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一般演題:[統計・疫学2]   5月 14日 11:10〜12:00(第2会場)
【 座長 】 黒川 顕  (日本医科大学附属多摩永山病院救命救急センター)

演題番号:A064 ガスレンジから衣服への引火による熱傷症例の検討
浅野 哲、本田 隆司、山本 有祐、大久保 麗*、樋口 良平*、仲沢 弘明**、野崎 幹弘**
都立広尾病院形成外科、都立府中病院形成外科*、東京女子医科大学形成外科**
【目的】 近年、冬季における台所での熱傷を治療する機会が多くなっている。特にガスレンジから衣服への引火による熱傷について統計的観察を行い、その原因、予防について検討を行ったので報告する。

【対象】 東京女子医科大学形成外科熱傷ユニット、都立広尾病院形成外科、都立府中病院形成外科の3施設において、過去5年間に入院したガスレンジから衣服への引火による熱傷症例の統計的観察を行った。

【結果】 総熱傷入院患者数は501例であり、ガスレンジからの引火による熱傷は15例(3.0%)であった。年齢は14歳から91歳まで平均45.5歳、男女比は男性4例、女性11例。熱傷面積は6%から42%平均17.5%、平均熱傷指数は16.2であった。引火部位は袖口が9例、すそが6例であった。上腕内側、腋窩、側胸部を中心としたDDBからIII度の熱傷が10例と最も多くみられ、全例に対し手術を行った。着衣の種類としては長袖を着用している場合が多く、綿素材が多かった。受傷機転は衣服の状態が原因であることが多いが、換気扇に手を延ばしたさいにすそが火炎に触れるなど、ガスレンジ周辺の構造が関係している場合も見受けられた。この熱傷はIII度熱傷が中心となるが、上腕内側、腋窩、側胸部に比較的限局された熱傷である場合が多いのが特徴といえる。しかし、引火部位など諸要因によっては思わぬ広範囲熱傷となる症例も存在した。

【結論】 ガスレンジが原因となる熱傷は深達性熱傷となりやすく、患者の衣服の状態、そして台所の構造上の問題の二つが主因となり発生する為、その予防対策の確立が必要であると思われた。

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