Previous
一般演題:[感染]   5月 13日 16:00〜17:00(第2会場)
【 座長 】 吉田 哲憲  (市立札幌病院形成外科)

演題番号:A041 気道熱傷患者の口腔内におけるカンジダ増殖の検討 −ファンギゾンでの口腔内ケアを試みて−
石塚 さゆり、川上 誠、細淵 洋美、佐藤 道代、渡辺 淑子
杏林大学医学部付属病院 高度救命救急センター
  重症熱傷患者では、易感染宿主となり熱傷部・血液・尿からカンジダが検出されることが多い。先行研究報告では重症熱傷患者の50%以上に真菌感染があると言われている。カンジダは、口腔・咽頭で分離頻度が多い常在菌であるが、本来これらの菌種は病原性が極めて弱い為、免疫力が正常であれば感染は成立しない。しかし、重症患者ゆえに広域抗生剤の大量投与により、常在菌叢が破壊され真菌が優位となったとき、感染が成立する。特に、気道熱傷を伴った場合には、気管支粘膜の糜爛・壊死・絨毛運動の抑制や、血液・分泌物の貯留により、気管内の防御機構が失われ細菌の培地となりやすい。通常では、真菌は外から侵入しても口腔内の自浄作用により口腔内の常在菌の増加が予防できる。しかし咽頭浮腫や気管内挿管により嚥下障害が生じることで、気管内に増殖した常在菌が侵入し、肺炎の発生原因となる。このため、気道熱傷のように気管内の防御機構が崩壊した患者では気管内への常在菌の侵入を防止するためにも、口腔内ケアが重要となる。先行研究において、30倍イソジン希釈水で口腔内洗浄を施行した結果、口腔内洗浄施行後4時間後には、施行前の細菌数まで増加していることが報告されている。当院救命救急センターに1997年に入室した気道熱傷を合併する熱傷患者において、入室時口腔内分泌物からカンジダが検出され、入室1〜2日後には気管内からもカンジダの検出がみとめられた。今回、気道熱傷患者にたいしイソジン希釈水で3回/1日のブラッシング法・洗浄の他、免疫不全患者の口腔ケアに用いられているファンギゾンを3時間毎に使用して口腔内ケアを施行した。これにより、口腔内におけるカンジダ増殖の変移とファンギゾンの効果について検討したので報告する。
Previous