後も熱傷患者の感染防止対策を徹底して行うことの必要性が再確認された。

【結語】 易感染状態にある熱傷患者を治療・看護していく上で、今後さらにさまざまな面から感染防止に努めていく必要がある。

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