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一般演題:[統計・疫学2]   5月 14日 11:10〜12:00(第2会場)
【 座長 】 黒川 顕  (日本医科大学附属多摩永山病院救命救急センター)

演題番号:A062 当院救命救急センターにおける風呂による熱傷患者の年齢層別熱傷指数と受傷機転との関係について 
福西 健至、北岸 英樹、高橋 均、丸山 次郎、坂田 育弘、上石 弘*
近畿大学医学部救命救急センター、附属病院形成外科*
【目的】 第22回本学会にて、風呂による受傷が増えている事を指摘した。今回は年齢層別熱傷指数と受傷機転との関係を明らかにしたので報告する。

【方法】 1982年10月1日から1997年12月31日までの期間に、当院救命救急センタ−に搬入された風呂による熱傷患者を対象とし、診療録により、retrospectiveに検討を行った。年齢層を行動パターンの異なる群(A群:0-2歳、B群:3-15歳、C群:16-69歳、D群:70歳以上)に分け、熱傷面積、熱傷指数及び受傷機転について検討した。

【結果】 調査期間に搬入された風呂による熱傷患者は62人であり、このうち、詳細な記載のない3例と主に肝性昏睡の治療のため入院が必要となった1例を除き、58症例について検討した。熱傷面積ではB群とC群、C群とD群に有意な差は認められなかったものの、年齢層が高くなるにつれ大きくなっていた。熱傷指数も同様に年齢層が高くなるにつれ大きくなっており、さらにB群とC群の間にも有意差を認めた。

【考察】 A群では、家族により又は家族と共に受傷する例が一番多く、この場合は家族により即座に救出されるため、最も比較的軽症で済むと思われた。D群は、基礎疾患に関連した意識障害により受傷することが多いため、発見が遅れ広範囲熱傷になると思われた。B群とC群では、風呂のスイッチを止めようとするときに浴槽に転落するという受傷機転が共に一番多かった事から、熱傷面積には有意差はなかった。しかしC群では受傷機転に基礎疾患に関連した受傷も含まれてくるためIII度熱傷部分が多くなり、C群の熱傷指数が高くなったと考えられた。

【結論】 風呂による熱傷は、年齢層が高くなる程、熱傷指数が高くなることが明らかとなった。これは各年齢層の受傷機転の違いが一つの原因と思われた。

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