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一般演題:[症例報告]   5月 14日 09:40〜10:30(第2会場)
【 座長 】 木所 昭夫  (順天堂大学附属浦安病院外科)

演題番号:A056 アルコール依存症を基礎疾患とした熱傷の1例
天野 正宏、前田 俊一、塩見 一剛、上田 啓司
宮崎県立延岡病院皮膚科
【症例】 69歳男性
  20歳頃より1日3合、55歳定年以降は1日4〜5合飲酒を続けていた。アルコール依存症にて3回の入院歴あるも禁酒はできなかった。寒い日は朝からたき火をして暖をとるのが習慣になっていた。
  平成8年12月17日飲酒後、たき火の近くで寝入る。両第1趾MP関節より末端に熱症を負うが放置していた。10日後、歩けないのを妻に発見され12月27日当科を紹介受診となる。両第1趾MP関節より末端は炭化していた。   抗生剤投与、外用処置にて軽快後、平成9年1月17日両第1趾MP関節より断端形成術を施行し退院となる。
  平成9年12月12日、たき火の火力が弱いので混合油をかけ、その一部がズボンに付着した。飲酒後寝入りズボンに火が着いて燃えているのを妻が発見し消火、近医を受診し当科を紹介された。
両下肢,陰部,臀部中心にDB15%の熱傷受傷した。バクスター法に従い初期輸液を開始。急性期は特に問題はなかった。
  第5病日より不隠,興奮,幻覚症状出現し精神科医の対診を依頼し、アルコール依存症状に伴うせん妄状態との診断にて、坑精神病薬クロルプロマジン(コントミン)、ハロペリドール(セレネース)投与を開始し精神状態は軽快した。
  第14病日、全麻下にデブリードマン,分層植皮術を行った。
  第25病日より意識レベルの低下、頚部,四肢関節の硬直出現、神経内科医の対診を依頼し、抗精神病薬によるパーキンソン様症状との診断にて、抗精神病薬を中止、レボドパカルビドパ(メネシット)、ダントロレンナトリウム(ダントリウム)の投与を開始し、四肢硬直は次第に軽快してきた。

【考察】 アルコール依存症を基礎疾患とした熱傷の問題点について弱冠の考察を加え報告する。

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