一般演題:[統計・疫学2]
5月 14日 11:10〜12:00(第2会場) 【 座長 】 黒川 顕 (日本医科大学附属多摩永山病院救命救急センター) |
演題番号:A066 | 熱傷治療の医療経済 −超早期手術による医療費削減の可能性− |
仲沢 弘明、野崎 幹弘、佐々木 健司 | |
東京女子医科大学形成外科 | |
【目的】 年々高額となる保健医療費に対し、昨年、厚生省が医療保険費の自己負担分の増加を施行したことは記憶に新しい。種々の疾患・傷病の中でも、広範囲重症熱傷に対する医療費は、特に高額となってしまうのが現状であるが、米国では広範囲重症熱傷に対して早期手術の導入による医療コストの削減が報告されている。本邦においても、重症熱傷の治療上における超早期手術の有用性が認められつつある現状で、治療費の減少にも寄与するかについて検討を行った。
【対象】 1994年から1997年の4年間、当科熱傷ユニット入院患者のうち、熱傷指数10以上の重症例(生存例)について、受傷後24時間以内に手術を行った超早期手術群(超早期群)12例、受傷後7日以内に手術を行った群10例(対照群)を対象とした。 【方法】 1)入院期間について、超早期群と対照群とを比較検討した。2)両群における治療費を項目別に詳細に検討し、手術に関する項目と、入院処置料に関する項目の比率を算出した。 【結果】 1)超早期群の方が対照群よりも入院期間の短縮が認められた(p<0.05)。2)手術に関する諸費用(手術、麻酔など)は両群間では差は認められなかった。超早期手術群における手術関係の諸費用は約40%を占めており、入院期間が短期間であるほどその比率が高率となる傾向が伺えた。 【結論】 以上の結果から、広範囲重症熱傷においては、手術関係諸費用はある程度一定額となることから、入院期間が長期になるほど入院処置料の増加を招くことが認められた。それゆえ、広範囲重症熱傷に対する超早期手術は、入院期間の短縮を可能とするため、結果として治療費を削減できることが示唆された。 |