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一般演題:[輸液・栄養・代謝]   5月 14日 08:40〜09:20(第1会場)
【 座長 】 鈴木 幸一郎  (川崎医科大学救急医学)

演題番号:A045 当院での広範囲熱傷患者の栄養管理の検討
横内 哲博、秋田 定伯、近藤 加代子、田中 克己、藤井 徹
長崎大学医学部形成外科
【目的】 広範囲熱傷患者では、Bacteroid translocationに起因した敗血症の予防の面からも経腸栄養投与の重要性が言われているが、とかく静脈栄養が栄養管理の中心となりがちである。そこで、当院における栄養管理の現状について検討を行ってみた。

【方法】 1989年1月から1997年12月までの9年間に当院で入院加療を行った熱傷患者146名のうち新鮮例で成人BSA20%以上、小児10%以上の患者59名を対象とした.

【結果】 経腸栄養が投与された患者は59名中52名で、残りの非投与例7名はBSA68.6%、Burn index129.1ですべて死亡例であった。経腸栄養投与開始時期別の症例数では、受傷後2日以内に全体の52%の患者において経腸栄養が開始されていたが、受傷後7日以後に開始されたものも13%も占めていた。また、経腸栄養開始時期別の患者のBSA、Burn indexを検討すると重症例ほど開始時期が遅れる傾向にあった。そして、より生理的な経口摂食が開始できた37名はBSA43.7%、Burn index26.9であり、平均7.0日で摂食が開始できていた。また、経口摂食が遅延した成人症例25名の経口開始時期までの静脈栄養、経管栄養、合計カロリーを検討すると、全期間において静脈栄養のカロリーが経管栄養より多く、また、合計カロリーが目標に達してなかった。

【結論】 経腸栄養の開始時期は全体の52%が受傷後2日以内に投与されていたが、重症例ほど経腸栄養が遅れる結果となった。しかし、たとえ重症例であっても特に合併症のない症例においてはショック期を経過した時点で経腸栄養を投与開始する努力をすべきであった。また、重度の広範囲の熱傷患者であるほど経腸栄養の不足、カロリーの不足の傾向がみられたことは反省すべき点となった。

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