マルチメディア1
5月 14日 15:40〜16:40(第1会場) 【 司会 】 山本 保博 (日本医科大学救急医学) 渡辺 克益 (東京医科大学形成外科) |
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コメンテーター |
宮川 哲夫
(昭和大学医療短期大学理学療法学科)
三上 真弘 (帝京大学リハビリテーション科) |
演題番号:M2 | 急性期熱傷治療におけるリハビリテーションのとりくみ |
木村 雅彦、中澤 千香、遠藤 広美、石井 良章、田中 秀治*、和田 貴子*、島崎 修次*、高見 佳宏** | |
杏林大学医学部付属病院リハビリテーション室、救急医学教室*、同形成外科学教室** | |
【目的】 重傷広範囲熱傷患者の治療は救命のみにとどまらず、社会復帰こそが最終的な目標である。しかし熱傷が広範囲に及ぶと救命治療が優先され、機能の回復と社会復帰のための治療は開始時期が遅くなり、かつ極めて長期の継続治療が必要となるのも事実である。我々はリハビリテーションを熱傷治療の一環と考え、早期からの積極的な治療参加により患者治療の最終ゴールである社会復帰が早期に可能となると考えた。
【対象と方法】 平成5年に高度救命救急センターを開設以降、重症熱傷でリハビリテーション診療の依頼があった患者は24例である。入院当初より救急医学と形成外科医師,看護婦,メディカルソーシャルワーカー,各セラピストなどによる熱傷チームを編成し、1症例ごと週1回のカンファレンスを繰り返し行った。 リハビリテーションの開始時期は、熱傷性ショックを脱した2,3日目あるいは植皮部の生着が確認された時点で医師が判断し、理学療法士,作業療法士を中心に救命センター熱傷ユニット内で施行した。なおリハビリテーションを行いつつも急性期には多臓器の障害を伴う全身炎症性疾患であることを念頭に置き、創の状態のみでなくバイタルサインや各種モニタリング,諸検査成績を医師と確認しつつ進めた。具体的には、包帯交換ならびに水治療に参加して障害とその発生部位を視認予測し、予防のための関節可動域訓練,良肢位保持,テーピングなどによる四肢や手指の浮腫軽減,健常部位のトレーニングを行った。また慢性期に入ると、起立歩行,摂食,更衣,排泄などの日常生活動作訓練を可及的速やかに行った。
【結果および考察】 早期からの各セラピストの積極的な治療参加により、発生しうる障害を最小限にとどめ、手術回数を減らし、社会復帰に要する期間を短縮することができた。また、熱傷チーム内で医療者間の情報や意見の交換を行い、それぞれの専門性を発揮することで早期からの円滑なリハビリテーションの導入と進行が可能と考えている。 |