一般演題:[植皮・手術]
5月 14日 08:40〜09:40(第2会場) 【 座長 】 内沼 栄樹 (北里大学形成外科) |
演題番号:A052 | 高齢者熱傷(80歳以上)に対する超早期手術の有用性に関する検討 |
山本 有祐、仲沢 弘明*、本田 隆司、浅野 哲、磯野 伸雄*、野崎 幹弘* | |
東京都立広尾病院 形成外科、東京女子医科大学 形成外科* | |
【目的】 高齢者熱傷では,合併症や予備能の低さから手術適応が問題となることが多い。今回,4例の高齢者(80歳以上)を対象に血行動態,呼吸状態の動向を指標に超早期切除術の安全性について検討したので代表的症例を供覧するとともに報告する。
【対象】 1997年1月〜12月の期間に入院加療した80歳以上の熱傷患者4例;年齢86±4.6歳,BSA32±14.1%,BI31±15.4,PBI:117±11.2(mean±SD) 【方法】 受傷後48時間以内に第1回手術を施行した。デブリードマン面積は28.0±13.9%,手術時間131±8.5分,出血量575±298.6ml(mean±SD)であった。手術直前,術直後,術後3時間,術後6時間の平均動脈圧(mAP),心係数(CI),平均肺動脈圧(mPAP),肺動脈楔入圧(PAWP), 全身血管抵抗(SVR),respiratory index(RI )を測定・算出し,その平均値を比較検討した。 【結果】 術前,MAP95±8.3mmHg,CI2.93±0.27 l/min/m2,MPAP21±5.2mmHg,PAWP7.3±4.7mmHg,SVR 1865±357.5dyne・sec/cm5,RI 2.5±1.9(mean±SD)と比較的良好な血行動態,呼吸状態を示した。術後3時間においてmAP, CI,mPAP,PAWPは一時的に低下する傾向を示したが術後6時間ではほぼ術前のレベルに回復していた。また,SVRは術直後に高値を示したが経過とともに改善していた。全症例において術中・術直後に致命的な合併症は認めず2例は救命し,死亡した2例についても術後3週間以上生存し,第2回手術が可能であった。 ![]() 【結論】 80歳以上の高齢者においても厳重な周術期管理により比較的広範囲の超早期切除術が安全に行えることが示唆された。 |