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一般演題:[統計・疫学1]   5月 14日 10:30〜11:10(第2会場)
【 座長 】 樋口 良平  (都立府中病院形成外科)

演題番号:A060 当診療所における7年間の熱傷患者の統計的検討
上村 真実子、田辺 美智子、野口 厚子、堀田 亜起代、吉田 千恵子
高木皮膚科診療所
  1988年から1994年の7年間に当診療所を受診した熱傷患者3481例について、統計的観察を行ったので、若干の考察を加え報告する。

【方法】 熱傷チャートを作成し、熱傷で受診した患者の年齢・性別・受傷原因・受傷部位・受傷面積・受傷深度・冷却の有無・自己治療の有無・治療期間・治癒状態などについての調査を行った。

【結果】 女性1973例(56.7%)、男性1508例(43.3%)と若干女性に多く、5歳以下の乳幼児が全体の40.2%を占めた。受傷原因は、加熱液体1372例、加熱固体1545例、火炎355例であった。受傷部位は四肢に多く、受傷面積は、1%以下が2718例と圧倒的に多く、受傷深度ではSDBが2844例と80%以上を占めた。受傷後、冷却した症例は75.1%で、時間は10分以内が35.8%であった。受診前に何らかの自己治療をしていた症例は46.7%で、その内容は、売薬を含む不明薬が多かった。治療期間は、7日から10日ほどで治癒する症例が大部分で、治癒状態では、瘢痕を残さず治癒した症例が72.6%と圧倒的に多かった。

【考察】 乳幼児の熱傷を未然に防ぐには、保護者による監視あるいは熱源の管理が重要であることがうかがわれる。20歳代から50歳代では女性例が男性例の2倍以上認め、女性が家事を担当するため受傷する機会が多いからと推察される。季節的には、今回の我々の調査では、冬期と夏期に2つのピークが見られた。熱傷後は患部の冷却が大切であり、我々は疼痛が消失するまで冷却を続けるよう指導している。自己治療の結果からも、まだまだ民間療法が根強く残っているように感じられた。

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