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一般演題:[症例報告]   5月 14日 09:40〜10:30(第2会場)
【 座長 】 木所 昭夫  (順天堂大学附属浦安病院外科)

演題番号:A054 特異な病態を呈したアセチレンガスバーナーによる熱傷例
島田 賢一、手嶋 良子、井手 裕、川上 重彦、塚田 貞夫
金沢医科大学 形成外科学教室
  アセチレンガスバーナーの高圧火焔が左上肢に暴露,皮膚を貫通し,その火焔が皮下に作用して,筋膜に熱傷をきたしたと考えられる特異な症例を経験したので報告する。

【症例】 35歳,男性現病歴:平成9年4月11日,仕事中に誤ってアセチレンガスバーナーの火焔が右肘窩に噴射された。現症:左肘窩に直径1cmの皮膚全層欠損を認め,その周囲を同心円状に2度熱傷創,3度熱傷創を認めた。治療:受傷後5日目に,肘窩の皮膚全層壊死組織をデブリドマンしたところ上腕二頭筋筋膜の壊死を認めた。筋膜壊死は肘窩から腋窩まで達していたため,壊死組織をすべて除去し創を開放した。同1カ月,創部に対し含皮下血管網遊離全層植皮を施行した。植皮はすべて生着した。術後10カ月,同部位は運動制限なく経過良好である。

【考察】 この症例は肘窩部分にアセチレンガスバーナーの火焔が暴露して皮膚に亀裂が生じ,その亀裂より,高圧火焔が直接,上腕二頭筋筋膜上を腋窩に向かって作用したため,筋膜の熱傷を生じたものと考えられた。

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