一般演題:[統計・疫学2]
5月 14日 11:10〜12:00(第2会場) 【 座長 】 黒川 顕 (日本医科大学附属多摩永山病院救命救急センター) |
演題番号:A063 | 着衣着火:受傷機序とその予防 |
田中 祝、松村 一、菅又 章、松下 博明、渡辺 克益 | |
東京医科大学形成外科、熱傷ユニット | |
【目的】 熱傷医療において、その予防をいかに啓蒙していくかは、非常に重要な問題である。最近、コンロなどの火が着衣に燃え移り熱傷受傷するケースが多く、マスメディアにも取り上げられ、社会的関心も大きい。今回、我々が治療した着衣着火症例の受傷状況を検討し、その予防、啓蒙に関して検討した。
【対象】 平成4年4月より平成9年12月までに、当院熱傷ユニットに入院した熱傷患者244症例のうち、着衣に火が直接燃え移って受傷した症例を検討した。尚、火災等による二次的に着火した症例は除外した。 【結果】 20例(8.2%)の症例が着衣着火による熱傷であった。男性6名、女性14名、平均年齢63.5才、熱傷面積は平均14.1%であった。受傷機序別では(1)ガスコンロによるもの13例、(2)仏壇のロウソク4例、(3)その他:焚火によるもの2例、ストーブ1例であった。コンロによりものは、平均58才、熱傷面積は平均7.2%、受傷部位は袖に着火するため上肢が中心であるが、3口コンロ台の奥の火に手を伸ばそうとして手前の火が前胸部に着火したケースも見られた。仏壇でのもは平均85才と高齢者に多く、熱傷面積は平均26.5%と比較的広範囲でうち2名死亡。いずれも、たもとに着火し、高齢者のため自力消火に時間がかかるケースが多かった。受傷時の衣服は、いずれのパターンでも、浴衣やパジャマなどのゆったりしていて綿素材のものが大部分を占めていた。 【結論】 我々の症例では着衣着火の受傷機序は典型的な2パターンがあり、これらを未然に防ぐような一般への啓蒙が必要であった。また、最近増えてきた三口、四口のコンロの問題、さらに衣服の素材に関しては製造販売業者を含めてその予防活動をすることが望まれた。 |