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一般演題:[統計・疫学1]   5月 14日 10:30〜11:10(第2会場)
【 座長 】 樋口 良平  (都立府中病院形成外科)

演題番号:A061 広島県における熱傷の現状
岡林 清司、大谷 美奈子、山野上 敬夫、世良 昭彦、和田 誠之、右田 圭介、内海 兆郎、福原 信一、井上 健、岩崎 泰昌
広島大学医学部附属病院救急部・集中治療部
【目的】 広島県における熱傷患者の発生状況,各医療施での治療内容を調査し,地域熱傷治療のネットワーク作りの基礎とする.

【方法】 広島県下20消防局,24の医療施設にアンケートを送付し,1992年〜1994年の3年間における搬送患者数,外来患者数,入院患者数,年齢,性別,受傷原因,熱傷面積,および各施設での治療法について調査した.回答は20消防局(回収率100%),14医療施設(回収率58.3%)から得られた.

【結果】 1)救急隊による患者搬送は514例であった.2)外来患者数は6482例,入院患者数は717例であった.3)入院患者のうち熱傷面積および熱傷指数の記載があった289例の内,熱傷面積20%未満が184例(63.6%)で,40%以上のものが50例(17.3%)あり,内半数の25例が当施設に転院した.熱傷指数10以上は124例(42.9%)であった.死亡数は17例(5.9%)であった.4)深達性II度30〜60%の熱傷患者を想定した治療法について質問した(1施設は転院を考えると回答).輸液療法としては全施設がBaxter法を用いると回答した.外用剤としてはゲーベンクリーム11施設,抗生剤軟膏2施設,その他1施設であった.初回手術日は12〜14日が7施設,9〜11日が4施設,6〜8日が1施設,15日以後が1施設あった.1回の手術面積としては10〜20%が8施設,20〜30%が1施設,極力全部行うが4施設あった.

【考察】 広島県における救急車で搬送される年間熱傷患者数は6.1/10万人であり,この3分の2が入院するものと仮定すると年間114名の入院を要する患者が発生すると考えられた.また,病院側からみた入院患者の調査で熱傷指数10以上と熱傷面積40%以上の患者の入院日数を35日とした場合,重症熱傷患者用病床が10床,内ICU病床が4床県下に必要だと考えられた.

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