一般演題:[感染]
5月 13日 16:00〜17:00(第2会場) 【 座長 】 吉田 哲憲 (市立札幌病院形成外科) |
演題番号:A038 | 熱傷患者の細菌培養における部位別出現時期の検討 |
山本 康、鈴木 卓、荻野 浩希、安瀬 正紀、杉山 貢 | |
横浜市立大学救命救急センター、熱傷センター | |
【目的】 熱傷患者の細菌培養における検出部位別出現時期から感染動態を検討する。
【方法】 対象は当センターに入院したTBSA20%以上の熱傷患者で、受傷当日より3日毎に創、咽頭、胃液、気管痰、また5日毎に血液につき一般細菌、及び真菌培養を行い、第60病日までに各種培養において真菌、MRSA、それ以外のG(十)球菌、緑膿菌、およびそれ以外のG(一)桿菌が出現した日数をそれぞれ比較検討した。尚、真菌に関してはSelective Decontamination of Digestive Tractを目的として口腔内、胃内へのミコナゾールゲル投与群と非投与群に分けて検討した。 【結果】 一般細菌についてはMRSA、緑膿菌以外のG(十)球菌、G(一)桿菌は共に比較的早期から胃液、咽頭・気管痰、創の順で出現し、3週以降になって血液培養中に検出された。しかしながらMRSAと緑膿菌では、胃液からの検出は有意に遅く、また早期(4日、7日)より咽頭、気管痰、創より検出された場合に菌血症(10日目、13日目)を呈する症例があった。検出された真菌の多くはCa. Albicansであったが最近ではno−Albicans Candidaも検出されている。これらのうちミコナゾールゲル投与群と非投与群では喀痰、血培において出現時期に有意差が得られた。またこれらではカンジテック、Fungal Indexの上昇時期の延長も見られている。部位別に見ると咽頭、喀痰における各菌群の出現時期はミコナゾールゲル投与群を除き10日以降から類似したパターンで見られた。 【結論】 MRSA、緑膿菌以外のG(十)球菌、G(一)桿菌は共に比較的早期から胃液、咽頭・気管痰、創の順で出現する。またMRSAと緑膿菌では早期より咽頭、気管痰、創より検出された場合に菌血症を呈するものがある為早期の咽頭、気管培養の情報を十分評価する必要がある。重症熱傷では気管内挿管の影響も大きく、分泌物の頻繁な交通があると思われ、咽頭からの菌検出は肺炎への進展を示唆するものと考えられる。ミコナゾールゲルの口腔内、胃内への予防的投与はSDDの効果として深在性真菌症の発症を遅らせるために有用と思われた。 |